毎日のねんねルーティンで、子どもの眠りにやさしい合図を作ります。
夕方から夜にかけて、家の中の空気が少しずつ静かになっていく時間があります。お風呂に入り、パジャマに着替え、歯みがきをして絵本を読んで、そっと明かりを落とす。そんな流れが、子どもにとって「そろそろ眠る時間だな」と感じる合図になっていきます。
この毎日の流れを、ここではねんねルーティンと呼びます。ねんねルーティンは、就寝前の過ごし方を毎日ほぼ同じ順番で続けることで、体と心が自然に眠る準備に向かっていく仕組みです。難しいテクニックではなく、家庭ごとの小さな習慣の積み重ねです。
ねんねルーティンは「眠りへの道しるべ」です。
ねんねルーティンは、子どもにとっての眠りへの道しるべと言えます。決まった順番の行動が続くことで、脳と体が「いつもの流れだな」と安心し、その先に来る眠りを予測できるようになります。厚生労働省の資料でも、子どもの睡眠は生活リズムと深く結びついており、毎日の決まった流れが整いやすさにつながると示されています。
例えば、入浴、水分補給、歯みがき、トイレ、絵本やお話、子守歌というように、短いステップを続けていきます。このとき大切なのは、特別なことを増やし過ぎないことです。時間も内容も、親が毎日続けやすいシンプルさにしておくと、子どもにとっても「いつものこと」として定着しやすくなります。
同じ順番の小さな流れが、安心感を育てます。
子どもは大人以上に、先が読める安心感を大切にしています。今日はお風呂のあとに急に遊びが始まる日があったり、絵本を読む日と読まない日がばらばらだったりすると、体は眠りたいのに、心は「次は何が起きるのかな」とそわそわしてしまうことがあります。
ねんねルーティンを決めるときは、流れをできるだけ一定に保つことを意識します。お風呂から上がったら水分を飲み、パジャマに着替え、歯みがき、トイレ、絵本というように、順番をほぼ固定していきます。順番が毎日同じだと、子どもは先を予想できるようになり、「この先は布団に入る時間だな」と自然に受け止めやすくなります。
うとうとした状態で、布団に入る経験を重ねます。
眠りの専門家や小児科医の多くが、「目を覚ましているけれど、眠そうな状態で布団に入る経験」を勧めています。完全に寝入ってから抱っこで移動すると、目が覚めたときに場所が変わっていて不安になることがあるためです。
絵本や子守歌を終えたあと、子どもの目がとろんとしてきたタイミングで布団に入り、そのまま隣で見守ります。最初は親の体に寄りかかったり、手を握ったりしながらでかまいません。「布団の中で眠りに落ちる」とうとうとした経験を重ねることで、少しずつ自分で寝つく力が育っていきます。
就寝前の流れを、短くシンプルに整えます。
忙しい家庭ほど、ねんねルーティンにたくさんの要素を詰め込みたくなります。マッサージも知育遊びも、と考え出すと、親も子もくたびれてしまうことがあります。ここでの合言葉は、短く、分かりやすく、続けやすくです。
短時間で終わるステップにまとめます。
ねんねルーティン全体は、およそ30分以内に収まるくらいを目安にすると無理がありません。お風呂から上がったあとの水分補給や歯みがきは、健康のために欠かせないステップです。そのうえで、絵本や子守歌など、心を落ち着かせる時間を少しだけ確保します。
絵本を5冊読むより、1冊をていねいに読むほうが、子どもには印象に残りやすいこともあります。その日の様子を見ながら、「今日は短いお話を1冊にしようね」「この歌を歌ったら、電気を消そうね」というように、見通しが立つ形で終わりを決めておくと、子どもも心の準備がしやすくなります。
遊びモードから、休むモードへの切り替えを意識します。
就寝前に激しい追いかけっこや、興奮するゲームをしてしまうと、心拍数が上がり、頭の中も活発になってしまいます。すると、布団に入っても体が休むモードに切り替わりにくくなります。国立成育医療研究センターの調査でも、夜の遅い時間まで強い刺激を受けている子どもは、睡眠リズムが乱れやすいことが報告されています。
夕食後から寝るまでの間は、徐々に静かな遊びに切り替えていきます。ブロック遊びからお絵描きに変える、体を大きく動かすダンスから、絵本や会話にゆっくり移るなど、段階を少しずつ落としていきます。寝室に入ったあとは、声のトーンも自然と落としていくと、家全体の空気が「おやすみの準備」に変わっていきます。
眠気のサインをよく観察して、タイミングを逃さないようにします。
子どもにも、それぞれ独特の眠気のサインがあります。目をこする、あくびが増える、動きが急にゆっくりになる、機嫌が不安定になるなど、小さな変化に気づきやすくなると、ねんねルーティンを始める合図が分かりやすくなります。
子どものサインに合わせて、寝る準備を前倒しします。
時計の時刻だけで就寝時間を決めてしまうと、眠気の波とずれてしまうことがあります。例えば、21時に寝かせたい家庭でも、20時30分頃からあくびが増えていれば、その時点でねんねルーティンをスタートさせるほうが、結果的にスムーズに眠れることがあります。
反対に、眠気のピークを過ぎてしまうと、子どもは再び元気になり、いわゆる寝ぐずりがひどくなることがあります。いつもより機嫌が急に荒くなる、ちょっとしたことで泣きやすくなる場合も、実は眠気が強すぎてうまく表現できていない状態のことがあります。日々の様子を観察しながら、その子なりのサインを家族で共有しておくと、タイミングの失敗が少なくなります。
うとうとしたときに布団に入り、毎日くり返します。
眠そうなサインが見えたら、ねんねルーティンの流れを早めに進めていきます。完全に眠る前に布団に入り、そこから眠りに落ちる経験を毎日くり返すことが、自分で寝つく力を支えます。睡眠に関する専門機関の情報でも、子どもが眠りに落ちる場所と起きたときの場所をそろえることが、夜間の目覚めを減らす助けになるとされています。
うまくいかない日があっても、流れそのものはできるだけ維持します。今日は時間がずれたなと感じる日でも、「お風呂、歯みがき、絵本、子守歌」という順番だけは崩さないようにすることで、子どもは「今日も同じ流れだ」という安心感を持ちやすくなります。
家族全体の生活リズムに合わせて、就寝時刻を少しずつ整えていきます。
実際の生活では、理想の時間に寝かせることが難しい日も多くあります。親の仕事が遅くまで続く、きょうだいの習い事が夜にある、家族の帰宅時間がばらばらなど、家庭ごとの事情はさまざまです。そこで大切になるのが、完璧を目指すのではなく、今の生活の中で少しずつ整えていく姿勢です。
現実の生活に寄り添った目標時間を決めます。
厚生労働省が示す睡眠指針では、1歳から2歳は1日に11時間から14時間、3歳から5歳は10時間から13時間、小学生は9時間から12時間程度の睡眠時間が推奨されています。これらはあくまで目安ですが、今の睡眠時間と比べると、短くなっている子も少なくありません。
例えば、今は22時30分頃に寝ている子どもを、最終的に21時30分に寝かせたいと考えた場合、いきなり1時間早めるのではなく、5日から7日かけて10分から15分ずつ前倒しします。ねんねルーティンを始める時刻も少しずつ前に移動し、朝の起床時間も合わせて調整していきます。こうした小さな積み重ねのほうが、子どもの体にも負担が少なく、親にとっても続けやすくなります。
休日も大きく崩さず、ゆるやかに守ります。
週末や長期休みになると、つい夜更かしになってしまいがちです。それ自体が悪いわけではありませんが、平日との落差が大きくなると、学校や仕事が始まる時期に戻すのが難しくなります。睡眠に関する専門団体も、休日の就寝時刻や起床時刻を平日から大きくずらさないことを勧めています。
とはいえ、家族で映画を楽しむ日や、特別なお出かけの日も大切な時間です。そのような日は、翌日以降に少しずつ元の時間に戻していくイメージで考えます。「特別な日もあるけれど、基本のねんねルーティンは変えない」という柔らかいルールを持つと、日常と非日常の切り替えがしやすくなります。
親の気持ちも、ねんねルーティンの一部として整えます。
ねんねルーティンは、子どものための工夫であると同時に、親自身の心を整える時間にもなります。今日はどんな一日だったかを振り返りながら、静かな部屋で絵本を読む数分間は、親にとっても貴重なクールダウンの時間です。
完璧を目指さず、その日のベストを選びます。
毎晩同じ順番で、同じ時間通りに行うことを目指していると、予定が崩れた日に強い罪悪感を抱いてしまうことがあります。けれど、子育てはいつも予想通りにはいきません。仕事の都合や体調不良など、どうしてもルーティンを守れない日もあります。
そんなときは、「今日はお風呂と歯みがきだけ」「今日は絵本の代わりにお話を1つだけ」というように、その日のベストを選ぶ感覚で考えます。ねんねルーティンは、守れなかった日があると壊れてしまう fragile なものではなく、少し崩れてもまた戻せる柔らかい枠組みです。親の気持ちに余裕があること自体が、子どもの安心につながります。
うまくいった日も、いかなかった日も、振り返り過ぎないようにします。
今日は早く眠れた、昨日はなかなか寝なかったという違いは、どうしても気になります。ただ、原因を毎回深く追い詰めていくと、親のほうが疲れ切ってしまうことがあります。睡眠に影響する要素は、日中の活動量や体調、気温や家族の予定など、数え切れないほど多くあります。
ねんねルーティンを続けるときに大切なのは、日単位の成否ではなく、1週間や1か月を振り返ったときに「少し生活のリズムが整ってきたかな」と感じられるかどうかです。うまくいかなかった日は、「今日はたまたまだったかもしれない」と流しながら、また翌日から同じ流れを淡々と続けていく。その繰り返しが、親子の眠りを少しずつ支えていきます。
ねんねルーティンは、親子の暮らしを整える小さな土台になります。
ねんねルーティンは、派手な育児法ではありませんが、毎日の生活を支える大切な土台になります。寝る前の流れが整うと、朝の目覚めも安定しやすくなり、日中の集中力や機嫌にもよい影響があると示す研究も増えています。眠りが少し落ち着くと、親の心にも余白が生まれ、子どもの様子をゆっくり観察したり、家族で話をしたりする時間も取りやすくなります。
すでに眠りの悩みが続いている家庭にとっては、「今さらルーティンを作っても遅いのでは」と感じることがあるかもしれません。けれど、睡眠に関する多くの専門家は、何歳からでも生活リズムを整える工夫には意味があると伝えています。0歳の赤ちゃんから小学生まで、その時期なりのやり方で、今日から少しずつ始めることができます。
ねんねルーティンは、完璧なマニュアルではなく、各家庭が試行錯誤しながら作っていくオーダーメイドの流れです。うまくいく日もあれば、どうにもならない日もあります。それでも、毎晩の小さな積み重ねが、親子の身体と心をじわじわと支えていきます。眠りに関する情報や専門家の助けも上手に取り入れながら、わが家らしいねんねルーティンを育てていけるとよいでしょう。
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ねんねルーティンと子どもの睡眠を理解するための参考文献です。
子どもの睡眠習慣と生活リズムの実態を知ります。
厚生労働省の情報提供サイトでは、幼児期の就寝時刻が年々夜型傾向にあることや、家族ぐるみで早寝早起きを整える重要性が解説されています。
厚生労働省 eヘルスネット「こどもの睡眠」 子どもの睡眠習慣と生活リズムの現状や、家庭で意識したいポイントがまとめられています。
年齢ごとの目安となる睡眠時間を確認します。
健康づくりのための睡眠指針の改訂案では、1歳から2歳、3歳から5歳、小学生といった年齢ごとの推奨睡眠時間が示され、生活習慣と合わせて考えることの大切さが述べられています。
厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針の改訂について」 子どもの睡眠時間の目安や、良い眠りのための環境づくりに関する最新の指針が紹介されています。
就寝前のルーティンが睡眠に与える影響を学びます。
海外の睡眠専門機関の資料では、子どもにとって就寝前の静かなルーティンが夜間の目覚めを減らし、眠りの質を高めることが研究結果とともに紹介されています。
National Sleep Foundation「Perfecting Your Child's Bedtime Routine」 就寝前の具体的なルーティンの組み立て方や、家庭で取り入れやすい工夫が英語でまとめられています。
子どもの睡眠と保護者のストレスの関係を考えます。
国立成育医療研究センターの調査研究では、就学前の睡眠リズムと保護者の負担感との関連が示されており、家庭での生活リズム調整が親子双方の健康に関わることが報告されています。
国立成育医療研究センター「子どもの適切な生活習慣形成等に関する調査研究」 子どもの睡眠や生活習慣と、養育者のストレスとの関係について詳しく知ることができます。




