桐蔭の準備は、家の会話と任せ方で静かに進みます。
桐蔭学園小学校の準備で土台になるのは、問題集を増やすことより、家庭の場面で子どもの力を言葉にできることです。ふだんの会話が短くても、問い返し方が少し変わるだけで、当日の落ち着きが変わっていきます。
桐蔭が掲げる軸は、6つのキーコンピテンシーです。コンピテンシーとは、知識を持っているだけではなく、考えて動ける力のまとまりだと捉えると分かりやすいです。家では、特別な教材がなくても、その芽を育てられます。
6つのキーコンピテンシーは、学び方そのものを整える言葉です。
思考力は、疑問を持ち、自分に問い、違いと共通点を見つけて、筋道立てて人に伝える力です。答えを当てるより、なぜそう言えるのかを話せると、思考力が見えやすくなります。
創造力は、自分の中にやりたいことをつくり、発想を広げ、工夫して新しい価値を見つける力です。うまく作るより、こうしたいという意図を持てることが大切です。
チャレンジ力は、できることより、やりたいことを選び、結果だけに縛られず、難しいことを楽しみながらやり抜く力です。失敗を避けるより、挑戦を続けられる形にするほうが伸びやすいです。
メタ認知力は、自分の行動や考えを振り返り、うまくいかなかった点を見つけ、どう直すかを理解して、失敗を次の成功につなげる力です。メタ認知とは、今の自分を外から見て言葉にする力だと思うとイメージしやすいです。
思いやりは、自分の行動が本当に相手のためになっているかを考え、配慮し、互いを尊重しながら信頼関係をつくる力です。優しくするだけではなく、相手の立場に立って想像し直せることが核になります。
エージェンシーは、新しい価値を見つけたり、対立やジレンマを乗り越えたりしながら、進む方向を自分で決め、必要な行動を選び、集団や社会をよりよくするために考えて動く力です。エージェンシーは、主役になって仕切る力ではなく、責任を持って一歩を選べる力だと言えます。
思考力とメタ認知力は、短い問い返しで育ちます。
家庭で効くのは、長い説明より、短い問い返しです。たとえば絵本を読んだあとに、何が起きたかを確認するだけで終わらせず、どうしてそうなったと思うかを聞きます。正解を待つ時間が数秒増えるだけで、子どもは自分の筋道をつくり始めます。
メタ認知力は、失敗の扱い方で伸びます。パズルが合わなかったときに、違ったねで終わらせず、どこで迷ったのかを一緒に探します。次は何を変えるかを一言で言えたら十分です。その一言が、当日の課題で固まりにくくする支えになります。
ここで大切なのは、親がうまく教えることではありません。子どもが自分で気づいた形を残すことです。家の会話が、桐蔭の授業で繰り返される考える楽しさにつながります。
創造力とチャレンジ力は、作り直せる日常で育ちます。
創造力は、最初から完成形を求めないほうが育ちます。たとえば工作で、同じ材料なのに思った通りに立たない瞬間があります。そのときに、もう無理だと片づけないで、何を変えたら立つかを一緒に試します。
チャレンジ力は、できたかどうかより、続けられたかどうかで育ちます。時間を区切って続けるより、途中で戻ってもいい空気をつくるほうが効果的です。やり直しが許される経験がある子は、初見の課題でも挑戦をやめにくいです。
桐蔭の学びは、問いを見つけて試し、また考える往復が土台にあります。家でも、試すことが日常に入ると、受験のための練習が生活の中に吸収されていきます。
思いやりとエージェンシーは、小さな役割の積み重ねで育ちます。
行動観察の場で目立つことは、必ずしも目的ではありません。周りを見て、自分で動けることが、静かに評価されやすいです。家では、先回りして整え過ぎないほうが、子どもの判断が育ちます。
配膳の一部を任せる、家族の予定を自分で確認する、困ったときに大人へ相談する。どれも小さいですが、自分で選んだ一歩になります。これがエージェンシーの芯になります。
思いやりは、優しい言葉を覚えることではありません。本当に相手のためになっているかを考え直すことです。兄弟姉妹や祖父母とのやり取りで、相手の気持ちを想像し直す機会があると、面接での言葉にも厚みが出ます。
桐蔭の学び方を知ると、家庭の整え方が具体になります。
桐蔭は、児童を中心とした学びを掲げ、単元シラバスやルーブリック評価を使って、何を育てるかを見える形にするとしています。単元シラバスは、今の単元で何を学び、どこへ向かうかを示す学びの地図です。ルーブリック評価は、できたかできないかではなく、でき方の段階を言葉で示す目安だと考えると分かりやすいです。
家庭で真似できるのは、評価の言葉を増やすことです。できたかどうかを問うより、どこがうまくいったかを聞きます。うまくいかなかった点も、責めずに一緒に言葉にします。この運びが、メタ認知力を支えます。
探究学習は、問いをつくる時間として進化しています。
桐蔭では探究学習を、総合探究と情報探究の2本柱で進める特徴が示されています。情報探究とは、調べ方やまとめ方など、情報を扱う基礎を学ぶ時間だと捉えると分かりやすいです。総合探究は、自分の問いを持ち、解決や表現に向かう時間です。
また、3年生以上で自分の興味を深めるゼミという時間を設ける考え方も示されています。ゼミとは、同じ興味を持つ仲間と学びを深める小さな学びの場だと言えます。家庭では、子どもが今気になっていることを聞き取り、問いの形に直すだけでも準備になります。
さらに、2025年度から新たな探究学習として桐蔭学園探究の時間を実施することが発表されています。実社会の課題解決を目指すことや、自分で選んだテーマを深めることが示されており、受験のための知識より、学び方が問われる流れが強まっていると言えます。
PC授業は、操作より試行錯誤を重視する設計です。
桐蔭のPC授業は、全学年で毎週1回あることが示されています。主にiPadを使い、アプリの基本確認のあとは、子どもが自ら試行錯誤して気づきを広げていく形だとされています。
特徴として、個から協働へ、そして個へ戻る流れが示されています。家で似た経験をつくるなら、家族に伝える小さな発表が有効です。たとえば週末に行きたい場所を決めるとき、理由を1つ添えて話してもらいます。聞く側は、いいねで終わらせず、別の案もあるかを返します。この往復が、思考力と創造力とエージェンシーを同時に動かします。
考査は、できる子を演じる場ではなく、普段の質がにじむ場です。
桐蔭の募集要項では、一般入試で総合観察テストと知能テスト、事前親子面接が示されています。総合観察テストには自由遊びや一斉活動が含まれる形が示されており、知能テストは言語や思考などを見るペーパーテストとして示されています。年度により細部が変わる可能性があるため、最新は必ず公式の要項で確認すると安心です。
また、一般入試とは別にアドベンチャー入試が示されており、総合観察テストと保護者面接で行う形が示されています。ペーパーだけでは測りにくい部分を見取りたい意図が読み取れます。家庭では、指示を聞いて動く場面や、初めての遊びで工夫する場面を増やすと、総合観察に近い力が育ちます。
ただし、受験対策を日常から切り離し過ぎると、子どもが緊張を抱えやすくなります。普段の生活の延長でできる範囲に収めることが、結果的に当日の安定につながりやすいです。
情報活用能力は、各教科等の学びを支える基盤です。
文部科学省 小学校学習指導要領解説 総則編 抜粋
視点を少し変えると、受験の不安が小さくなります。
受験は、合否で家庭の価値が決まる話ではありません。受験をする家庭でも、しない家庭でも、子どもがこれから出会う学びは、問いを持ち、伝え、直し、誰かと進める場面が増えていきます。桐蔭の6つのキーコンピテンシーは、その場面を生きやすくする言葉でもあります。
祖父母の方が関わる場合も同じです。アドバイスを急がず、子どもの話を一度受け取り、どうしてそう思ったかを聞く。最後に、応援の言葉を短く渡す。家庭の空気が穏やかになるほど、子どもは挑戦を続けやすくなります。
今日できる一歩は、問いを1つ増やすことです。
準備は、特別なことを始めるより、問いの質を少し上げるほうが効きます。どうしてそう思ったのか。別のやり方はあるか。次は何を変えるか。これを毎日すべてやる必要はありません。週に数回でも、家の言葉が変わると、子どもの言葉も変わっていきます。
桐蔭の学び方を意識して家庭を整えると、受験の準備が勉強というより、生活の手触りに近づきます。そこまで来ると、当日は特別な日であっても、子どもはいつもの自分で立ちやすくなるでしょう。
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参考文献です。
6つのキーコンピテンシーを軸に、児童を中心とした学びを進める考え方が示されています。
2025年度から新たな探究学習として桐蔭学園探究の時間を実施することが示されています。
全学年で毎週1回のPC授業があり、iPadを用いた試行錯誤と協働の流れが示されています。
一般入試で総合観察テストと知能テスト、事前親子面接が示されています。
Student agencyは、学び手が方向を選び、責任ある行動を取る力として整理されています。
OECD Student Agency for 2030 Concept Note 学び手のエージェンシーの位置づけが確認できます。


