京都教育大学附属京都小中学校 初等部は、何ができる子かより、どう育っていく子かを見る学校です。
学校選びで迷うとき、つい見てしまうのは、入試の情報や通いやすさです。もちろん、どちらも大切です。ただ、京都教育大学附属京都小中学校 初等部を考えるなら、そこだけでは足りません。この学校は、どれだけ早く答えを出せるかより、どんな姿勢で学び、人と関わり、社会へ向かっていくかを丁寧に見ている学校だからです。
その輪郭がよく出ているのが、教育方針に掲げられた4つの言葉です。「自主・自律」「個性・実践」「協調・共生」「寛容・貢献」。並びだけ見ると立派な標語のようですが、内容を読むとかなり具体的です。自分で学び、自分で考えて動くこと。他者の個性も認めながら、自分の力を使って行動すること。違う考えや文化を受け入れ、社会にも目を向けること。つまり、この学校の軸は、考えて動けることと、ひとりで完結せずに人と生きられることにあります。
小学校受験を考える家庭にとって、ここは大きな判断材料になります。知識を増やすことが無駄だという話ではありません。ただ、この学校では、知っていることより、知っていることをどう使うかが見られやすいでしょう。家庭で準備したいのも、答えの量だけではありません。自分の言葉で話すこと。相手の話を最後まで聞くこと。失敗したあとにもう1回やってみること。そうした日々の積み重ねが、そのまま相性につながりやすい学校です。
4つの教育方針を読むと、育てたい子どもの姿が見えてきます。
「自主・自律」は、放っておいてもできる子を求める言葉ではありません。
「自主・自律」と聞くと、何でも1人でできる子を思い浮かべる方もいます。ただ、初等部の方針を見ると、もっと足元のことを大切にしているのが分かります。課題に対して自分なりの方法で継続的に活動できること。学習を正しく丁寧に進めること。あいさつや返事を気持ちよく行うこと。こうした内容は、華やかな力というより、学校生活を安定して回すための土台です。
ここで求められているのは、早くできることより、崩れずに続けられることです。少し難しい課題でも席に戻れること。言われたからやるのではなく、自分でもう1回向き合えること。家庭で言えば、朝の支度を最後までやる、片づけまで含めて終える、返事をしてから動く、といった基本の動きが近いでしょう。
受験準備でも、この学校に向かうなら、先取りだけで押し切るより、ていねいさを育てるほうが後で効いてきます。「急がなくて大丈夫です。最後までやってみようか」「自分で気づいたのが良かったね」といった声かけは、この方針に沿いやすいです。自立は、急に完成するものではありません。小さな習慣の積み重ねで形になっていくものです。
「個性・実践」は、好きにさせることではなく、自分の力を使って動くことです。
この学校の面白さは、「個性」と「実践」が並んでいるところです。個性だけなら、自分らしさを大切にする学校という印象で終わります。けれど、そのあとに「実践」が続きます。つまり、自分らしさは、気持ちの中にしまっておくものではなく、目的に向かって使っていくものだと考えているわけです。
初等部の方針にも、自分の感じ方や考え方を育み、豊かに表現しようとする姿が示されています。美しいものを美しいと感じること。想像豊かに表そうとすること。ここには、単に正解を言える子より、感じたことや考えたことを外へ出せる子を育てたい思いが見えます。
家庭でつながりやすい準備も、難しいものではありません。「どうしてそう思ったの」「それをやってみたい理由は何かな」と、子どもの考えに少し時間をかけて耳を傾けることです。うまく言えなくても、最後まで待つことです。この学校では、自分の中にあるものを、自分なりの形で外へ出そうとする姿勢が育ちやすいでしょう。
「協調・共生」は、いい子に見えることではなく、違いのある相手と一緒に生きる力です。
「協調・共生」は、ただ仲良くしましょうという合言葉ではありません。教育方針には、さまざまな考えや文化を受け入れ、他と共生し、協調してはたらく人を育てるとあります。ここで大切なのは、自分と同じ相手とうまくやることではなく、違いがある相手とも関わっていくことです。
小学校受験では、どうしても「きちんとして見えるか」が気になります。ただ、この学校に合いやすいのは、固く整っている子だけではないでしょう。相手の話を受け止められること。順番を待てること。思い通りにならなくても、場をこわさずに動けること。そうした力のほうが、学校生活では長く効きます。
家庭でも、「先に言ってしまわないで、最後まで聞いてみようか」「自分と違っても、そう考える人もいるね」といった言葉が土台になります。共生という少しかたい言葉も、毎日の会話に戻せば、違いを否定せずにいられることだと見えてきます。
「寛容・貢献」は、やさしいだけで終わらず、社会へ目を向けることです。
4つ目の「寛容・貢献」まで読むと、この学校が見ている先が教室の中だけではないことが分かります。他者に寛容であること。社会に貢献すること。低学年のうちはまだ遠い言葉に見えるかもしれませんが、学校は早い段階から、日常の役割や社会での役割へつながる力を育てようとしています。
本校の特色でも、キャリア教育という考え方が示されています。キャリア教育とは、早く職業を決めることではありません。毎日の役割や人間関係の中で、自分がどう関わるかを学んでいくことです。係をやり切ること。困っている友だちに気づくこと。自分の行動が人にどう届くかを考えること。そうした経験が、社会へ向かう姿勢の入口になります。
だからこそ、家庭で大切にしたいのは、勝った負けたの話だけではありません。「手伝ってくれて助かったよ」「その言い方なら相手も安心するね」といった言葉で、自分の行動が人や場にどう影響したかを返していくことです。この積み重ねは、学校が大切にする「貢献」の感覚と重なりやすいです。
行事で見たいのは、本番の出来より、準備の場面です。
京都教育大学附属京都小中学校 初等部では、縦割り活動や学校行事で、子どもたちが主体的に企画や運営に関われる組織づくりが進められています。ここに、この学校らしさがよく出ています。行事を先生がきれいに仕上げるのではなく、子ども自身が動く場として位置づけているからです。
この考え方に合う子は、目立つ子だけではありません。前に出るのが得意でなくても、役割を理解して動ける子。人と相談しながら進められる子。必要なときに一歩出られる子。そういう子も十分に合いやすいです。主体的という言葉は、何でも自分が決めることではありません。場の中で自分の持ち場を見つけて動けることです。
受験を意識すると、指示を正確に守る練習に偏りやすくなります。それも必要ですが、この学校を見るなら、それだけでは少し足りません。たとえば家で、食卓を並べる役目を任せる。終わったあとに「どうしたらやりやすかった」と聞く。兄弟姉妹や大人と相談して決める場を作る。そんな日常の経験が、行事を自分ごととして動かす力につながっていきます。
特別支援学級との交流教育は、この学校の空気をよく表しています。
この学校の独自性として見落としにくいのが、特別支援学級と通常学級との交流教育です。公式には、学校生活の場面で日常的に交流し、お互いに理解を深め、仲間意識を持って個性を認め合い、協力しあう活動を進めていると示されています。しかも、それは行事のときだけではありません。初等部1年生から4年生では、通常学級と同じ校舎内に特別支援学級の教室を配置し、日常の交流が生まれやすい形がとられています。
ここで大切なのは、交流が特別な出来事ではなく、学校生活の中に置かれていることです。日常で顔を合わせ、同じ空気の中で過ごすからこそ、違いを抽象的な言葉ではなく、現実の人との関わりとして受け止めやすくなります。これは、教科の点数だけでは測れない、大きな学びです。
もちろん、交流教育があるから自動的にやさしい子に育つ、という単純な話ではありません。ただ、違いのある相手を排除せず、一緒にいることを前提に学校生活がつくられているのは、この学校の価値観をかなりよく表しています。家庭でも、「自分と違うから変なのではなく、違うから知ることがあるんだよ」と伝える会話は、この学校の空気とつながりやすいでしょう。
人を受け入れる力は、きれいごとではなく、毎日の態度に出ます。
受験準備の中で、協調性や思いやりという言葉はよく出てきます。ただ、言葉だけで整えても、日常に降りていなければ長くは続きません。相手のペースを待てるか。自分が先に言いたいときでも、少し相手に譲れるか。困っている人を見たときに、すぐ答えを言わず、どうしたのと声をかけられるか。そうした態度に、受け入れる力は表れます。
この学校の交流教育は、そうした力を育てる場として意味があります。だから家庭でも、「やさしくしなさい」とまとめるより、「いま相手はどんな気持ちだったかな」「どう言えば伝わりやすいかな」と、場面に引き寄せて話すほうが自然です。人を受け入れる姿勢は、正解を覚えて身につくものではなく、毎日のやりとりの中で少しずつ育つものです。
この学校は、受け身のままでも合う学校ではありません。
ここまで読むと、あたたかく、やさしい学校という印象を持つかもしれません。それはたしかに一面としてあります。ただ、同時に、自分で動くことをかなり大切にする学校でもあります。教育方針でも、特色でも、繰り返し出てくるのは、自ら学ぶこと、自ら実践すること、主体的に企画や運営に関わることです。
つまり、守られているだけで心地よい学校ではないでしょう。守られながらも、自分の役割を持つことが求められる学校です。ここに魅力を感じる家庭には、とても合いやすいと思います。反対に、子どもにはできるだけ指示された通りに動いてほしい、学校が細かく全部を整えてくれるほうが安心だ、と考えるなら、その違いは丁寧に見ておいたほうがよいです。
学校の良し悪しではありません。設計の違いです。京都教育大学附属京都小中学校 初等部は、考えて動くことと、人と関わることを、早い段階から学校生活の中に入れている学校だと言えます。
家庭で準備したいのは、特別な教材より、日々のやりとりです。
この学校を考える家庭が持ち帰りたいのは、難しい対策ではありません。まず、自分の考えを一言でも話せる時間を作ることです。次に、相手の話を最後まで聞く習慣をつけることです。そして、役割を持って最後までやる経験を増やすことです。この3つは、教育方針の4つすべてにつながっています。
たとえば、今日の出来事を1つ話してもらう。家の中で小さな当番を任せる。うまくいかなかったときに、すぐ正解を与えず「どうしたらできそうかな」と返してみる。そうしたやりとりは地味ですが、この学校が見ている子どもの姿にかなり近いです。
学校選びは、合格できるかどうかだけで決めるものではありません。その学校で、子どもがどんな毎日を送り、どんな方向に育っていくのかを想像することが大切です。京都教育大学附属京都小中学校 初等部の教育方針を読むと、ここが目指しているのは、成績だけで評価される子ではなく、自分の足で立ち、人と共に進める子なのだと見えてきます。その姿に家庭の願いが重なるなら、かなり相性のよい学校候補になるでしょう。
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参考文献。
京都教育大学附属京都小中学校 教育方針。
「自ら学び,自ら考え,自律的に行動できる人を育てます。」
京都教育大学附属京都小中学校 本校の特色。
「子どもたちが主体的に企画・運営していくことができる組織をつくり」
京都教育大学附属京都小中学校 本校の特色。
「個性を認め合い,協力しあう活動をすすめています。」
京都教育大学附属京都小中学校 教育目標。
「様々な考えや文化を受け入れ,他と共生し,協調して行動できる生徒。」
文部科学省 共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進。
「同じ場で共に学ぶことを追求するとともに」