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赤ちゃんの予防接種の同時接種は大丈夫か|通院負担を減らし受け逃しを防ぐ安全ガイド

同時接種で、受け逃しを減らすという発想

赤ちゃんの予防接種は種類も回数も多く、毎回別の日に受けていると通院の負担が大きくなり、気付かないうちに接種の抜けが出てしまうことがあります。同じ日に複数のワクチンを組み合わせて受ける同時接種は、こうした受け逃しを減らし、限られた時期に必要な回数を終えやすくする工夫と言えます。

同時接種とは、2種類以上のワクチンを1回の受診でまとめて接種する方法です。世界的にも一般的なやり方で、日本でも国立の専門機関や小児科の専門家が、安全性と有効性が単独接種と変わらないことを示す研究にもとづいて、必要に応じて取り入れることを勧めています。

同時接種の、安全性とメリットを知る

同時接種ということばを聞くと、「一度にいくつも打つのは負担が大きいのではないか」「副反応が強く出るのではないか」と心配になる保護者も少なくありません。実際には、複数のワクチンを同じ日に接種しても、それぞれのワクチンがきちんと効いているか、発熱や腫れなどの反応が増えていないかについて、国内外で多くの検討が行われています。

国立成育医療研究センターや日本小児科学会が紹介するデータでは、同時接種であっても、単独で接種した場合と比べて効果が弱くなることはなく、安全性にも差はないとされています。生まれて間もない赤ちゃんに早く免疫を付けることや、スケジュールの混乱を防ぐことを考えると、同時接種は現実的な選択肢の一つと考えられます。

通院の回数を減らし、スケジュールを整理しやすくします

0歳代の赤ちゃんは、定期接種だけでも受ける本数が多く、1本ずつ別の日に打とうとすると、そのたびに予定を合わせて受診する必要が出てきます。仕事やきょうだいの予定、天候などを考えると、毎回の通院は大きな負担になりやすく、結果として「行きたかったのに行けなかった日」が増えてしまうこともあります。

同時接種を取り入れると、受診の回数そのものを減らすことができます。通院の回数が少なくなることで、保護者の時間的な負担や交通の負担が軽くなるだけでなく、赤ちゃんが知らない場所に行く回数も減り、全体として落ち着いた形で予防接種を進めやすくなります。母子健康手帳にスケジュールを書き込みながら、「この日はこのワクチンをまとめて受ける」と決めておくと、予定の見通しも立ちやすくなります。

決められた期間内に、必要な回数を終えやすくなります

ロタウイルスワクチンのように、初回接種の期限や完了する年齢の上限が決められているワクチンもあります。また、5種混合ワクチンや肺炎球菌ワクチンなどは、一定の間隔をあけて複数回接種し、その後に追加接種を受けることで免疫を長持ちさせます。これらを一つずつ別々に受けていると、途中で体調不良や家庭の事情が重なり、気付いたときには期限が迫っているという状況になりかねません。

同時接種でいくつかのワクチンを組み合わせると、必要な回数を限られた期間の中で効率よく終えやすくなります。とくに、接種期限が決まっているワクチンがある場合には、かかりつけ医と相談しながら、「この日は同時接種で進めて、期限内に完了させる」という組み立てをしておくと安心です。

同時接種のあと、自宅で見ておきたいサイン

同時接種を行ったあとは、単独接種のときと同じように、家で赤ちゃんの様子をていねいに見守る時間が大切になります。何本打ったかにかかわらず、接種した日は、できるだけ予定を詰め込みすぎず、赤ちゃんの変化に気づきやすい環境を整えておくと安心です。

多くの場合、接種を受けた日の夜から翌日にかけて、軽い発熱が見られたり、接種部位が赤くなって少し腫れたりすることがあります。機嫌がやや悪くなったり、いつもより眠りがちになったりすることもあり、これらはワクチンに対する体の反応としてしばしば見られるものです。

よくある反応と、落ち着いて見守る目安

37度台から38度台前半の発熱や、接種したところの赤みと腫れは、翌日から数日で少しずつおさまっていくことが多い反応です。機嫌が悪くても、抱っこすると落ち着く、母乳やミルクがある程度飲める、表情や反応がいつもの延長線上にあると感じられる場合は、こまめに水分をとらせながら様子を見ていきます。

同時接種であっても、単独接種と比べてこうした反応が特別に強く出ることはないとされています。ただし、保護者が気になっているという事実そのものが大切なので、心配が続く場合は、遠慮せずに医療機関に相談してかまいません。「泣き方がいつもと違う気がする」「熱の上がり方が気になる」といった感覚も、相談のきっかけになります。

すぐに相談したい変化を、あらかじめ頭に入れておきます

接種後に注意したいサインとして、いつもと明らかに違う激しい泣き方が続く、抱っこをしても全く落ち着かない、顔色が悪い、ぐったりして反応が弱い、うまく息ができていないように見える、けいれんのような動きがあるなどが挙げられます。繰り返し吐いてしまい、水分もほとんど飲めない場合も、早めの相談が必要になります。

こうした変化が出たときは、同時接種かどうかに関係なく、すぐに接種を受けた医療機関や、時間外であれば救急相談窓口に連絡してください。その際には、「いつ」「どのワクチンを」「何本接種したか」「どのくらい前からどんな様子か」を伝えると、状況を判断してもらいやすくなります。迷ったまま一晩中不安を抱え続けるより、短い電話で確認する方が安心につながります。

同時接種を、かかりつけ医との対話で決めていきます

同時接種をするかどうかは、保護者だけで決めて抱え込む必要はありません。予防接種のスケジュールは、赤ちゃんの健康状態や家庭の事情、これまでの接種歴をふまえて、かかりつけ医と一緒に考えていくものです。同時接種を提案されたときに不安があれば、その場で率直に質問して大丈夫です。

たとえば、「何本まで同時接種が可能なのか」「この組み合わせで打つ理由は何か」「今日は何本までにして、残りは次回に回せるか」といった聞き方をすると、医師の考え方や、スケジュールの組み替えの幅が見えやすくなります。予防接種は、お互いの信頼関係を育てていく過程でもあります。説明を聞いても不安が残るときは、その気持ちごと共有しながら、一歩ずつ進めていきましょう。

家族の事情に合わせた柔らかなスケジュールにします

仕事の都合で平日に時間が取りにくい、祖父母に付き添ってもらえる曜日が限られている、きょうだいの行事が多い時期であるなど、家庭ごとに事情はさまざまです。そうした背景も含めて、「どのタイミングなら同時接種が受けやすいか」「どこまでなら別の日に分けたいか」を話し合うことで、無理のない計画を作りやすくなります。

大切なのは、完璧なスケジュールを守ることではなく、長い目で見て必要なワクチンをきちんと受けていくことです。同時接種という選択肢を知っておくと、状況に応じて通院の負担を軽くしながら、受け逃しを減らしていくことができます。答えは一つではないからこそ、信頼できる情報と、相談できる医療者を手がかりに、わが家の納得できる形を探していきたいところです。

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