京都教育大学附属京都小中学校 初等部のカリキュラムは、早く進むためではなく、9年間でつなげるために作られています。
学校の独自性は、説明会の言葉より、カリキュラムの置き方に出ます。京都教育大学附属京都小中学校 初等部の教育課程を見ると、この学校が先に育てたいのは、単発で点を取る力ではなく、9年間の中で役割を見つけ、人と関わりながら学びを深めていく力だと分かります。ここでは、学年ごとの区切りより、次につながる流れのほうが重く見られています。
その中心に置かれているのが、キャリア教育です。キャリア教育という言葉を聞くと、将来の仕事を早く決める話のように見えるかもしれません。けれど、この学校で言うキャリア教育は、もっと生活に近いものです。自分にどんな役割があるのかを知ることです。人と一緒に動く中で、自分の学びがどう生きるかを感じることです。つまり、勉強だけを前に進めるのではなく、学ぶ理由や使い方まで育てようとしているわけです。
この考え方に立つと、家庭での準備も変わってきます。問題を多く解くことだけが準備ではありません。「どうしてそれをやるのかな」「やってみてどうだった」と言葉にする習慣が、学びをつなぐ土台になります。うまくできたかどうかだけで終わらせず、理由とふり返りまで含めて会話できる家庭は、この学校の流れに入りやすいでしょう。
9年間を1本で見る設計が、この学校のいちばん大きな特徴です。
教育課程の公式ページでは、義務教育9か年を大きな枠組みとして、キャリア教育を土台に行事や活動を計画的に取り組んでいると示されています。ここで大切なのは、教科の時間割だけを並べているのではないことです。行事も活動も、学びの一部としてつながるように置かれています。
この設計だと、低学年で身につけたいことも変わります。早く難しい内容へ進むことより、自分の役割に気づくこと、相手とやりとりしながら進めること、考えたことを言葉にすることが大切になります。初等部の段階から、学びは1人で完結するものではなく、人と関わる中で深まるものとして扱われています。
受験を考える家庭にとって、この見方はかなり重要です。入学前に先取りで形を整えることはできても、9年間の流れに乗れるかどうかは別だからです。京都教育大学附属京都小中学校 初等部は、完成された子を入れる学校というより、つながる学びの中で伸びていく子に合いやすい学校だと言えます。
キャリア教育は、仕事の話ではなく、役割の感覚を育てることです。
この学校のキャリア教育は、将来の職業を早く決めさせるものではありません。日常の中で自分の役割を持ち、その役割を通して人や社会とのつながりを感じることに近いです。係を受け持つこともそうです。行事の中で役割を果たすことも同じです。自分の動きが、まわりの人や場にどう影響するかを知る経験が、9年間の土台として置かれています。
家庭でも、これに特別な教材は要りません。食卓を運ぶ、明日の持ち物をそろえる、家の中で1つ役割を持つ。そのあとに「やってみてどうだった」「次はどうしたらやりやすいかな」と会話するだけでも、かなり近い準備になります。役割を持つことと、ふり返ること。この2つが重なると、学びは急に学校らしくなります。
1年生からの英語科は、先取りの競争ではなく、ことばにひらく入口です。
この学校では、1年生から英語が教科として位置づけられています。ここで見落としたくないのは、英語を早く難しくすることが目的ではない点です。教育課程の特色として示されているのは、英語教育の充実のために、1年生より英語科として教科指導を行っているということです。つまり、英語が特別活動ではなく、学校生活の中に自然に置かれているということです。
このような学校で大切になるのは、英単語をたくさん知っていることより、音やことばに抵抗がないことです。知らない音が出てきても固まらないことです。まねして言ってみることです。伝わったときにうれしいと感じることです。英語を得意科目にする前に、ことばを使うこと自体を前向きに受け止められるかどうかが、入口としてはかなり重要になります。
家庭でも、無理に難しい教材を増やすより、聞いてみる、言ってみる、通じたら笑う、という経験のほうが合いやすいでしょう。「発音を間違えないように」より、「言ってみようか」のほうが、この学校の空気には近いです。英語が学びの一部として続いていく学校では、最初の一歩の軽さがあとから効いてきます。
英語が教科に入ると、話すことへの構えも育てやすくなります。
1年生から英語科がある学校では、ことばを使う姿勢そのものが育ちやすくなります。上手に話すより、聞いて、まねして、返してみることが日常化するからです。これは、英語だけの話ではありません。日本語での説明や発表、相手とのやりとりにもつながりやすい土台です。
だから家庭でも、「ちゃんと言いなさい」と形を急がせるより、「どう言ったら伝わりそうかな」と一緒に考えるほうが自然です。ことばを出すことに安心がある子は、この学校の初等部でかなり伸びやすいでしょう。
3年生から技術科と家庭科が入るのは、暮らしと学びを早い段階で結び直すためです。
この学校のカリキュラムで特に独自性が高いのが、3年生から技術科と家庭科を取り入れている点です。公式ページでは、プログラミング教育と食育を系統的に取り入れるために、第3学年より技術科と家庭科を取り入れていると示されています。これは、ただ教科を早く始めることが目的ではありません。手を動かすこと、暮らしの中の学びを感じること、考えたことを試すことを、低学年のうちから教科の中に入れているということです。
京都教育大学の公開記事でも、3年生の家庭科では、みそ汁作りを通して、だしを取ることや包丁の使い方を学んでいたことが紹介されています。4年生の技術科では、ロボットとのやりとりを通して、プログラミングの入口に触れていたことも示されています。この実例を見ると、机の上だけの理解ではなく、作る、試す、動かす、味わうといった経験を通して学びを深めていることが分かります。
ここで家庭が準備したいのは、特別な習い事ではありません。料理の手伝いです。工作です。道具を大切に使うことです。うまくいかなかったときに、やり直してみることです。「やってみたらどうだった」「何がむずかしかった」と聞いてあげるだけでも、学校の学びとかなりつながります。
技術科は、難しい機械の話ではなく、仕組みを考える入口です。
技術科という言葉を聞くと、まだ小学生には早いと感じる方もいます。けれど、この学校での技術科は、難しい専門知識を詰め込むためのものではないでしょう。プログラミング教育を系統的に取り入れるための入口として置かれています。大切なのは、正しい答えを知ることより、どう動くかを考えること、順番を意識すること、試しながら直していくことです。
これは、受験準備にもつながる見方です。考えを筋道立てること、順序を意識すること、うまくいかないときに試し直すことは、教科を問わず大切になります。だからこの学校では、技術科が教科の追加ではなく、考え方の土台として働いていると見たほうが分かりやすいです。
家庭科は、生活の知識ではなく、暮らしを自分で扱う感覚を育てます。
家庭科も、早く家事を覚えることだけが目的ではありません。食育を中心とした内容が入っている点を見ると、食べること、作ること、暮らしを整えることを、自分の手で理解していく教科として置かれていると考えられます。家庭の中で身近なことが、そのまま学びになる学校です。
だから、手伝いも大事です。ただの労働ではなく、学びとして扱うことが大切です。「運んでくれて助かった」で終わらせず、「熱いものはどう持つと安全かな」「切る順番はどうするとやりやすいかな」と会話を重ねると、学校の教科に近づいていきます。
6年生から7年生にまたがる歴史学習は、学年で切らずに理解でつなぐ発想です。
社会科の歴史分野を、6年生から7年生の2年間にかけて学ぶ取り組みも、この学校らしさがよく出ている部分です。一般的には、学年ごとに内容が分かれやすいところですが、この学校では、9年間を見通したうえで、理解の深まりに合わせてつないでいます。
京都教育大学の公開記事でも、6年生と7年生で別々に学ぶのではなく、2年間をかけてじっくり学習していくと説明されています。ここから見えてくるのは、学年が変わるたびに学びを切り替える学校ではないということです。前に学んだことを使って、次の理解へ進むことを大切にしている学校です。
この発想に合いやすいのは、丸暗記で押し切るより、つながりを感じながら学ぶ子です。家庭でも、歴史に限らず、「これ前に見たことがあるね」「前とどこがつながるかな」と振り返る会話が役立ちます。学びを点で終わらせず、線にしていく感覚が、この学校ではかなり重く見られています。
理科と生活科では、考え方そのものを育てる工夫が入っています。
教育課程の特色には、論理的思考力を育成するために、理科や生活科を中心に、英国の認知促進プログラムを取り入れた学習を1年生より実施しているとあります。少し難しい言い方ですが、要するに、答えを覚えるだけではなく、どう考えるかを育てる学習が、かなり早い段階から置かれているということです。
このような学びでは、観察して終わりではありません。比べることが入ります。変化に気づくことが入ります。自分なりに説明してみることが入ります。うまく言えなくても、なぜそう思ったのかを言葉にしていく過程が大切にされます。だから、理科や生活科が好きかどうかだけでなく、考える途中を楽しめるかどうかも、この学校との相性に関わってきます。
家庭でできることも、実は身近です。散歩の途中で、葉っぱの違いを見比べることです。料理で、火を通す前と後の変化に気づくことです。工作で、どちらの作り方がうまくいくか試してみることです。正解を急いで教えるより、「どうしてそうなったと思う」「もう1回試すとしたらどうする」と返すほうが、この学校の考え方に近いです。
論理的に考える力は、ことばの説明より、体験の中で育ちやすいです。
論理的思考力という言葉は難しく見えますが、実際には、とても生活に近い力です。順番を考えることです。違いに気づくことです。理由をつなげて話すことです。結果だけでなく、途中をふり返ることです。この学校では、その力を1年生の段階から理科や生活科に入れています。
だから、家庭でも「正解はこれです」と早く閉じないほうが合いやすいです。少し遠回りでも、自分で比べ、自分で言葉にし、自分で直す時間を持てると、学校のカリキュラムに入りやすくなります。考える力は、静かな積み重ねの中で強くなっていきます。
この学校のカリキュラムに合う準備は、勉強を増やすことより、経験を言葉につなぐことです。
京都教育大学附属京都小中学校 初等部の独自性をまとめると、先に進む学校というより、つなげる学校です。9年間を大きな枠組みとして見ていること。キャリア教育を土台にしていること。1年生から英語科があること。3年生から技術科と家庭科があること。6年生から7年生にまたがる歴史学習があること。理科や生活科で考え方を育てる学びが入っていること。どれも別々の特色に見えますが、実は同じ方向を向いています。
それは、知識を孤立させず、人との関わりや生活の経験と結びながら学ぶことです。だから、家庭で大切にしたいのも、詰め込みより、経験と言葉の往復です。やってみることです。比べてみることです。どう感じたかを話すことです。うまくいかなかったときに、もう1回試してみることです。
この学校を考えるなら、受験のための準備だけで学校を測らないほうがよいでしょう。入学後にどんな学びが続いていくのかまで見てはじめて、相性が見えてきます。京都教育大学附属京都小中学校 初等部のカリキュラムは、教科を早く終えるためではなく、9年間で子どもの学び方そのものを育てるために作られていると言えます。その方向に家庭の願いが重なるなら、とても魅力の大きい学校候補になるでしょう。
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参考文献。
京都教育大学附属京都小中学校 教育課程。
「義務教育9か年を大きな枠組みとして」
京都教育大学附属京都小中学校 教育課程。
「第1学年より英語科として教科指導」
京都教育大学附属京都小中学校 教育課程。
「第3学年より技術科と家庭科」
京都教育大学 Webマガジン Kyo²。
「みそ汁作りに挑戦しました」
京都教育大学附属京都小中学校 令和6年度学校評価計画。
「論理的思考力を育成する『CASEプログラム』」
京都教育大学附属京都小中学校 研究の歩み。
「キャリア教育を中核にすえた小中一貫カリキュラム」
