母子健康手帳で、予防接種の歩みを一目で分かるように残します
予防接種が終わってほっとしたあと、母子健康手帳を開いて、接種の日付やワクチン名の欄に記入があるかを確かめる時間を少しだけ取ることをおすすめします。母子健康手帳は、赤ちゃんから子ども時代までの健康の歴史を残しておく大切なノートのような存在で、予防接種もその一部として長く役に立ちます。
予防接種を受けたときには、日付やワクチン名だけでなく、ロット番号が書かれているかも確認します。ロット番号は、同じ製造時期のワクチンにつけられる番号で、万が一副反応が疑われたときに、どのロットを使ったかをたどる手がかりになります。自治体が保管している接種台帳や、マイナンバーカードで確認できる接種履歴のサービスもありますが、ワクチンの種類やロット番号まで全て反映されるとは限らないとされています。そのため、母子健康手帳の記録は、今も変わらずとても重要な情報源と言えます。
引っ越しやかかりつけ医の変更があったときも、母子健康手帳がきちんと書き込まれていれば、新しい医療機関でもこれまでの接種歴を正確に把握できます。将来、子ども自身が大きくなったときに、自分の予防接種歴を確認したり、妊娠や就職などで接種の証明が必要になったりした場面でも、母子健康手帳が頼りになることがあります。
接種が遅れたときも、キャッチアップで追いつきます
発熱や家族の事情などで、予定していた日に予防接種を受けられないことは、どの家庭でも起こり得ます。そのたびに「もう間に合わないのでは」と不安になるかもしれませんが、多くのワクチンには、あとから受け直すためのキャッチアップの考え方があります。接種が少し遅れただけで、それまでに受けた回数が無駄になることはほとんどありません。
まずは、母子健康手帳で実際に受けた回数と日付を整理し、自治体から届いている予防接種券の有効期限や、定期接種として無料で受けられる対象年齢を確認します。そのうえで、かかりつけ医と一緒に、次回からどの順番で、どのくらいの間隔をあけて接種していくかを相談します。必要な回数を限られた期間の中で終えられるように、同時接種を組み合わせる場合もありますが、その際も安全性や体調を踏まえたうえで計画していきます。
日本小児科学会が示すスケジュールをもとに作成されたキャッチアップの目安では、五種混合ワクチンや麻しん風しんワクチン、水痘ワクチン、日本脳炎ワクチンなど、それぞれについて「この年齢までに必要な回数を終わらせるための組み合わせ」が例示されています。自治体のホームページや予防接種の啓発サイトには、年齢ごとのスケジュール表が掲載されていることも多いので、家庭で全体像を把握するのにも役立ちます。
接種券と対象年齢を、自治体と医療機関で共有します
接種券には、有効期限と対象年齢が細かく書かれており、その範囲を過ぎると定期接種として無料で受けられなくなってしまうものもあります。一方で、長期の入院や重い病気の治療など、やむを得ない事情で定期接種が受けられなかった場合には、対象年齢を過ぎても公費で接種できる特別な制度を設けている自治体もあります。体調不良や感染症の流行で一時的に見合わせた場合なども含めて、「どうして遅れたのか」をかかりつけ医に具体的に伝えることで、利用できる制度の有無や、最適なスケジュールを一緒に考えてもらいやすくなります。
自治体によっては、接種券を再発行してくれたり、改めて案内の手紙を送ってくれたりする場合もあります。心配なときは窓口や相談ダイヤルに問い合わせをして、「何歳までに、どのワクチンを、公費で何回受けられるか」を整理しておくと安心です。その情報を母子健康手帳の余白にメモしておくと、次回の受診時にもすぐに確認できます。
季節性インフルエンザを、家族の暮らしに合わせて考えます
季節性インフルエンザワクチンは、生後6か月から接種を考えることができます。特に、保育園や幼稚園に通っているきょうだいがいる赤ちゃんや、人の出入りが多い家庭環境では、早めに検討する家庭も少なくありません。ただし、生後6か月から1歳未満の時期は、免疫の働きがまだ発達の途中にあり、年長の子どもに比べるとワクチンの効果が限定的とされる面もあります。それでも、重症化を少しでも防ぐことや、次のシーズン以降に免疫を育てる意味があると考えられています。
インフルエンザのワクチンは、流行が本格化する前に接種を済ませておくことが大切です。例年、秋から冬にかけて接種が始まりますが、自治体や医療機関によって開始時期が異なるため、地域の情報を早めに確認しておくと安心です。また、赤ちゃんだけでなく、同居している家族がワクチンを受けることも、家庭内での感染を減らすうえで有効だとされています。家族全体のスケジュールや体調、持病の有無などを考えながら、どのタイミングで誰が接種するかを検討していきます。
記録を重ねることで、将来の医療と安心につなげます
予防接種の記録をていねいに残し、遅れが出たときにはキャッチアップで取り戻していくことは、目の前の感染症から子どもを守るだけではなく、将来の医療にもつながる大事な準備と言えます。母子健康手帳に書かれたワクチン名やロット番号は、もしも体調の変化があったときに、医師が状況を判断する助けになりますし、成長してから別の医療機関を受診したときにも、これまでの経過を一目で伝えられる材料になります。
季節ごとの流行や家庭の事情によって、予定通りに接種が進まないことは自然なことです。そのたびに「できなかった」と責めるのではなく、「では次にどう組み立てるか」を医療者と一緒に考えていく姿勢が大切です。記録を積み重ねることと、必要に応じてキャッチアップを活用すること、その二つをゆるやかに回しながら、家族のペースで予防接種の道のりを歩んでいけるとよいでしょう。
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予防接種記録とキャッチアップ接種に役立つ、信頼できる参考資料
予防接種記録は、市町村が保有する予防接種台帳と、保護者が持つ母子健康手帳の記録や接種済証の両方で管理されていることが示されています。母子健康手帳は長期に保管される前提で作られており、接種歴を確認するための有効な手段であるとされています。
母子健康手帳が、予防接種に関する情報提供と接種記録の管理において効果的なツールであると位置付けられています。予防接種の履歴を長期にわたり一元的に把握できる媒体としての役割が説明されています。
自治体の予防接種記録とマイナポータルで確認できる接種歴の違いについて説明されており、ロット番号や医療機関名などの詳細はマイナポータルには反映されないこと、接種歴の管理は引き続き母子健康手帳などで行う必要があることが示されています。
日本小児科学会の推奨に基づいたキャッチアップスケジュールが紹介されており、小学校入学前や卒業までに受けておきたいワクチンの回数や間隔を整理して確認することができます。接種が遅れた場合の組み立て方を考える参考になります。
季節性インフルエンザワクチンの接種対象として、乳幼児は生後6か月以上が含まれることが示されています。流行前の接種が推奨されており、接種開始時期が自治体によって異なり得る点への注意も記載されています。
生後6か月からインフルエンザワクチンの接種が可能であることや、0歳児と家族全員で予防する重要性などが、小児医療機関の立場から解説されています。年齢による効果の違いについても説明されています。



