7〜9歳の入口は、勉強量を増やすより、帰宅後の型を作ることです。
7〜9歳は、勉強の中身より先に、始めるところで止まりやすい時期です。やる気がある日でも、机に向かうまでが重い。帰宅後にだらだらしてしまう。そこから親子の会話が荒れやすくなります。
迷いを減らす鍵は、頑張らせることではなく、始めやすい型を作ることです。非認知能力は性格の良し悪しではありません。家庭で増やせるのは、始める、続ける、終える、戻るという行動の流れです。流れが整うと、学習は自然に積み上がりやすくなります。
受験を意識する家庭でも、いま急いで量を増やすより、できない日でも戻れる流れを持つほうが安全です。できる日だけの頑張りより、戻れる日が増えるほうが強いです。
最初に決めるのは、始める合図です。
7〜9歳は、始める一歩が重くなりやすいです。勉強が嫌いというより、切り替えが苦手な日があるというほうが近いでしょう。帰宅直後は疲れています。友達との出来事も残っています。体が学校モードのままなので、机に切り替えるのが難しいことがあります。
そこで、合図を固定します。帰宅して手を洗ったら机に座る。おやつの前に宿題を開く。夕食の前に計算だけやる。家庭に合うものを1つに決めます。合図が決まると、迷いが減ります。迷いが減ると、親の注意も減ります。注意が減ると、家庭の空気が荒れにくくなります。
合図は、いつも同じ形が強いです。親の気分で変えないほうが続きます。子どもにとっては、合図が見通しになります。見通しがあると、反発が出ても戻りやすくなります。
帰宅後の情景を、1つだけ決めておきます。
玄関でランドセルを下ろして、ソファに吸い寄せられる。気づいたら動画やゲームに流れている。こういう日は珍しくありません。ここを叱って戻すより、場面の順番を小さく決めるほうが効きやすいです。
手を洗ったら座ろう。座ったらノートを出そう。ここまででいいよ。ここまでを一緒にやります。始める合図が通るだけで、その日は勝ちです。小さな勝ちが、次の日の軽さになります。
声かけは、命令より、次の1つだけを案内すると動きやすいです。
7〜9歳は、言われると反発しやすい時期でもあります。やりなさいと言われると、内容ではなく関係のほうが動きます。反発が出ると、机に向かう前に疲れます。
だから、命令ではなく案内にします。いまは何から始める。ここまででいいよ。そう聞くほうが、子どもの頭が動きます。迷っているときは、まずはノートを出そう。タイマーを押そう。そう言って、行動を1つだけ一緒に始めます。
大切なのは、全部を正すことではありません。1つだけ前に進めることです。前に進めた日は、戻れる経験が増えます。戻れる経験が増えると、親子の会話が細くなりにくいです。
反発が出る日は、選択肢を減らすと戻りやすいです。
反発が出る日は、説明を増やすほどこじれやすいです。そんな日は選択肢を減らします。いまは座るだけ。いまは開くだけ。ここまで。短い目標は、親の心も落ち着かせます。
座れたら次に行こう。開けたら次に行こう。こう言うと、子どもは終わりが見えます。終わりが見えると、始めやすくなります。
終わり方を決めると、続ける力が育ちやすいです。
7〜9歳は、終わり方が曖昧だと、だらだら続きやすいです。だらだらが続くと、次の日が重くなります。重い日が増えると、帰宅後の型が崩れやすくなります。
そこで、終える合図を作ります。ここまで終わったら終わり。タイマーが鳴ったら終わり。終わったら片づける。終える経験が増えると、次の日の始めが軽くなります。
終える合図は、頑張りを削るためではありません。明日に残すための合図です。明日に残せると、家庭は続きます。続く家庭は、受験期にも崩れにくいです。
終わりの合図のあとに、次の行動を置きます。
終わりだけを告げると、子どもは宙に浮きやすいです。だから次を短く出します。片づけたらおやつにしよう。終わったら自由時間にしよう。終わったらお風呂に行こう。次があると、終えるのが軽くなります。
この順番が回ると、だらだらが減りやすいです。だらだらが減ると、親の叱る回数も減りやすいです。叱る回数が減ると、家の空気が安定しやすくなります。
視点を変えると、これは勉強の話より、切り替えの話です。
帰宅後に止まるのは、能力の問題ではないことが多いです。切り替えの負担が大きいだけです。負担が大きいと、先延ばしが増えます。先延ばしが増えると、親の声が強くなります。声が強くなると、子どもは動けなくなります。ここで家庭が疲れていきます。
だから、増やすのは勉強量ではなく切り替えの道です。始める合図。次の1つだけの案内。終える合図。戻る手順。この道が短くなるほど、家庭は持ち直しやすいです。
受験を意識するなら、宿題は正しさより手順が大切になります。
受験期に強いのは、できる日だけ頑張る家庭ではなく、できない日でも戻れる家庭です。7〜9歳でやっておく価値は、間違えた後の手順を身につけることです。
手順はシンプルで、同じ形が強いです。どこで間違えた。もう1回同じところを見る。赤で直す。次へ進む。ここを短く回せると、勉強が積み上がりやすくなります。
声かけは、間違えたねより先に気づけたねへ寄せます。気づけたね。じゃあここだけ直そう。こう言われると、子どもは戻りやすいです。戻れると、次の日の始めが軽くなります。
やり過ぎを避ける線引きは、会話が細くならないことです。
受験を意識すると、直しが増えやすいです。直しが増えると、親の言葉が長くなりやすいです。長いほど子どもは疲れます。疲れると反発が出ます。反発が出ると、型が崩れます。
線引きは、今日はどこまでで終えるかを先に決めることです。直しは全部ではなく、ここだけにします。ここだけ直したら終わり。そうすると、終える経験が残りやすいです。
よくある質問。
帰宅後にだらだらしてしまいます。どう戻せばよいですか。
叱るより、合図を作るほうが効きやすいです。手を洗ったら机に座る。机に座ったらノートを開く。ここまでを一緒にやります。言葉は短くして大丈夫です。いまは座ろう。ノート開こう。ここまででいいよ。こうすると戻りやすくなります。
戻れた日は、手順を言葉にします。いま座れたね。始められたね。こう言われると、次の日の入口が軽くなります。
親が横にいないと進みません。自立はいつ育ちますか。
いきなり1人にするより、見守りを薄くしていくほうが現実的です。最初だけ一緒に始める。途中は近くで別のことをする。終わりだけ一緒に確認する。こうして関わり方を少しずつ変えると、自立が育ちやすくなります。
自立は、放っておくことではありません。始めると終えるを支えながら、途中の関与を薄くすることです。薄くできた日は、それ自体を手順として残します。今日は1人で進められたね。途中で戻れたね。こう言うと次も続きやすいです。
できたときは何と言えばよいですか。
結果より手順に寄せると、次も続きやすいです。よく始められたね。途中で戻れたね。最後まで終えたね。こうした言葉は、子どもにとって次の動きが分かりやすくなります。
大げさに褒める必要はありません。短く具体で十分です。いまの終わり方がよかったよ。そう言うだけで、明日の入口が軽くなります。
今日できる小さな一歩は、合図を1つだけ固定することです。
帰宅後の型は、一度に完成しません。だから、小さく始めます。始める合図を1つだけ決めます。手を洗ったら座る。座ったら開く。ここまでで十分です。
次に、終える合図を1つだけ決めます。タイマーが鳴ったら終わり。ここまで終わったら終わり。終わったら片づける。終える経験が増えると、次の日の始めが軽くなります。
7〜9歳の非認知能力は、頑張りを増やすより、始めると終えるの道を短くすることで伸びやすいです。家庭が持ち直すほど、学びも受験準備も積み上がりやすくなります。
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関連リンク
参考文献。
Children aren't born with these skills.
Harvard Center on the Developing Child(切り替えや自己調整に関わる力の整理が確認できるページ)
