東京学芸大学附属世田谷小学校

行動観察は家の遊びで伸ばせます。協調と自己表現を育てる準備のコツ

行動観察は、家の遊びで十分に近づけます。

行動観察は、特別な訓練を積んだ子だけが通過する関門ではありません。家庭の中で、よくある遊びを少しだけ組み替えると、本番で見られやすい力にかなり近づけます。協調と自己表現の両方を、同じ場面で自然に扱えるようになるからです。

学校の行動観察は、友達と一緒に活動する中で、折り合いの付け方や気持ちの立て直し方、指示の受け取り方を見ています。つまり、知識の量ではなく、状況の扱い方に光が当たりやすい場面だと言えます。

名付けるなら、交替ルール遊びです。

家庭で再現しやすい芯を、ひと言にまとめるなら交替ルール遊びです。順番や役割が回ってくる遊びのことで、守るときと提案するときの両方を、同じ時間の中で経験できます。

友達との活動が不安に見える家庭ほど、最初に整えるのは会話の上手さではありません。短い約束を守る経験と、うまくいかない瞬間から戻ってくる経験です。ここが整うと、話す内容が多少つたなくても、安心して場にいられるようになります。

家で育てやすいのは、相談して決める力です。

行動観察で起きやすいのは、意見が食い違う瞬間です。ここで黙り込むか、押し通すか、泣くかではなく、いったん相手の案を受け止め、試してみて、もう一度相談できるかが分かれ目になります。

家庭では、完成度の高い作品を目指す必要はありません。話し合いの途中で手が止まったときに、次に何をするかを自分で選べるようになるほうが、当日の落ち着きにつながります。

具体例は、決めごとを作る遊びが向いています。

すごろくのように順番が回る遊びは、交替の感覚を作りやすいです。そこに、家だけの小さな決めごとを足します。たとえば、サイコロを振る前に相手の目を見る、負けたときに一度深呼吸する、次の人に道具を手渡す、というように、短くて守りやすい約束にします。

大切なのは、約束の数を増やしすぎないことです。約束が多いと、守れなかった経験だけが残りやすくなります。約束は少なく、できた瞬間を言葉にして残すほうが、次の場面に移りやすいです。

もう少し慣れてきたら、役割を入れ替えます。進行役を交替するだけでも、指示を出す側と受け取る側の両方が経験でき、当日に先生の説明を聞く姿勢にもつながります。

もう1つは、共同制作で意見が割れる場面を作ることです。

ブロックや工作で、1つの作品を一緒に作る時間は、行動観察の雰囲気に近づきます。始める前に、どこから作るかを相談して決めます。途中で意見が割れたら、相手の案を短時間だけ試してみます。試した結果を見て、もう一度話し合います。

ここでの狙いは、勝ち負けを決めることではありません。相手の提案を扱えること、自分の提案を通すだけでなく、言い換えて伝え直せることです。小さな衝突が起きても、関係が壊れない経験が積み重なると、本番でも表情が固まりにくくなります。

結果ではなく、途中の態度を言葉にすると伸びやすいです。

保護者が評価したい気持ちは、どうしても出来栄えに寄ります。ですが、行動観察で見られやすいのは、途中のふるまいです。自分の順番を待てた、相手の話を最後まで聞けた、困ったときに手を止めて周りを見られた、というような部分です。

声かけは、短く具体的だと伝わります。優しかったね、ではなく、道具を渡してから話し始めたね、という言い方にすると、何が良かったのかが子どもに残りやすいです。

逆に、注意が必要なときも、人格ではなく行動に寄せます。怒ったからだめ、ではなく、強い声になったね、いったん深呼吸しよう、というように戻り道を用意します。戻り道がある家庭は、本番でも立て直しが起きやすいです。

もう1つの名付けは、立て直しの作法です。

行動観察で差が出やすいのは、できた瞬間より、できなかった瞬間です。失敗したときに、固まる、泣き続ける、怒り続ける、という流れに入ると、次の指示が届きにくくなります。ここを家庭で扱えると、当日の安定感が増します。

立て直しは、特別なメンタルの強さではありません。短い手順にして、体の動きから戻すのが現実的です。深呼吸を1回して、手を膝に置いて、先生の声を聞く、というように、体から順番に戻します。

視点を変えると、行動観察は小さな共同生活の練習です。

行動観察を、社交性の試験だと思うと焦りが増えます。けれど、実際に必要なのは、知らない子と一緒に作業をする時間を、安全に過ごす力です。元気に話せることより、場の約束を受け取り、困ったら戻ることが先に来ます。

静かな子でも、合格に近づけます。大きな声が出ないことが不利とは限りません。頷く、目を見る、指示に合わせて手を動かす、譲るときに表情が崩れない、という形で、協調は十分に表現できます。

家庭の空気も、ゆっくり伝わります。

子どもは、家庭の評価のされ方を覚えています。結果だけで褒められる環境だと、失敗が怖くなりやすいです。途中の工夫を認められる環境だと、挑戦が残りやすいです。行動観察の短い時間では、この差が表情や手の止まり方に出ることがあります。

完璧を目指すより、いつもの遊びを少しだけ整えるほうが、負担が少ないです。家庭がピリピリしない範囲で続けることが、結果的に一番効いてきます。

誤解しやすいところは、友達づき合いの量です。

友達と遊ぶ回数が多いほど有利だ、と考えると家庭が苦しくなります。回数よりも、同じ遊びの中で役割を交替したか、意見が割れた場面から戻れたか、という質のほうが伸びやすいです。

また、学校によって重視点は少しずつ違います。積極性が見えやすい子が評価される場面もあれば、落ち着きや丁寧さが光る場面もあります。家庭は、子どもの芯を壊さない範囲で整えるのが安全です。

小さな一歩は、10分の遊びを1つだけ決めることです。

準備は、増やすと続きません。短い遊びを1つだけ決めて、同じ流れで終えると、子どもは安心します。終わったら、できた態度を1つだけ言葉にして、次はこうしよう、ではなく、今日ここが良かったね、で閉じます。

行動観察は、家庭の遊びを遠くへ引っ張っていくものではありません。家の遊びを、少しだけ学校の時間に近づける作業です。そのくらいの距離感が、親子の気持ちを守りながら、必要な力を育ててくれます。

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参考文献と確認に役立つ情報。

具体的な活動を通して総合的に指導される。
文部科学省 幼稚園教育要領 ねらい及び内容 公式ページで確認する

幼児期の学びが、体験や活動を通して育つという考え方を確認できます。行動観察を家庭の遊びに置き換える発想の土台になります。

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発育発達研究 幼児の協同的な運動遊びと社会的スキルに関する研究 J-STAGEで読む

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