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非認知能力とは何か。受験期に崩れにくい、戻れる力の育て方ガイド

非認知能力は、受験の技術より先に、毎日を戻す力です。

小学校受験でも中学校受験でも、最後に頼りになるのは、知っていることを当日の動きに変える力です。覚えたはずなのに手が止まる。言葉が出ない。待てない。そこで崩れるのは、学力の不足というより、気持ちの揺れから戻れない時間が長いからだと言えます。

このページでは、非認知能力を、戻れる力としてまとめます。泣いたり、怒ったり、固まったりしても、次の一手へ戻れる力です。戻れる力は、性格の良し悪しではありません。家庭の中で、順番として育てやすい力です。

受験を決める家庭にも、まだ迷っている家庭にも、同じ効き方をします。いまの生活が少し回りやすくなる。受験期に空気が荒れにくくなる。親の迷いが減る。そういう形で、静かに効いてきます。

見えにくいけれど、見られている力があります。

非認知能力は、テストの点や知識量のように、紙の上で測りやすい力ではありません。気持ちを落ち着かせる。うまくいかないときに立て直す。人とやり取りしながら進める。こうした日常の力です。

受験の場では、もっと小さな動きとして現れます。話を聞いて動けるか。待てるか。やり直せるか。先生の指示の途中で先走らないか。手が止まったときに、黙ったまま固まり続けないか。そういう動きが、答案や制作物より前に見られることがあります。

だからこそ、非認知能力は、点数に直結しないから後回しでよいという話ではありません。むしろ、点数や合否の手前にある、当日の動きを安定させる土台です。

戻れる力という言い方にすると、家庭で扱いやすくなります。

非認知能力という言葉は、広くてつかみにくいです。そこで、戻れる力と呼ぶほうが、家庭の中で迷いが減ります。戻れる力は、揺れても戻れることです。揺れない子にすることではありません。

たとえば、朝の支度でぐずったときに、泣くこと自体は問題ではありません。泣いたあとに、靴へ戻れるか。玄関へ戻れるか。その戻り道が短いほど、毎日が回ります。

勉強でも同じです。間違えることは悪ではありません。間違えたあとに、消してやり直せるか。言い訳の時間を短くできるか。戻れる力は、積み上げを可能にします。

小学校受験と中学校受験で、見られ方は違うようで似ています。

小学校受験は、子どもが幼いぶん、家庭の空気が表に出やすいと言えます。緊張が強いと、言葉が少なくなったり、動きが硬くなったりします。親が焦るほど、子どもも焦ります。だから、親が戻れる言葉を持っていることが、子どもの動きにつながります。

中学校受験は、学習量が増えるぶん、長期戦の耐久力が必要になります。気持ちの波は必ず出ます。波が出たときに、机に戻るまでの時間を短くできる家庭ほど、結果が安定しやすいでしょう。

どちらでも、聞く。待つ。切り替える。やり直す。この4つが安定しているほど、力が出やすいと言えます。

非認知能力は、学力の代わりではなく、学力を出す前提です。

学力は大事です。ただ、学力だけで勝つ時期は長く続きません。受験勉強は、できる日とできない日が混ざります。そこで必要になるのが、気持ちを落ち着かせ直し、もう一度机に戻る力です。

知っていることを当日の動きへ変換するには、頭の中の知識より、身体の順番が先に動く必要があります。先生の指示を最後まで聞く。手を動かす。分からないときは、分からないと言う。手が止まったら、深呼吸して再開する。これらは、学力そのものではなく、学力を使うための回路です。

家庭でできるのは、気合いを増やすことではありません。戻れる流れを作り、同じ順番を繰り返すことです。

家庭で増やせるのは、評価ではなく、行動の型です。

非認知能力は、性格の良し悪しではありません。家庭で増やせるのは、行動の型です。うまくいかないときに、何をするかが決まっている家庭は強いです。決めるのは子どもではなく、大人のほうです。大人が決めておくと、子どもは迷いが減ります。

型は、長い説教ではなく、短い順番です。言い方も短くします。短いほうが、子どもは戻れます。

たとえば、朝の支度が崩れたら、叱るより、戻り方を短く言葉にします。いまは焦っているね。大丈夫です。靴をはきましょう。こう言われると、子どもは次の動きに戻りやすくなります。

声かけは、気持ちの説明より、次の動きを渡すほうが効きます。

子どもは、気持ちの渦の中にいるとき、先の話を聞けません。だから、説明は短くします。長い理由は、落ち着いたあとに回します。戻れる力を育てる声かけは、今の状態を受け止め、次の動きを一言で渡す形が合います。

いま悔しいね。ここまで来られたよ。次は、問題の上に指を置こう。こうすると、気持ちが切り替わるまで待つ時間が短くなります。

うまくいかないときほど、正しさの話は届きません。届くのは、次の一歩です。

小学校受験の家庭で使いやすい言葉です。

いまは緊張しているね。深呼吸しよう。先生の目を見るよ。

止まっても大丈夫です。合図があったら動こう。

分からなかったら、分からないと言っていいよ。言えたら戻れます。

できたかどうかより、最後まで聞けたね。そこが強いよ。

中学校受験の家庭で使いやすい言葉です。

今日は重い日だね。まず机に座ろう。座れたら勝ちです。

間違えてもいいです。消してやり直せば伸びます。

いまは手が止まっているね。まず1問だけ進めよう。

焦りが出たら、計算の行をそろえよう。落ち着きは形から戻れます。

小さな情景で考えると、戻れる力は見えやすくなります。

雨の日の朝を想像してみてください。靴下が濡れるのが嫌で、玄関で固まる。ランドセルを背負うのを拒む。こういう日は、どの家庭にもあります。そこで、親が正しさを積み上げると、玄関が長引きます。戻れる力は、玄関の時間を短くする技術です。

濡れるのが嫌だったね。大丈夫です。替えを入れよう。靴をはこう。こう言われると、子どもの頭の中に、次の順番が置かれます。順番が置かれると、動きが戻ります。

受験期の家庭は、こういう小さな朝を何度も通ります。だから、戻れる言葉を用意しておくほど、家の空気が荒れにくくなります。

視点を変えると、戻れる力は子どもだけの問題ではありません。

非認知能力という話は、子どもの努力や根性の話に見えやすいです。ただ、実際に変えられるのは、家庭の設計です。設計とは、同じ順番をつくることです。家の流れが安定すると、子どもは戻りやすくなります。

そして、戻れる力は、親にも必要です。親が焦ったときに戻れるか。親が不安になったときに、言い方を短くできるか。親が戻れるほど、子どもも戻れます。

祖父母が関わる家庭なら、なおさらです。祖父母の言葉が増えるほど、子どもは迷います。役割を決めておくと、子どもは戻れます。励ます人。見守る人。送り出す人。役割が分かれていると、家庭の空気が静かになります。

戻れる力は、家庭で回る小さな仕組みで育ちます。

非認知能力は、生まれつきで決まるのではないか。そう感じる瞬間はあります。得意不得意はあります。ただ、非認知能力は、環境と経験で伸びやすい領域だと整理されています。教育で育つ余地があるという見方です。

ここで大切なのは、精神論に寄せないことです。頑張れという言葉は、すでに頑張っている子には重くなります。代わりに、戻る道を短くします。

戻る道は、だいたい同じ場面で必要になります。朝。食事。宿題。習い事の前後。寝る前。家庭の中でいつ崩れるかが見えてくると、先回りで型を置けます。

朝の型は、受験期の家庭を守ります。

朝は、時間が短いです。短い時間に、身支度と移動が詰まっています。ここが崩れると、1日が揺れます。だから、朝は選択肢を減らします。服は決める。持ち物は前夜に置く。声かけは短くする。これだけでも、戻れる力が育ちます。

声かけは、手順を先に出す形が効きます。顔を洗うよ。次に靴下だよ。最後に玄関です。こうすると、子どもは次を想像できます。想像できると、焦りが減ります。

崩れたときの言葉も決めておきます。いま止まったね。大丈夫です。次は靴下です。いつもと同じに戻ろう。短い言葉は、家庭の安全装置になります。

勉強の型は、学力の伸び方を変えます。

勉強の時間は、長くやるほど伸びるとは限りません。戻れる力が育つのは、短く始めて、短く戻る練習です。机に座る。道具を出す。1問やる。丸つけをする。間違えたら消して直す。終わったら片付ける。こういう順番が決まるほど、机に戻りやすくなります。

やりたくないと言ったときは、時間の交渉より、入口を小さくします。1問だけやろう。ここだけ読むよ。これだけ書こう。入口が小さいと、戻りやすいです。

親が解説を長くすると、子どもは受け身になります。受け身になると、止まりやすいです。だから、問いは短くします。どこで止まった。次は何をする。どう直す。短い問いが、戻れる力を引き出します。

受験の場面で見られやすい戻り方があります。

戻れる力は、受験の場で、いくつかの場面で特に見えます。椅子に座るまで。先生の話を聞くあいだ。制作や運動で失敗したあと。待ち時間。こういう場面で、固まり続けるか、戻れるかが差になります。

小学校受験では、聞いて動く力が特に出ます。聞き逃して先走ると、できることでも崩れます。だから、家庭では、最後まで聞く練習を日常に入れるのが安全です。たとえば、家の中で簡単な指示を出します。ここに置いて。次に手を洗って。最後に座って。これを遊びのように回すだけで、聞く力が育ちます。

中学校受験では、間違いから戻る力が出ます。模試や過去問で崩れた日ほど、戻れる力が問われます。結果に触れる前に、やり直しの形を先に置くとよいでしょう。間違えたところだけ、もう一度やろう。今日はそれで終わりです。こう言われると、子どもは今日を閉じやすくなります。

褒め方は、結果より手順が安定します。

褒めれば伸びる。そう聞くことがあります。褒め方の軸が大事です。結果を褒めるだけだと、結果が揺れた日に苦しくなります。手順を褒めると安定します。

よく聞けたね。最後までやってみたね。迷ったけど戻れたね。こうした言葉は、次に何を続ければよいかが分かりやすいです。子どもは、やることが分かると戻れます。

そして、褒めは大げさである必要はありません。短く、具体で十分です。いまの戻り方がよかったよ。落ち着いたね。そう言われると、戻れる力が記憶になります。

よくある質問に、家庭の目線で答えます。

非認知能力は、生まれつきで決まるのではないですか。

得意不得意はあります。動ける子もいれば、慎重な子もいます。ただ、非認知能力は、環境と経験で伸びやすい領域だと整理されています。家庭でできるのは、子どもの性格を変えることではありません。戻れる流れを作り、同じ順番を繰り返すことです。

変える対象は、子どもの内面というより、家庭の手順です。手順が変わると、子どもの動きが変わります。動きが変わると、本人の手応えが変わります。手応えが変わると、戻れる力が育ちます。

非認知能力さえあれば、勉強は後回しでもよいですか。

そうではありません。非認知能力は学力の代わりではなく、学力を使える形にする土台です。学力と非認知能力は競争ではなく、組み合わせです。家庭に合うバランスを探すほうが安全です。

たとえば、計算や漢字が伸びると、本人の安心が増えます。その安心が、戻れる力を助けます。逆に、戻れる力が育つと、勉強に戻りやすくなります。相互に支え合う関係です。

褒めれば伸びると聞きます。どんな褒め方がよいですか。

結果だけを褒めると、結果が出ない日の自分を否定しやすくなります。そこで、手順を褒めます。聞けた。待てた。直せた。戻れた。こういう動きを言葉にします。

褒めとセットで、次の動きを渡すと、さらに育ちやすいです。よく戻れたね。次も同じように、止まったら深呼吸しよう。こう言われると、子どもは次の回に使えます。

受験を決めつけずに、判断軸を持つと安心が残ります。

受験は、したほうがよい。しないほうがよい。そういう話ではありません。家庭に合う形があるかどうかです。戻れる力を育てる取り組みは、受験をしない家庭でも、生活を回す助けになります。受験をする家庭では、受験期の空気を荒れにくくします。

判断軸は、子どもがどれだけできるかではなく、家庭がどれだけ戻れるかに置くとよいでしょう。崩れた日の立て直しができるか。声かけを短くできるか。翌日に持ち越さない形で閉じられるか。そこが整うほど、受験の負担は軽くなります。

今日できる小さな一歩は、戻り方を1つ決めることです。

完璧な計画は、続きません。続くのは、短い型です。家庭で崩れやすい場面を1つ選びます。朝。宿題。寝る前。どこでもよいです。その場面の戻り方だけ、決めます。

いまは止まったね。大丈夫です。次はこれです。たったこれだけでも、戻れる力は育ちます。明日も同じ言い方で戻します。言い方が同じだと、子どもは迷いません。

非認知能力は、見えにくいです。ただ、毎日に出ます。戻れる力が増えるほど、受験は技術の勝負になっていきます。家庭の空気が、学びを邪魔しなくなっていくからです。

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