発達

子どもの運動発達の目安をやさしく解説。寝返りから歩行までを安全に練習する環境づくり

子どもの運動発達の目安、安全に練習する考え方

寝返りやはいはい、つかまり立ちや歩き始めの瞬間は、見ている大人にとっても忘れがたい場面になります。どの動きも筋力だけではなく、体のバランスを取る力や、自分の位置をつかむ感覚が少しずつ育ってきた結果です。だからこそ、練習そのものよりも、子どもが安心して挑戦できる環境づくりがとても大切と言えます。

ここでは、こうした考え方を「安全な運動練習」と呼びます。安全な運動練習とは、できるだけ危険を減らしながら、子どもが自分のペースで動きを試せるように周りの環境を整えることです。大人が手取り足取り教え込むのではなく、子ども自身の「やってみたい」という気持ちを守りながら見守る視点だと受け止めていただけるとよいと思います。

寝返りやはいはい、からだの動きを遊びで育てる

寝返りやはいはいは、大きく動き回るための土台になる動きです。うつ伏せで頭を持ち上げることは、首や背中の筋肉を育てるだけでなく、床との距離感や視界の広がりを体で知る機会にもなります。生後まもない時期から長時間うつ伏せにする必要はありませんが、機嫌の良いときに短時間ずつ、うつ伏せの姿勢を体験することで、少しずつ支える力が身についていきます。

この段階で意識したいのは、床環境です。固すぎる床や大きな段差がある場所では、思わぬ転倒やぶつかりが起こりやすくなります。程よいクッション性のあるマットやラグを敷き、手足を自由に伸ばせる広さを確保してあげると、子どもは自然に体をひねったり、足を突っぱねたりしながら動きを試していきます。裸足で過ごせる、滑りにくい面を選ぶことも、足裏で床を感じる練習につながります。

うつ伏せと寝返り、首と体幹をじっくり育てる

うつ伏せの時間を少しずつ増やすと、首だけではなく、肩や背中、お腹の筋肉も協力して体を支えるようになります。最初は数秒から始めて、様子を見ながら少しずつ時間をのばしていきます。大人の目線に合わせて顔を近づけたり、おもちゃを左右に動かしてあげたりすると、顔を向ける動きが増え、やがて自分から体をひねって寝返りに近い動きを見せることもあります。

寝返りを練習するときも、無理に回転させるのではなく、肩や腰をそっと支えながら動きのきっかけを作るくらいがちょうど良いと言えます。厚生労働省の資料でも、首すわりや寝返りの時期には幅があることが示されており、数か月単位で早い遅いを気にし過ぎなくて良いとされています。大事なのは、「昨日より少し頭が高く上がった」「今日は肩までひねるようになった」といった、小さな変化を積み重ねていくことです。

はいはいとつかまり立ち、探索したくなる気持ちを支える

はいはいが始まると、子どもは気になる物に自分から近づけるようになります。これもまた、筋力とバランス感覚と空間の感覚が合わさって育つ動きです。はいはいの形は、両ひざをつくタイプもあれば、お腹を床につけたずりばいの子もいて、どちらもその子なりのやり方です。長い距離を進むことよりも、自分の力で向きを変えたり、少し戻ったりできることが、運動の練習になっています。

つかまり立ちや伝い歩きが始まると、視界の高さが一気に変わり、今まで見えなかった場所にも手が届くようになります。その一方で、頭が体に対して重く、足腰がまだしっかりしていないため、後ろに倒れたり横に崩れたりしやすい時期でもあります。低くて安定した棚やソファの縁などを選び、角にクッション材を貼るなどして、倒れたときの衝撃が少なくなるように工夫すると安心です。消費者庁がまとめた事故防止の資料でも、発達に伴い転倒や転落による事故が増えることが示されており、環境づくりの重要性が繰り返し語られています。

歩き始めから学童期まで、年齢ごとの安全な環境を整える

歩き始めたばかりの子どもは、まだ足の運びとバランスが安定しておらず、同じ場所でも日によって歩きやすさが変わります。床に小さなおもちゃや細かな物が散らばっていると、足を取られて転びやすくなり、誤って口に入れてしまう危険も増えます。床に物を置きっぱなしにしない、テーブルの端に重い物や熱い飲み物を置かないなど、大人が見通しを持って片づけておくことが、運動の練習を支えることにつながります。

その後、年齢が上がるにつれて、ジャンプしたり片足立ちをしたり、階段を昇り降りしたりと、動きのバリエーションが増えていきます。幼児期には、遊具のある公園や園庭での活動が多くなり、小学生になるとボール遊びや自転車、キックスケーターなど、スピードのある遊びも日常に入り込んできます。消費者庁のハンドブックでは、年齢ごとに起こりやすい事故の種類が示されており、動きの発達とともに怪我のリスクも変化することが分かります。

幼児期、転倒や転落を減らすためのひと工夫

幼児期は、体を動かす楽しさがぐっと広がる時期です。その一方で、台や椅子に登る、高いところから飛び降りるなど、高さに挑戦したくなる年齢でもあります。家庭内では、階段にゲートを設置する、ベランダに登りやすい物を置かない、ソファの近くに角の鋭い家具を並べないなどの工夫で、転落や衝突の危険を減らせます。床はすべりにくい素材を選び、走り回る場所と静かに過ごす場所をある程度分けると、子ども自身も動きやすくなります。

室内では裸足で過ごすと、足裏で床をしっかり感じやすくなり、踏ん張る力が育ちやすいと言われています。靴下を履く場合も、滑り止めのついた物を選ぶと安心です。遊びの内容によって靴下を脱ぐかどうかを話し合いながら決めることで、子ども自身が「どんな場面で危ないか」を学ぶきっかけにもなります。

小学生期、遊びの範囲が広がる時期の見守り

小学生になると、通学路や公園、友達の家など、子どもだけで行動する範囲が一気に広がります。自転車やボール遊び、遊具の複雑な動きを含む遊びなど、体の使い方も高度になっていきます。この時期の運動の目安は、何かができるかどうかだけでなく、「遊びのルールや危険の予測をどこまで理解しているか」という面も含めて考えるとよいでしょう。

たとえば、自転車に乗るときのヘルメット着用や、ボール遊びをして良い場所かどうかの確認などは、大人が先回りして決めてしまうのではなく、子どもと一緒に理由を話しながら決めていくと、長く続けやすい習慣になります。運動が得意な子もいれば、走ることやボールを扱うのが苦手な子もいます。厚生労働省が作成した協調運動の支援マニュアルでは、苦手さがある子どもに対して、過剰な反復練習や叱責が心の負担になることが指摘されています。得意不得意を責めるのではなく、「どうすれば安全に楽しめるか」を一緒に考える姿勢が大切です。

練習の量より安心感、比べすぎずに相談のタイミングを決める

運動発達の目安はあくまで目安であり、すべての子どもが同じ順番で、同じペースでできるようになるわけではありません。寝返りをあまりせずに、急に立つ動きが増える子もいれば、はいはいの期間が長く、よく床を観察しながら進む子もいます。NHKの子育て番組の解説でも、はいはいとつかまり立ちの順番には幅があり、取りこぼしたように見える動きも、後から身につくことが多いと言われています。

気にかけたいのは、「他の子と違うから心配」という感情だけで判断するのではなく、「転び方がいつも同じで極端に多い」「片側の手や足ばかり使う」「痛そう、つらそうに見える動きが続いている」といった具体的な様子です。こうした気がかりが長い期間続くときには、かかりつけ医や自治体の相談窓口、発達を専門に見る医師や療育機関に相談してみると、今の状態を客観的に見てもらうことができます。

身体の動きに関する支援の資料では、幼児期の早い段階から、苦手さに合わせた工夫やサポートを行うことで、二次的な不登校や自信喪失を防げる可能性があるとされています。家庭でできる範囲の工夫だけで抱え込まず、「少し専門家の目も借りてみよう」という気持ちで相談することは、大人の責任放棄ではなく、子どもの力を長い目で守る行動だと考えてよいでしょう。

運動の練習は、できることを増やすためだけの時間ではありません。転んだときに立ち上がる経験、難しい動きに挑戦してみる気持ち、うまくいかなかったときに誰かが受け止めてくれる安心感などが、一緒に育っていきます。目安の表を参考にしつつも、子どものペースと笑顔を一番の指標として、環境づくりと見守りを続けていきたいところです。

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子どもの運動発達と安全な環境づくり、信頼できる参考情報

厚生労働省の運動発達の目安と、発達評価の資料

乳幼児の首すわりや寝返り、おすわり、はいはい、つかまり立ち、ひとり歩きの時期を、多くの子どもが到達する範囲として示した資料です。個人差をふまえて発達を評価する考え方や、発達検査の位置付けも説明されており、目安表をどのように使えば良いかを考える手がかりになります。

厚生労働省 記入のめやすと一覧表 運動発達のめやすを含む資料 厚生労働省公式サイト 内のPDF資料

消費者庁の子どもの事故予防ハンドブックと、年齢別の注意点

0歳から小学校入学前までの子どもについて、発達に応じて起こりやすい事故と、その予防策をまとめたハンドブックです。転倒や転落、誤飲、水まわりの事故など、具体的な場面ごとに注意ポイントが整理されており、家庭や外出先での環境づくりを考える上で役立ちます。

消費者庁 子どもを事故から守る 事故防止ハンドブック 消費者庁公式サイト 内のPDF資料

NHKすくすく子育ての、はいはいとつかまり立ちの解説

小児科医が、はいはいとつかまり立ちの順番や時期には幅があること、住環境や子どもの好奇心によって運動の進み方が変わることを解説した記事です。「取りこぼした動きがあっても、後から身につくことが多い」という視点は、家庭での見守り方を考えるうえで安心材料になります。

NHKすくすく子育て はいはいとつかまり立ち 順番は逆でもいい NHKすくすく子育て公式サイト 記事ページ

厚生労働省の協調運動支援マニュアルと、苦手さへの配慮

協調運動が苦手な子どもへの支援についてまとめた専門資料です。幼児期からのていねいなサポートの重要性や、過度な反復練習や叱責が子どもの自尊心に与える影響にも触れており、運動が苦手な子どもへの関わり方を考える参考になります。

厚生労働省 DCD支援マニュアル 協調運動の苦手さへの支援 厚生労働省公式サイト 内のPDF資料

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