初年度は授業料よりも、まわりの費用が前に出てきます。
私立小を考えるとき、授業料だけで気持ちを固めると、後から家計も気持ちも揺れやすくなります。初年度は、入学金や制服などの立ち上げ費用が重なり、毎月の支払いというより、まとまった支出として現れます。ここを最初に見える形にしておくと、不安は減り、家庭の空気も落ち着きやすいです。
東京農業大学稲花小学校の費用の案内では、入学金が250000円、授業料が年額600000円、施設設備費が年額100000円、教育充実費が年額200000円と示されています。給食費は学年で変わり、低学年182500円、中学年191750円、高学年201000円という目安で、年間185食として算出し、調理費年額90000円を含む形です。さらに、英語指導料118800円が示され、GrapeSEEDという教材と使用ライセンスなどが含まれる旨も明記されています。通学メールシステム利用料5280円も記載があります。
ここでは、この状況を初年度の段差と呼びます。
初年度の段差とは、毎年ほぼ同じように発生する費用とは別に、入学時や新生活の立ち上げに集中して出ていくお金が、見た目以上に大きく感じられる現象のことです。金額そのものが大きいというより、タイミングが重なることが効いてきます。段差をなだらかにするには、費用の種類を分けて眺めることが一番効きます。
同じ学費でも、家計への当たり方が違います。
たとえば授業料のような年額が決まっている費用は、年間の見通しが立ちやすいです。一方で、制服や通学鞄のような購入費は、必要な時期が集中します。稲花小の費用案内では、通学鞄購入費が約70000円、制服購入費が約60000円、実習着購入費が約20000円といった目安も示されています。これらは授業料とは別に、春の手続きや入学前後に寄ってきます。
さらに、教材購入費は実費で、概ね20000円から40000円程度とされています。金額は家庭や学年の状況で動きますが、動くものだと分かった状態で迎えると、気持ちは楽になります。
給食費は、学年で変わるうえに中身の構造があります。
給食費は、単に食数だけで決まるわけではありません。稲花小では、低学年は1食500円として年間185食で計算し、そこに調理費年額90000円を含めて182500円という形です。中学年は1食550円、高学年は1食600円という目安です。こうした内訳が見えると、給食費が突然増えたように感じる場面でも、理由を落ち着いて説明しやすくなります。
数字を見ると緊張しますが、緊張を和らげる方法があります。
一番効くのは、学校に納める費用と、家庭の選択で増える費用を混ぜないことです。混ざると、何が決まっていて、何が調整できるのかが分からなくなり、すべてが固定費のように見えてしまいます。固定に見えた瞬間から、家計の話は重くなります。
学校の外で増えやすい費用は、期待と不安が同居しやすいです。
受験を考える家庭では、入学後も学びを充実させたい気持ちが自然に強くなります。習い事や補助的な学習、体験活動が増えるのは、努力の証でもあります。ただ、費用の面では、ここが一番ふくらみやすい場所です。文部科学省の調査では、私立小学校の1年間の学習費総額が1828112円とされています。
私立小学校 1828112円。
文部科学省 令和5年度子供の学習費調査の結果を公表します。
この数字は、学校に納める費用だけではなく、学校外での活動にかかる支出も含む形で捉えられています。つまり、学校選びだけで決まるというより、入学後の家庭の運用で変わる部分が大きいということです。ここが分かると、家計の主導権を家庭側が持ちやすくなります。
稲花小の費用は、日々の体験とつながっています。
稲花小の費用案内には、学外活動費が実費として示され、大学施設学習や水田学習、社会科見学、遠足、宿泊学習などの例が挙げられています。目安として、1年生から3年生は20000円程度、4年生は40000円程度、5年生と6年生は100000円から120000円程度とされています。学年が上がるほど体験が深くなり、移動や宿泊が入るぶん、費用も増えやすい構造です。
ここは、節約すべきものと決めつけないほうがいい領域でもあります。体験は、子どもが言葉にできない学びを持ち帰ることがあります。だからこそ、家庭としては、増える可能性を最初から織り込み、必要なときに迷わない形を作るほうが、結果的に穏やかです。
初年度の目安を、生活に落とし込むと安心が増えます。
低学年で入学すると仮定し、費用案内にある金額と、制服や通学鞄などの目安を合わせて考えると、初年度はおおよそ1656580円程度という見立てもできます。これは、入学金250000円、授業料600000円、施設設備費100000円、教育充実費200000円、給食費182500円、英語指導料118800円、通学メールシステム利用料5280円に、通学鞄約70000円、制服約60000円、実習着約20000円、教材購入費を30000円程度、学外活動費を20000円程度として重ねた場合の概算です。家庭の選択や学年で上下するので、正確な予算ではなく、気持ちを落ち着かせるための地図として使うのがよいでしょう。
地図があると、月々の積み立て額も決めやすくなります。初年度の段差をまたぐには、毎月の貯め方に置き換える発想が効きます。まとまった費用を、毎月の小さな重さに変えるだけで、同じ金額でも受け止め方が変わります。
視点を変えると、費用は家計だけの話ではなくなります。
お金の話は、どうしても正解探しになりやすいです。しかし、学校生活は、家庭の時間の使い方とも強く結びつきます。たとえば、放課後や休日にどれだけ習い事を入れるかは、費用だけでなく、子どもの体力や気分の切り替えにも影響します。費用が増えるほど教育が良いという単純な図にはなりません。逆に、必要なところにだけお金を使う設計ができると、家庭のリズムが整い、子どもの安定にもつながりやすいです。
祖父母が支援を考えている場合も、同じです。支援をするかしないかではなく、どの費用に充てると家庭が穏やかになるかを一緒に話すだけで、関係は柔らかくなります。費用の話を、子どもの未来の話に接続しやすくなるからです。
誤解が起きやすいところは、先にほどいておきます。
私立小の費用を確認すると、すぐに負担が大きすぎるかもしれないと感じることがあります。ただ、費用の見え方は、家庭の状況で変わります。共働きかどうか、きょうだいの予定、祖父母の関わり、通学距離、習い事の方針で、同じ学校でも体感は違います。費用の多寡で家庭の価値を測る話でもありません。ここで扱うのは、出費を先に見える形にして、判断を落ち着かせるための整理です。
今日できる小さな一歩は、費用の言葉を家庭の言葉に翻訳することです。
まずは、学校に納める費用を、年間でいくらかではなく、どの時期に発生するかという時間の並びに置き換えてみてください。次に、制服や通学鞄のような購入が必要なものは、いつ買うか、買い替えがありそうかを家庭で話し合ってみると、段差はさらに低くなります。最後に、習い事や学校外の学びは、上限を決めるというより、子どもの疲れ方を見ながら季節ごとに調整する方針を共有すると、結果として無理が減ります。
受験をすでに頑張っている家庭でも、これから検討する家庭でも、費用の整理は遅すぎることがありません。数字が家庭の味方になると、選択は静かに強くなります。
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参考文献。
英語指導料 118800円。
私立小学校 1828112円。
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