京都女子大学附属小学校は、落ち着いた空気の中で、学ぶ力と人としての土台を同時に育てる学校です。
大学附属小学校を考えるとき、つい進学先や受験実績から見たくなります。けれど、京都女子大学附属小学校の良さは、その前の6年間をどう過ごす学校なのかにあります。ここは、ただ早く先へ進む子をつくる学校というより、日々の授業、生活、友だちとの関わりの中で、考える力、ことばの力、相手を思う気持ちを重ねていく学校です。落ち着いた雰囲気がありながら、学びの中身は静かに深いです。派手さより、長く伸びる土台を大切にしたい家庭には、かなり相性を見つけやすい学校でしょう。
この学校の芯は、「国語力3乗は人間力。」という考え方にあります。
京都女子大学附属小学校をひと言で表すなら、「ことばで育つ学校」です。ここでいうことばは、漢字や作文だけではありません。疑問を持つこと。自分で調べること。友だちと考えを交わすこと。最後に、自分の言葉で伝え直すこと。そうした学びの往復まで含めて、この学校はことばの力として見ています。
公式には、「国語力3乗は人間力」という合言葉が掲げられています。しかも、この言葉は飾りではありません。学校はその中身を、研鑽、探究、表現という3つの方向から考えています。研鑽は、自分の力を少しずつ高めていくことです。探究は、答えを受け取るだけでなく、自分で問いを立て、解決まで考えることです。表現は、考えたことを相手に届く形で伝えることです。つまり、勉強ができるかどうかだけでなく、学び続ける姿勢そのものを育てようとしているのです。
この考え方の土台には、「いのち」「こころ」「ことば」を大切にする教育があります。京都女子大学附属小学校は、仏教精神を基盤にした「こころの教育」を長く守ってきました。だから、学力と心が別々に置かれていません。考える力を育てることと、人にやさしくすることが、同じ流れの中にあります。数字だけでは見えない学校の空気は、ここから生まれていると言えます。
「附属」の安心は、名前より中身で見るとよくわかります。
京都女子大学附属小学校は、1957年に、初等教育の研究実践と、教職を目指す学生の教育実習の場として開かれました。大学附属と聞くと、進学に有利かどうかだけに意識が向きがちです。けれど、この学校の附属らしさは、大学の知見や人材が、子どもの日常に入っているところにあります。名前だけが大学につながっているのではなく、教育の考え方や支える人の厚みまでつながっている学校です。
学級編成も見ておきたい点です。全学年2学級を基本にしながら、5年生と6年生は3学級編成です。規模が大きすぎず、小さすぎず、子どもの顔が見えやすい一方で、学年の広がりも保ちやすい設計です。にぎやかさの中で押し出されるタイプより、落ち着いた場所で自分の力を出しやすい子には、この環境は安心材料になりやすいです。
京都という場所を、教室の外まで学びに変えているところが独自です。
「本物」と出会う経験が、知識を手ざわりのある学びに変えます。
この学校の独自色がよく出ているのが、「本物と触れ合う授業」です。総合的な学習の時間を使い、外部の専門家や地域資源とつながりながら、学校独自の学びを組んでいます。茶道や陶芸、草木染め、京都の素材を使った造形活動など、京都という土地だからこそ届く学びが、授業の中に入っています。
大切なのは、体験が単発で終わっていないことです。4年生では学校の第2グラウンドで育てた植物を使って草木染めを行い、袱紗を作ります。5年生では伝統工業の学習とつなげて陶芸体験を行い、抹茶椀を作ります。そして、その袱紗や抹茶椀を6年生の茶道の時間で使います。学年ごとの経験がばらばらに置かれているのではなく、少しずつつながっていく流れになっています。これは、京都女子大学附属小学校らしい丁寧さです。
受験を考える家庭にとっても、ここは見逃しにくいところです。知識を覚えるだけの子より、見たこと、触れたこと、感じたことを自分の言葉で話せる子のほうが、入学後も伸びやすいからです。行事や体験が多い学校はありますが、体験が思考と表現につながっている学校は、実はそれほど多くありません。
外国語とICTも、見せるためではなく、考えを広げるために使っています。
英語は、早く先取りするためではなく、自然に使える形へ育てています。
外国語の授業は、1年生から6年生まで、ネイティブの教員によって行われています。授業では、聞く、読む、話す、書くの4つの力を、無理のない順番で積み上げます。クイズやゲーム、ICT機器、デジタル教科書の音声なども使いながら、英語に慣れ、意味をつかみ、自分で発音し、やがて読む力へつなげていく流れです。英語が得意な子だけが前に出る授業ではなく、まず英語を好きになるところから始めている点が、この学校らしいです。
ICTは、便利さより、考えを共有する力のために入っています。
京都女子大学附属小学校では、1人1台のタブレット端末を使えるように整えています。グラフ作成や発表資料づくり、新聞づくりなど、学んだことを形にする場面で活用されており、国語では読み取った内容の共有、算数では解き方の共有にも使われています。学習発表会で子ども自身が作ったスライドを用いるなど、発表の見栄えだけでなく、考えを整理して伝える練習にもなっています。
さらに、2024年2学期からは、1年生から6年生までの各教室にホワイトボードとプロジェクターが設置されました。これは、端末があるという話で終わらず、教室全体で考えを見せ合い、つなぎ合う授業へ進めやすくなったということです。京都女子大学附属小学校のICTは、派手な最新設備を売りにするより、子どもが学びを言葉にしやすくするための道具として入っている印象です。
大学附属校らしさは、子どもの周りにいる大人の厚みにも表れます。
大学との連携は、学校案内に載っているだけの話ではありません。教育学科の教育実習やインターンによって、子どもへの働きかけが厚くなっています。授業補助、学校行事の支援、早朝の図書館指導など、学生ボランティアが入ることで、子どもは担任だけではない大人との関わりを持てます。小学校の毎日は、1人の先生との相性だけで決まるわけではありません。学校全体で子どもを見てくれる感覚は、実際には大きな安心につながります。
さらに、食物栄養学科の教員や学生が、給食やお楽しみ献立づくり、食育指導に関わっています。大学の先生による出前授業や、大学の指導を受けた共同研究も行われています。附属小学校であることが、名前の看板ではなく、学びの中身に反映されているのです。大学の近さが、そのまま教育の広がりになっている学校だと見てよいでしょう。
毎日の暮らしに落とすと、この学校との相性が見えやすくなります。
1日の流れは、落ち着いて学び、午後に確かめる設計です。
京都女子大学附属小学校は、40分授業の午前5時間制を取り入れています。午前中にテンポよく学び、午後には20分のモジュールタイムで復習を行う形です。さらに、増えた授業時間を使って、協働性を学ぶ「藤の子タイム」を設けています。高学年では、モジュールタイムと6時間目を柔軟に使い、ときには60分授業も行います。短く刻むだけでもなく、長く考える時間だけでもない。その両方を使い分けているところに、学校の設計思想が見えます。
放課後まで含めて、家庭の回し方を考えやすい学校です。
放課後には、個別学習の教室に加えて、華道、チアダンス、プログラミング、茶道、バスケットボールなどのアフタースクールが用意されています。ここでも印象的なのは、学習だけに寄せていないことです。日本の作法に触れる時間もあれば、身体を使う時間もあります。学校の延長として、もう少し丁寧に1日を使える形になっています。共働き家庭にとっての実用性はもちろんありますが、それ以上に、放課後の過ごし方まで学校の世界観とつながっているのが特徴です。
相談の入口があることも、長い6年では大きな安心です。
学校には、臨床心理士、公認心理師の資格を持つスクールカウンセラーがいます。子どもの様子を見ながら話を聞き、必要があれば保護者も相談できます。小学校受験を考える時期は、入学できるかどうかに気持ちが向きますが、本当は入ってからの6年間のほうが長いです。勉強だけでなく、友だち関係や気持ちの揺れも含めて支える入口がある学校は、家庭にとって支えになりやすいです。
進路を見ると、「附属だから1本」という学校ではないこともわかります。
附属小学校というと、そのまま系列校へ進む一本道を思い浮かべる家庭もあります。けれど、京都女子大学附属小学校の2024年度進路実績を見ると、そう単純ではありません。学年合計74名のうち、京都女子中学校へ進学した児童は39名です。その一方で、東山中学校、洛星中学校、洛南高等学校附属中学校、龍谷大学付属平安中学校など、外部の私立中学校へ進んだ例もあります。灘中学校への進学実績も1名あります。
ここから見えてくるのは、学校が1つの進路だけを前提にしていないことです。附属の安心感はありつつ、外部受験へ進む余地も残っています。これは、早い段階で進路を固定したい家庭にも、6年間で子どもの成長を見ながら中学進学を考えたい家庭にも、それぞれ意味があります。附属小でありながら、選択肢を狭めすぎないところも、この学校の現実的な魅力です。
受験準備で大切なのは、目立つ受け答えより、静かな土台です。
この学校を目指す準備で効きやすいのは、短く見栄えのする答えを作ることではありません。あいさつをすること。話を最後まで聞くこと。姿勢を保つこと。約束を守ること。自分のことを自分ですること。やり直しで機嫌を崩しすぎないこと。そうした毎日の積み重ねです。京都女子大学附属小学校は、試験の日だけ整って見える子より、日々の暮らしの中で自然に育ってきた子のほうが、入学後の学校生活につながりやすいでしょう。
家庭での声かけも、この学校の空気に合わせると見え方が変わります。
たとえば、「早く答えて」より、「どうしてそう思ったの」と聞くほうが合います。「それは違う」より、「もう1回見てみようか」と言うほうが伸びやすいです。「ちゃんとして」より、「今日はどこを自分でできたかな」と返すほうが、子どもは前向きになりやすいです。京都女子大学附属小学校が大切にしているのは、正解を急ぐことではなく、自分で考え、自分の言葉でたどり着こうとする姿です。
家の中の当たり前を、少しずつ学校に近づけることが準備になります。
特別な教材を増やさなくてもできることはあります。食卓で今日あったことを順番に話すこと。読んでもらった話の続きを自分の言葉で言ってみること。手伝いを頼んだあとに「ありがとう」をきちんと返すこと。失敗しても責めすぎず、次のやり方を一緒に考えること。こうした時間が、いのち、こころ、ことばを大切にする学校の空気とつながっていきます。
費用と通学も、最後は家庭の呼吸に合うかで見ておきたいです。
学校は京都市東山区今熊野北日吉町にあり、市バスのほか、京都駅八条口、京阪七条駅、阪急河原町駅から京都女子大学正門前までのプリンセスラインバスも案内されています。大学キャンパスとのつながりを感じやすい立地ですが、地図で近いことと、毎日無理なく通えることは別です。朝の同じ時間帯に一度動いてみると、起床から出発、到着までが現実の時間で見えてきます。
学費の面では、入学手続金が150,000円で、内訳は入学金100,000円と入学施設費50,000円です。入学後の年額は、授業料400,000円、教育充実費100,000円、施設費49,200円、実習費18,000円、給食費が約70,000円と案内されています。数字だけを見て判断するのではなく、この学校の学びや放課後の過ごし方、大学との連携まで含めて、家庭にとって納得できるかどうかで考えると判断しやすくなります。最新情報は、毎年の公式案内で確認しておきたいところです。
京都女子大学附属小学校は、早く走る子を選ぶというより、長く伸びる子を育てようとする学校です。
附属小学校らしい落ち着きがあります。けれど、静かなだけではありません。問いを持つことを大事にし、本物に触れる学びを重ね、大学との連携で日々の教育を厚くし、子どもが自分の言葉で世界を捉え直す力を育てています。受験校として見るだけでは、この学校の輪郭は半分しか見えません。京都女子大学附属小学校は、入学してからの毎日が、そのまま子どもの土台になっていく学校です。家庭がその空気と合うなら、6年間はかなり豊かな時間になるでしょう。
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参考文献です。
「いのち」「こころ」「ことば」を大切にする子どもの育成。
京都女子大学附属小学校「理念」。学校の根本にある考え方と、2025年度の教育目標を確認できます。公式ページを見る
「国語力3乗は人間力」。
京都女子大学附属小学校「国語力3乗は人間力」。研鑽、探究、表現という考え方を通して、学校が育てたい力の中身を確認できます。公式ページを見る
「本物と触れ合う授業」。
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「1人1台ずつタブレット端末」。
京都女子大学附属小学校「ICTの取り組み」。端末活用、教室設備、授業での共有の仕方など、ICTの実践内容を確認できます。公式ページを見る
「40分授業 午前5時間制」。
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「2024年度の進路実績」。
京都女子大学附属小学校「進路情報」。京都女子中学校への進学状況と、外部私立中学校への進学実績を確認できます。公式ページを見る
「学費について」。
京都女子大学附属小学校「学費について」。入学手続金と年額学費の最新案内を確認できます。公式ページを見る
