月齢ごとの予防接種の流れを、やさしく整理します
赤ちゃんの予防接種は、生後2か月から1歳ごろまでのあいだに、何度も通院しながら進んでいきます。ロタウイルス、5種混合、肺炎球菌、B型肝炎、BCG、麻しん風しん、水痘など、次々と名前が出てくるので、初めての保護者にとっては全体像をつかみにくいと感じやすいところです。
一方で、この時期のワクチンは、重い感染症から赤ちゃんを守る力を育てる大切な役割を担っています。月齢ごとのポイントを押さえておくと、慌ただしいスケジュールの中でも「今は何のための接種をしているのか」を理解しやすくなり、納得感を持って通院しやすくなります。
生後2か月ごろから始まるワクチンを、セットでイメージします
生後2か月を迎えるころ、予防接種の予定表には、ロタウイルス、5種混合、肺炎球菌、ヒブ、B型肝炎など、いくつもの名前が並びます。実際には、同じ日に複数のワクチンをまとめて受けることも多く、医療機関と相談しながらスケジュールを組み立てていきます。ここでは、それぞれのワクチンがどのような病気を防ぎ、どの時期に意識すると良いかを、月齢の流れに沿って整理します。
ロタウイルスワクチンで、重い胃腸炎から赤ちゃんを守ります
ロタウイルスは、乳幼児に多い胃腸炎の原因となるウイルスで、高い熱と激しい下痢、嘔吐によって、入院が必要になることもある病気です。ロタウイルスワクチンは飲むタイプのワクチンで、生後2か月ごろから接種を始めます。初回の接種は、生後14週6日までに済ませることが勧められていて、そのあと決められた間隔で2回または3回の接種を行い、生後24週または生後32週ごろまでに完了するスケジュールが目安になっています。
使うワクチンの種類によって、必要な回数と完了する期限が少し変わります。同じメーカーのワクチンを、決められた回数きちんと受けることが大切なので、どの製品を使うかは受診する医療機関で確認しておくと安心です。期限のあるワクチンなので、ロタウイルスだけは早めに予定を立てておく意識を持つとよいでしょう。
5種混合ワクチンと肺炎球菌ワクチンで、重い細菌感染を防ぎます
5種混合ワクチンは、百日せき、ジフテリア、破傷風、ポリオ、ヒブ感染症という5つの病気を一度に予防するワクチンです。生後2か月から7か月までの期間に、20日以上あけながら3回受け、そのあと6か月以上あけて、1歳ごろに追加の接種を行う流れが標準的なスケジュールになっています。
子どもの肺炎球菌ワクチンは、肺炎や髄膜炎など、重くなりやすい細菌感染を防ぐ目的のワクチンです。こちらも生後2か月から接種を開始し、数回の初回接種のあと、1歳ごろに追加接種で仕上げを行う形が一般的です。5種混合も肺炎球菌も、初回の接種をきちんと終えたあとに追加接種を受けることで、免疫を長く保ちやすくなります。
以前は、4種混合とヒブワクチンを別々に受けていた時期もありますが、今は5種混合ワクチンにまとまっている自治体が増えています。すでに別の組み合わせで接種を始めている場合もあるので、自分の子どものスケジュールについては、母子健康手帳の予防接種欄を確認しながら、かかりつけ医に相談することが安心につながります。
B型肝炎ワクチンを、1歳になる前に3回完了させます
B型肝炎は、肝臓に影響を与えるウイルスによる感染症で、乳児期に感染すると、長くウイルスを持ち続ける持続感染になりやすいことが知られています。それを防ぐために、B型肝炎ワクチンは、原則として1歳になる前に3回接種を終えることが定期接種の条件になっています。生後1か月ごろから接種を始めることもでき、多くの自治体では、生後2か月のワクチンとあわせて進めるケースも見られます。
3回接種の間隔は、1回目から2回目までを4週以上、2回目から3回目までをおおよそ20週前後あけるなど、一定のルールがあります。細かな間隔の調整は医師が行ってくれるので、保護者は「1歳の誕生日までに3回を終える」という大きなゴールを意識しておくと、全体像をつかみやすくなります。
生後5か月から8か月ごろの、BCG接種のタイミングを意識します
BCGワクチンは、結核の重症化を防ぐためのワクチンです。日本では、生後5か月から8か月までのあいだに1回接種することが標準になっています。この時期を逃さずに接種することで、乳幼児期の結核による重い合併症を減らすことができるとされています。
BCGで、乳幼児の結核の重症化リスクを下げます
結核という病気は、以前に比べて少なくなったとはいえ、今でも日本国内で発生している感染症です。大人であればゆっくり進行することもありますが、体の小さい乳幼児がかかると、髄膜炎や全身に広がる結核になることがあり、重い後遺症の原因にもなりえます。BCGは、こうした乳幼児の重症化を防ぐ目的で接種するワクチンです。
生後5か月から8か月までのあいだであれば、どのタイミングで受けてもかまいませんが、他のワクチンとの間隔や、通院のしやすさを考えながら、かかりつけ医と予定を合わせていくのがおすすめです。接種を延期しているうちに対象期間を過ぎてしまうと、定期接種として無料で受けられなくなる可能性もあるため、母子健康手帳の予定表に目印をつけておくと安心です。
1歳を迎えるころの、仕上げと新しいワクチンを整理します
1歳の誕生日が近づいてくると、これまでに始めたワクチンの追加接種にくわえて、新しく受けるワクチンが増えてきます。麻しん風しんワクチンや水痘ワクチンは、この時期に初回接種を行う代表的なワクチンです。あわせて、5種混合や肺炎球菌の追加接種を行うことで、これまでに育ててきた免疫をしっかりと長持ちさせていきます。
麻しん風しんワクチンと水痘ワクチンで、流行しやすい病気に備えます
麻しん風しんワクチンは、麻しんと風しんに対する混合ワクチンで、MRワクチンと呼ばれることもあります。1歳ごろに1回目を接種し、小学校入学前に2回目を受けることで、流行時にもかかりにくく、かかっても重症化しにくい状態を目指します。麻しんは感染力が非常に強く、肺炎など重い合併症を起こすことがあるため、1歳での接種を忘れずに進めたいワクチンです。
水痘ワクチンは、いわゆる水ぼうそうを予防するためのワクチンです。1歳から接種でき、1回目のあと数か月あけて2回目を受けることで、よりしっかりとした免疫がつきやすくなります。麻しん風しんワクチンと同じ日に、同時接種として受けることも多く、その場合も安全性が検討された上でスケジュールが組まれています。
5種混合と肺炎球菌の追加接種で、免疫を長く保ちます
生後2か月から始めた5種混合ワクチンと肺炎球菌ワクチンは、1歳ごろに追加接種を受けることで、これまでに身につけた免疫をさらに強め、長く維持しやすくなります。初回接種だけで終わるのではなく、追加接種まできちんと完了させることが、重い感染症から赤ちゃんを守るうえで重要なステップになります。
1歳前後は、麻しん風しん、水痘、5種混合の追加、肺炎球菌の追加など、予定が重なりやすい時期です。母子健康手帳とカレンダーを使って、おおまかな順番を書き出してみると、負担の少ない組み合わせや通院のタイミングが見えやすくなります。迷ったときは、「1歳前後で受けるワクチンを、まとめて整理したいです」とかかりつけ医に相談してみてください。
かかりつけ医と予定表を共有して、無理のないスケジュールにします
予防接種のスケジュールは、教科書どおりにきっちり進めることだけが正解というわけではありません。体調不良で延期することもあれば、家庭の事情で予約を移動することもあります。そのたびに全体の予定を少しずつ調整しながら、長い目で見て必要な回数を終えられれば十分です。
厚生労働省や日本小児科学会が示している予防接種スケジュールは、そうした調整のときに戻ることができる基準の地図のような存在です。その地図を手がかりにしながら、実際の歩き方は、それぞれの家庭と医療機関が一緒に考えていくものだと受け止めておくと、多少の変更があっても落ち着いて対応しやすくなります。
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乳幼児の予防接種スケジュールに役立つ、信頼できる参考資料
子どものワクチンの種類や、標準的な接種年齢が整理されています。ロタウイルス、5種混合、肺炎球菌、BCG、麻しん風しん、水痘など、生後2か月から1歳ごろまでに受けるワクチンの位置づけを確認するときに役立つ公的な情報です。
ロタウイルスワクチンの接種対象年齢や、初回接種を生後14週6日までに行う必要があること、2回または3回で完了するスケジュールなどが詳しく説明されています。期限のあるワクチンの計画を立てる際の根拠になります。
2024年度から導入された5種混合ワクチンについて、初回接種と追加接種の標準的な時期が示されています。生後2か月から7か月までに3回、その後1歳ごろに追加接種を行う流れを確認できます。
BCGの接種時期が、生後5か月から8か月のあいだに1回であることや、結核の重症化を予防する効果などがまとめられています。BCG接種のタイミングを考えるときの基礎資料として利用しやすい内容です。
日本小児科学会監修のもと作成されたサイトで、年齢ごとの予防接種スケジュールが図で示されています。生後2か月から1歳までのワクチンを、ひと目で一覧したいときに便利な資料です。



