0〜2歳の朝時間は、体内時計の土台をつくります。
赤ちゃんや幼い子どもとの朝は、抱っこしたままカーテンを開けたり、少し眠そうな顔でこちらを見つめたり、とても静かな時間になります。 夜の眠りがまだ安定しない0〜2歳のあいだは、この朝のスタートをそろえていくことが、少しずつ体内時計という、体の中にある時計のようなリズムを整える助けになります。
ここでは、0〜2歳の子どもの朝時間を「朝のスイッチ習慣」と呼びます。 起きる時刻と朝の流れをできる範囲で決めておき、毎日同じように繰り返すことで、子どもの体と心に「ここから1日が始まる」という合図を届ける考え方です。
朝のスイッチ習慣で、眠りのホルモンを切り替えます。
私たちの体には体内時計があり、朝と夜のリズムを作っています。 光を浴びたり、食事を取ったりするタイミングが、この時計の時刻合わせの役割を持っています。 特に朝の光は、眠気をもたらすメラトニンというホルモンの分泌を止めて、目を覚ましやすくするとされています。
0〜2歳の子どもはまだ自分で生活リズムを整えることができないので、保護者が「毎朝カーテンを開ける」「同じ言葉で起こす」「朝ごはんを一緒に囲む」といった小さな習慣を用意してあげることが大切になります。 完璧に同じ時刻でなくても、だいたい同じ時間帯に同じ流れになることが、体内時計には十分な合図になります。
日本の公的な資料でも、朝の光と朝食が睡眠と覚醒のリズムを整える鍵になると示されています。 夜の寝つきだけに目を向けるのではなく、朝の過ごし方という入り口から整えていく発想を持つと、少し気持ちが楽になるかもしれません。
0〜2歳の朝時間を、月齢と成長に合わせて整えます。
生まれてすぐのころは昼夜の区別がまだはっきりせず、数時間ごとに授乳と睡眠を繰り返します。 それでも、朝になったらカーテンを開けて部屋を明るくし、日中はなるべくリビングなど生活の音がする場所で過ごすことで、少しずつ「明るい時は起きている時間」「暗い時は眠る時間」という感覚が育っていきます。
0〜6か月ごろは、光と声で1日を始めます。
0〜6か月ごろの赤ちゃんは、夜間の授乳も多く、朝にまとめて起きるという形にはなりにくいです。 それでも、朝になったらカーテンを開けて「おはよう」と声をかけ、水分補給や授乳をしたら、少しだけ抱っこで家の中を歩くなど、毎日のスタートをゆったりとそろえていきます。
この時期は大人の都合どおりに起きてもらうことよりも、「朝の明るさ」「人の声」「授乳や抱っこ」といった心地よい刺激と、夜の暗さとの違いを体に覚えてもらうことを意識すると良いでしょう。
6〜12か月ごろは、朝起きる時間帯をだいたい決めます。
6〜12か月ごろになると、夜に続けて眠れる時間が少しずつ伸びていきます。 まだ夜間の授乳が残っていても、朝はだいたい同じ時間帯に起きるように意識して、光を入れ、声をかけ、朝の水分や朝食へと流れをつなぎます。
起きた直後は機嫌が悪そうでも、顔をぬるま湯でやさしく拭いたり、音楽を小さく流したりして、ゆっくりと体を目覚めさせます。 授乳やミルクも朝のリズムの一部になります。 この時期から、日中に少し外気浴をしたり、ベビーカーで短時間の散歩をしたりすると、光と活動の刺激が体内時計の安定につながりやすくなります。
1〜2歳ごろは、朝の行動を子どもと共有します。
1〜2歳ごろになると、朝の行動を言葉や身振りで一緒に確認できるようになります。 「カーテンを開けよう」「お水を飲もう」「朝ごはんにしようね」と、短い言葉を繰り返すことで、子ども自身も流れを覚えていきます。
起床後すぐに激しい遊びを始めるのではなく、まず水分補給やトイレ、着替えなどをすませてから、簡単な体操やおもちゃ遊びに進むと、1日のリズムが落ち着きやすくなります。 朝の行動を絵カードや写真にして、子どもと一緒に確認する方法も、言葉が増えてきた時期には役立ちます。
画面との付き合い方で、夜の眠りを守ります。
日中にテレビや動画を完全に避けることが難しい家庭も多いと思います。 一方で、世界保健機関などは2歳未満の子どもについて、受け身の画面視聴をなるべく控えることを勧めています。 言葉や運動の発達の面だけでなく、強い光や刺激が睡眠のリズムに影響しやすいからです。
どうしても画面を見せる場面がある場合は、短い時間に区切り、必ず大人がそばについて一緒に見るようにします。 特に夕方から夜にかけては、部屋の明かりを少し落として静かな遊びに切り替え、入眠の直前はスマートフォンやタブレットなどの明るい画面から離れるように意識します。
日本の未就学児向けの指針でも、寝る前の明るい光や情報機器の使用は、睡眠と覚醒のリズムを乱しやすいとされています。 家族全体で夜の画面時間を減らすようにして、大人も一緒に早めに電源を切ると、子どもの行動も自然と変わっていきます。
家族の事情に合わせて、無理のない朝を探ります。
共働きで保育園の送迎がある家庭と、自宅で子育てをしている家庭とでは、朝の忙しさや使える時間が大きく違います。 0〜2歳の時期は、育児と家事の負担も大きく、理想どおりの生活リズムを毎日続けることは難しいのが普通です。
その中で大事になるのは、「すべてを整える」ことよりも、「これだけは続ける」という優先順位を決めることです。 たとえば、何時に起きてもいいので起床後は必ずカーテンを開ける、朝は大人も一緒に座って水分や朝食を取る、前の晩が大変だった日は午前の予定を減らして子どもの様子をよく見る、といったように、家庭ごとに守りやすい線を探します。
また、病気の後や環境の変化があった時には、一度整っていたリズムが崩れることもあります。 そのような時期は、体調を最優先にして休みを多めに取り、元気が戻ってきた段階で、また朝のスイッチ習慣から少しずつ取り戻していく流れでも十分です。
気になるサインがあれば、専門家と一緒に考えます。
0〜2歳の睡眠時間や起きる時刻には、もともと個人差が大きくあります。 睡眠時間が長い子もいれば、昼寝を小分けにすると調子が良い子もいます。 多くの専門家は、日中に極端な眠気や不機嫌が続かず、成長と発達が順調であれば、多少の違いは心配し過ぎなくて良いと伝えています。
一方で、朝に起こそうとしてもほとんど反応がない、夜間に呼吸が止まったように見える、大きないびきが続く、日中も常にぼんやりしている、といった様子がある場合は、小児科などに相談する目安になります。 保護者が「何かおかしい」と感じる感覚も、とても大事なサインです。
朝のスタートを整える工夫は、家庭で取り入れやすい方法ですが、それだけで解決しようと抱え込む必要はありません。 気になることがあれば、健診の機会やかかりつけ医を活用しながら、専門家と一緒にその子に合ったリズムを探していく姿勢が安心につながります。
朝の小さな積み重ねが、親子の1日を支えます。
夜泣きや寝かしつけに悩んでいると、「うまく眠らせてあげられなかった」と感じてしまうことがあります。 そんな時でも、朝にカーテンを開けて「おはよう」と声をかける、小さな散歩をする、朝食の時間だけはテレビを消して向き合う、といった一歩を続けているなら、それ自体が子どもの体内時計を支える立派なケアになります。
0〜2歳の時期は、完璧なスケジュールを守ることよりも、親子が無理なく続けられる朝の習慣を見つけることが大切です。 今日できなかったことがあっても、また明日の朝から整えていけば良いと考えながら、家族の形に合ったリズムをゆっくり育てていけると良いでしょう。
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参考文献。
世界保健機関による、5歳未満の子どもの睡眠と画面時間の指針。
日本の幼児を対象とした、睡眠と情報機器使用に関する資料。
体内時計と光の関係を解説した、日本の公的情報。
睡眠と生活リズムづくりに関する、最新の日本のガイド。
乳幼児の健康的な睡眠習慣についての、専門家による保護者向け解説。
Canadian Paediatric Society, Healthy sleep for your baby and child.






