予防接種後の変化を、安心して受け止める準備をします
赤ちゃんが予防接種を受けたあと、ほほ笑んでいた顔が少し不機嫌になったり、体があたたかくなったりすると、多くの保護者は「大丈夫だろうか」と胸がざわつきます。実際には、軽い発熱や注射したところの腫れ、ぐずりや眠気などは、体がワクチンに反応しているサインとしてよく見られるものです。あらかじめ「よくある変化」と「相談したい変化」を知っておくと、必要以上に不安にならずに赤ちゃんを見守ることができます。
よくある反応を、赤ちゃんのペースでケアします
予防接種のあとに多いのは、注射した部分が赤くなって少し腫れることや、37度台から38度前後の発熱、いつもより不機嫌になったり眠りがちになったりする変化です。ロタウイルスワクチンのあとには、飲み薬であることもあり、軽い下痢や一時的な嘔吐が見られる場合もあります。これらは多くの赤ちゃんに起こりうる変化で、数日かけて少しずつ落ち着いていくことが多いとされています。
こうしたときは、自宅で静かに過ごす時間をつくり、こまめに水分をとれるようにしてあげます。母乳やミルクが普段どおり、もしくは少しずつでも飲めているか、おしっこや涙がいつもと変わらないかを意識して見ておくと、脱水の兆しに早く気づきやすくなります。服装は着せすぎないようにして、赤ちゃんの背中や首の汗を確認しながら、暑すぎず寒すぎない環境を整えてあげてください。
発熱や腫れがあるときの、具体的な見守りかた
接種した日の夜から翌日にかけて熱が上がることは珍しくありません。機嫌が大きく崩れていなければ、こまめな水分補給と十分な休息を優先します。注射したところは、触ると少し痛そうにすることもありますが、無理にさわったりもんだりせず、衣服がこすれて刺激にならないように注意します。赤みや膨らみは、数日かけてゆっくりひいていくことが多いので、毎日同じ時間帯に軽く観察して変化を見ていきます。
心配なときは、母子健康手帳にメモを残しておくと、後日かかりつけ医に相談するときに様子を伝えやすくなります。「いつから何度くらいの熱が出たか」「どのくらいの大きさで赤くなっているか」といった情報は、医師が判断するときの手がかりになります。
受診を考えるサインを、あらかじめ共有しておきます
多くの反応は自宅で見守ることでおさまっていきますが、中には早めの受診や相談が望ましい場合もあります。予防接種を受ける前に、家族同士で「どのような様子がみられたら病院に電話をするか」を話し合っておくと、いざというときに迷いにくくなります。気になる変化があれば、「受診するほどかどうか分からない」と遠慮せず、まずは電話で相談してよいと考えておくことも大切です。
すぐに医療機関への相談を考えたい状態を知ります
高い熱が何時間も続いている、解熱後もぐったりして反応が弱い、顔色が悪く、呼びかけに対する反応がはっきりしないといった様子が見られるときは、受診を急いだ方がよい場合があります。また、全身に広がる赤い発疹が強いかゆみや腫れをともなって出てきたとき、呼吸が苦しそうに見えるとき、くり返し嘔吐して水分がほとんどとれないときも、早めに医療機関に連絡します。
発熱そのものだけでなく、「食欲がほとんどない状態が続いているか」「いつもと違う泣き方が続いているか」「目の輝きや表情に力があるか」というように、全体の様子をあわせて見ることが大切です。迷ったときは、夜間や休日でも利用できる小児救急電話相談を活用し、「予防接種のあとからこのような状態です」と伝えて、受診の緊急度についてアドバイスを受ける方法もあります。
ロタウイルスワクチンのあとに、特に気をつけたいお腹のサイン
ロタウイルスワクチンのあとには、まれではありますが、腸重積という腸が一部入り込んでしまう病気が起こる可能性があることが知られています。腸重積が起こると、強いお腹の痛みのために、赤ちゃんが突然激しく泣き出し、しばらくして落ち着いたかと思うと、また同じような泣き方をくり返すことがあります。脚をお腹の方にひきつけるような姿勢をとることもあり、いつものぐずりとは様子が違うと感じられる場合があります。
このような泣き方が続き、くり返し嘔吐する、顔色が悪くぐったりしている、血が混じったような便が出るなどの変化が見られたときは、時間帯にかかわらず、すぐに医療機関に連絡します。「何日何時ごろにロタウイルスワクチンを飲んだか」「いつからどのような症状が続いているか」を伝えると、医師が状況を判断しやすくなります。症状が軽い下痢や一度だけの嘔吐でおさまっている場合も、ロタウイルスワクチンのあとで心配な点があれば、かかりつけ医に相談してかまいません。
ふだんとの違いに気づくための、ささやかな心がけ
予防接種のあとに備えるというのは、「どの病気のワクチンなのか」を覚えることだけではありません。赤ちゃんが元気なときの泣き声や表情、眠り方や授乳のリズムを、家族がふだんからよく見ておくことも大切な準備のひとつです。日常の姿を知っているからこそ、「今日はやっぱり少し違う」と感じたときに、迷わず相談につなげることができます。
予防接種は、重い病気から赤ちゃんを守るための長い道のりの一部です。接種後の反応や受診の目安を知っておくことで、その道のりを少しだけ安心して歩くことができます。完璧に見分けることを目指すのではなく、「心配になったら相談していい」という前提を共有しながら、家族と医療者で赤ちゃんを支えていきたいところです。
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予防接種後のケアに役立つ、信頼できる参考資料
ロタウイルスワクチン接種後に起こりうる、軽い下痢や嘔吐、機嫌の変化などについて、保護者向けに分かりやすく整理した資料です。多くは自然におさまる症状であることと、注意したいサインの両方が示されています。
さまざまなワクチンに共通する、注射部位の痛みや発熱、機嫌の悪さなどの副反応と、その頻度や経過についてまとめたアメリカ疾病予防管理センターのページです。予防接種後に起こりうる反応の全体像をつかむのに役立ちます。
ロタウイルスワクチンと腸重積との関係について、リスクの大きさや注意すべき症状が整理されています。激しい泣き方や嘔吐、血便など、受診の目安となるサインを知るための参考になります。
横浜市が公表している英語版の予防接種案内で、腸重積の症状として、突然の激しい泣きや嘔吐、血便、ぐったりした様子などが挙げられています。日本の自治体がどのような受診の目安を示しているかを確認できます。
乳幼児の予防接種後のケアについて、高熱が続く場合や、止まらない嘔吐、血便、強い腹痛などがみられた際には速やかな受診が必要であることが示されています。受診の判断材料として具体的な症状が整理された資料です。
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