敬愛小学校の英語教育とICT教育は、見せ場ではなく毎日の学びを支える力です。
英語が強い学校です。ICTにも力を入れています。そう聞くと、どうしても華やかな特色だけが先に見えてきます。けれど、福岡県北九州市の敬愛小学校を丁寧に見ていくと、印象は少し変わります。ここで大切にされているのは、特別な子だけが目立つ教育ではありません。毎日の授業の中で、聞くこと、考えること、伝えることを少しずつ積み上げていく設計です。
この学校の英語とICTは、学校案内で目を引くための飾りではなく、授業そのものを支える土台として組み込まれています。英語は、早く難しい表現を覚えるためだけのものではありません。ICTは、端末を器用に使えるようになることだけが目的ではありません。どちらも、子どもが自分の考えを持ち、それを相手に伝え、学びを広げるための道具として使われています。
小学校受験を考える家庭にとって、ここはかなり大切な見どころです。英語が得意な子しか伸びない学校なのか。機械が好きな子だけが活躍する学校なのか。そうではありません。敬愛小学校は、子どもの入り口を広く取りながら、入学後に力を育てていく学校だと言えます。
敬愛小学校の英語教育は、使える土台を6年間で育てる流れです。
英語教育を前面に出している学校は少なくありません。ただ、敬愛小学校の特徴は、英語を一部の先取りできる子のための武器にしていないことです。学校生活の中で、英語を少しずつ使えるようにする流れが見えます。ここでは、この設計を英語の生活化と呼びたくなります。つまり、英語を特別なイベントではなく、日々の学びの中に置いていく考え方です。
日本初のOXFORD QUALITY認定校という看板は、授業の中身とつながっています。
学校の公式案内では、敬愛小学校は日本で初めてOXFORD QUALITY認定校となった小学校として紹介されています。この認定だけを見ると、英語がとても先進的という印象が強くなります。けれど、見るべきなのは肩書きだけではありません。実際の授業設計です。Q&Aでは、英語は週3時間行い、ネイティブ教員と日本人の専門教員が連携して進めると案内されています。ここに、敬愛小学校らしい丁寧さがあります。
ネイティブ教員だけに任せる形ではなく、日本人教員も入ることで、子どもが理解しやすい橋渡しが生まれます。聞いて終わる授業ではなく、聞いて、反応して、まねして、少しずつ自分でも使ってみる流れを作りやすいからです。受験前の家庭がここで受け取りたいのは、英語力の完成形ではありません。英語に前向きに入っていける姿勢です。
1年生と2年生では、フォニックスから入る流れがはっきりしています。
敬愛小学校では、1年生と2年生でフォニックスから指導すると公式に示されています。フォニックスとは、英語の文字と音のつながりを学ぶ方法です。英単語を丸ごと暗記する前に、音と文字の関係に慣れていく入り方です。この方法のよさは、あとから読む力や書く力につながりやすいことです。
家庭では、つづりを正しく言わせることに意識が向きやすいものです。けれど、敬愛小学校の流れに合わせるなら、先に大切なのは、聞いた音に反応することです。まねして声に出してみることです。通じたときの楽しさを知ることです。たとえば、英語の歌を流したときに、全部わからなくても一緒に口ずさんでみる。短い絵本の音声を聞いて、気になった単語だけをまねしてみる。そうしたやわらかい入り方のほうが、この学校の英語教育にはつながりやすいでしょう。
4技能をバランスよく育てる方針は、受験準備の考え方も変えます。
学校のQ&Aでは、「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能をバランスよく育成すると案内されています。この4技能という言葉は少しかたく見えるかもしれませんが、要するに、聞いてわかるだけでも、読めるだけでも足りず、相手とことばを行き来させる力を少しずつ育てるということです。
ここで見方を少し変えると、敬愛小学校の英語は、英語だけの話ではないとも言えます。聞く力は、人の話を受け止める力です。話す力は、自分の思いを言葉にする力です。読む力は、ことばのしくみに気づく力です。書く力は、考えを整理する力です。つまり英語教育で育てようとしているものは、学校生活全体の力とも重なっています。
先取りの量より、入学後に伸びる入り口を持てるかが大切です。
敬愛小学校を受けるからといって、受験前から難しい英会話や英検対策を急ぐ必要があるとは言い切れません。学校の流れを見ると、音と文字のつながりを丁寧に扱いながら、6年間で積み上げる考え方が感じられます。家庭で無理をして英語を負担にすると、かえって入り口が狭くなります。
それよりも、聞いたら笑顔で反応することです。知らない音でも面白がれることです。声に出してみようかなと思えることです。こうした感覚のほうが、入学後の伸びに結びつきやすいでしょう。
ICT教育は、機械に強い子を選ぶためではなく、学び方を広げるためにあります。
敬愛小学校のICT教育も、派手さだけで見ると本質を見失いやすいところです。iPadを使う学校は珍しくなくなりました。プログラミングに触れる学校も増えています。そんな中で敬愛小学校の独自性は、ICTを授業の外側に置いていないことです。ここでは、ICTを考えを形にする道具と呼ぶほうが、学校の実際に近いでしょう。
iPadだけではなく、メディアルームのiMacも含めて設計されています。
公式Q&Aでは、全学年で1人1台のiMacが使えるメディアルームを活用し、週1時間の「情報」の授業を行っていると案内されています。そこでは、両手を使ったタッチタイピングから始まり、表計算、Keynote、動画編集、プログラミングまで指導するとされています。さらに、一人1台のiPadを使った学習指導も特徴の1つとされています。
ここで大事なのは、端末が1種類ではないことです。授業の場面に応じて、使う道具が分かれています。これは、子どもにとっても意味があります。どの機械が好きかではなく、何をするためにどの道具を使うのかを自然に学びやすいからです。調べるのか。まとめるのか。発表するのか。作るのか。そうした目的が先にあり、機械はそのあとに来ます。ここが、ただ機器が新しいだけの学校と少し違うところです。
ICTは、速さよりも伝わり方を考える学びにつながっています。
教育の特色では、ICT機器を文房具のように活用し、探究的な学習やプレゼンテーションを積極的に行うことで、論理的思考力、問題解決能力、創造力を育むと案内されています。探究的な学習とは、答えを最初から渡されるのではなく、自分で調べたり比べたりしながら考えを深める学び方です。プレゼンテーションとは、自分の考えを相手に分かりやすく伝える発表のことです。
つまり、敬愛小学校のICTは、端末を速く操作できる子をつくるためのものではありません。情報を集めて、自分なりに整理して、相手に伝わる形へ整える力を育てるためのものです。ここには、英語教育とも重なる部分があります。どちらも、知っていることを増やすだけでは終わりません。どう伝えるかまで含めて考える学びです。
教員向けのICT公開研修会を開いている点にも、本気度が表れています。
敬愛小学校は、2025年にICTを活用した学習者主体の学びづくりをテーマにした公開研修会を開いています。教職員や教育関係者に向けて全クラスの授業公開を行うほどで、学校としてICT活用を発信する姿勢が見えます。これは、学校の中だけで完結する取り組みではなく、実践の蓄積を外へも開いているということです。
受験を考える家庭にとって、この点は見逃しにくい材料です。学校のパンフレットにICTと書いてあるだけなのか。実際に授業として回り、外部にも見せられるレベルで積み上がっているのか。敬愛小学校は、その後者に近い学校だと考えやすいでしょう。
英語とICTが強いのに、学校全体がかたくならないのは、心の教育が根にあるからです。
ここで、見方をもう1度切り替えたいです。英語やICTの話だけを追っていると、敬愛小学校は先進的な学力重視校のようにも見えてきます。けれど、学校の全体像はそこだけではありません。仏教のみ教えを土台にした心の教育が、学校の根にあります。
教育の特色では、仏教的情操教育によって感謝と思いやりの心を育むとされ、学校生活のQ&Aでは、毎週1時間の宗教の授業と、月1回の「報恩の日」が案内されています。ここがあることで、英語もICTも競争のためだけの道具になりにくいのです。相手を思いやることです。人の話に耳を傾けることです。自分の気持ちや考えを整えて伝えることです。こうした土台の上に、英語とICTが置かれています。
先生の声でも、ICTや英語教育と、仏教の教えに基づく心の教育を両輪だと伝えています。この組み合わせは、敬愛小学校のかなり独自なところです。先進的な教育だけを前に出す学校でもありません。心の教育だけを語る学校でもありません。両方を一緒に育てようとしている学校です。
受験前の家庭が準備したいのは、先取りの量より学びに向かう姿勢です。
英語もICTも強い学校だと分かると、受験前からかなり準備しなければいけないように感じるかもしれません。けれど、敬愛小学校の資料を読んでいくと、必要なのは完成された力ではなく、入学後に学びを受け取れる姿勢だと見えてきます。
英語の準備では、正確さより反応する力を育てたいです。
家庭でできることは、難しい英語を教え込むことではありません。呼びかけに反応することです。聞こえた音をまねすることです。英語が出てきても固まらないことです。たとえば、家で短い英語の歌を流したときに、うまく言えなくても一緒に声に出してみようかとやさしく誘う。これだけでも十分に意味があります。
子どもへの声かけも、自然な日本語で大丈夫です。いまの音、面白かったね。もう1回いっしょに言ってみようか。全部わからなくても大丈夫だよ。聞こえたところだけ言ってみよう。こうした声かけのほうが、英語に向かう心を育てやすいでしょう。
ICTの準備では、画面時間より説明する時間のほうが効いてきます。
タブレットに慣れていることが、そのまま敬愛小学校向きとは限りません。大切なのは、使ったあとです。何を見たのか。何を作ったのか。どうしてその色や形にしたのか。そうしたことを話せるかどうかです。家庭で端末を使うなら、見たものの感想を一言話す時間を持つだけでも意味があります。
たとえば、おえかきアプリで描いた絵について、ここを青にしたのはどうしてかなと聞いてみる。写真を撮ったあとに、どこが気に入ったのか話してもらう。これなら、ICTをただの遊びや受け身の時間で終わらせず、考えを言葉にする練習へつなげやすいです。敬愛小学校のICT教育が目指している方向にも合いやすいでしょう。
普段の生活では、聞く姿と待つ姿がそのまま受験準備になります。
英語でもICTでも、最終的に土台になるのは、落ち着いて話を聞くことです。人が話しているときに目を向けることです。少し待ってから自分の番で話すことです。これは、面接や行動観察だけの話ではありません。入学後の授業を受け取る力そのものです。
敬愛小学校を考える家庭なら、受験対策として新しい教材を増やす前に、日常のやり取りを見直すほうが役立つことがあります。話を最後まで聞けたら、それで十分うれしいです。すぐに答えが出なくても、考えていたねと声をかけるだけで、子どもの学び方は変わっていきます。
学校見学では、英語の上手さより、授業の空気を見てください。
敬愛小学校の英語教育とICT教育を知りたいなら、数字や名前だけで判断しないほうが安心です。実際の授業を見ると、学校の考え方がかなりよく分かります。公式サイトでは、2026年のオープンスクールとして、5月16日に運動会、6月6日に学校説明・授業見学会が案内されています。授業見学会では、Oxford Quality認定の英語授業や、一人1台のiPadを活用した教科指導も見られるとされています。
見学で確かめたいのは、子どもが安心して動けているかどうかです。
英語の授業を見るときは、流ちょうに話している子だけに目を向けないほうがよいです。先生の声かけで、まだ自信のない子も参加できているか。聞くだけの子が置いていかれていないか。少しずつ声を出せる空気があるか。そこを見ると、学校の英語教育の実力が分かりやすくなります。
ICTの授業でも同じです。端末を触る時間が長いかどうかより、子どもが考えを持って使えているかに目を向けたいです。作業だけで終わっていないか。発表や共有の時間があるか。先生が操作を教えるだけでなく、考えを引き出しているか。こうしたところに、敬愛小学校らしさが出ます。
家庭との相性は、授業の整い方にも表れます。
敬愛小学校が合いやすいのは、英語やICTに関心がある家庭だけではありません。落ち着きのある授業の中で、子どもがゆっくり力を伸ばしていくことを大切にしたい家庭です。先取りの量より、丁寧な積み上げを信じたい家庭です。見学では、派手さよりも、授業の流れが乱れていないか、先生と子どものやり取りが自然かを見ていくと、自分の家庭との距離感が見えやすくなります。
敬愛小学校の英語とICTは、子どもの未来を早く決めるためではなく、広げるためにあります。
英語が強い学校と聞くと、将来は国際系に進む子向けなのではないかと感じるかもしれません。ICTが強い学校と聞くと、理系やデジタルが得意な子向けだと感じるかもしれません。けれど、敬愛小学校の資料を追うほど、その見方は少し狭いように思えてきます。
ここで育てようとしているのは、早く進路を決める力ではありません。聞いて、考えて、伝えて、学びを広げる力です。英語もICTも、そのための入口として置かれています。そして、その下には、感謝と思いやりを大切にする心の教育があります。だから敬愛小学校の英語とICTは、見た目の派手さより、毎日の積み重ねの中で価値が出るのです。
受験をするかどうかがまだ決まっていなくても、この学校を知る意味はあります。英語をどう学ばせたいか。ICTをどう使わせたいか。その前に、どんな人に育ってほしいのか。敬愛小学校の英語教育とICT教育は、その順番を家庭に静かに問い返してくれる学校だと言えるでしょう。
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参考文献。
敬愛小学校 教育の特色。英語教育とICT教育の全体像を確認できる公式ページです。
ICT機器を文房具のように活用し、探究的な学習やプレゼンテーションを積極的に行う。
学校法人鎮西敬愛学園 敬愛小学校「教育の特色」
英語、ICT、心の教育を学校全体の方針としてどう結びつけているかが分かります。
敬愛小学校 学校生活。英語の授業回数やICTの具体的な学習内容を確認できる公式ページです。
週に3時間、ネイティブの英語の先生と日本人の専門の先生にて授業を行っています。
学校法人鎮西敬愛学園 敬愛小学校「学校生活 よくあるご質問」
フォニックス、4技能、iMacのメディアルーム、iPad活用、情報の授業、プログラミングの内容を確認するのに役立ちます。
敬愛小学校 オープンスクール・入試情報。授業見学で英語とICTを確認できる最新案内です。
Oxford Quality認定の英語授業もご覧いただけます。
学校法人鎮西敬愛学園 敬愛小学校「オープンスクール・入試情報」
2026年の運動会や学校説明・授業見学会の確認に役立ちます。見学前に目を通しておきたい公式情報です。
敬愛小学校 受験生向け案内。OXFORD QUALITYやICT教育の学校側の打ち出しを確認できる公式ページです。
“OXFORD QUALITY”を認定された日本で唯一の小学校です。
学校法人鎮西敬愛学園 敬愛小学校 受験生向けランディングページ
学校が英語教育とICT教育をどう位置づけているか、受験生向けの見せ方を含めて確認できます。
文部科学省 小学校外国語。小学校で4技能をどう育てるかの公的な基準を確認できる資料です。
聞くこと、読むこと、話すこと、書くことによる実際のコミュニケーション。
文部科学省「新しい学習指導要領における外国語活動・外国語の目標」
敬愛小学校の4技能重視の英語教育を、公的な学習の考え方とあわせて理解したいときに役立ちます。
https://www.mext.go.jp/content/20200721-mxt_kyoiku01-000008881_2.pdf
文部科学省 GIGAスクール構想。1人1台端末を学びにどう生かすかの方向性を確認できる公的ページです。
教育の質を向上させ、全ての子供たちの可能性を引き出す。
文部科学省「GIGAスクール構想について」
敬愛小学校のiPadや情報の授業を、全国的な教育の流れの中で読み解くときに参考になります。
文部科学省 情報活用能力。ICTを日常的に使う学びの意味を確認できる資料です。
各学校において日常的に情報技術を活用できる環境を整え。
文部科学省「小学校学習指導要領解説 総則編 抜粋」
ICTを特別活動ではなく、日常の学習活動にどう位置づけるかを考える参考になります。
https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/giji/__icsFiles/afieldfile/2019/05/09/1416112_002.pdf
