東京学芸大学附属世田谷小学校は、なぜここまで人気なのか。
世田谷区の住宅街を歩いていると、緑の多い一角に広い校庭と落ち着いた校舎が並び、門の前で子どもの歩く姿を見つめる保護者の姿に出会うことがあります。東京学芸大学附属世田谷小学校は、名前はよく知られていても、その中身までは意外と知られていません。
ひと言で表すなら、世田谷小学校は「学びと暮らしを自分で組み立てていく子ども」を育てる学校だと言えます。授業だけでなく、家庭、地域、友達とのかかわりまでを学びの一部として捉え、子どもが自分の興味や役割を見つけていくことを大切にしている学校です。この考え方が、小学校受験や中学校受験を意識する家庭にとっても、まだ受験は先の話だと感じている家庭にとっても、大きな魅力になっています。
世田谷の住宅地にある国立小学校という安心感。
東京学芸大学附属世田谷小学校は、教員養成を行う国立大学である東京学芸大学の附属小学校です。公立小学校と同じように義務教育としての基礎的な学びを保障しながら、教育実習や教育研究の拠点としての役割も担っています。大学と連携した授業の工夫や、新しい学習の方法が日常的に取り入れられやすい環境になっている点が特徴です。
所在地は世田谷区深沢です。落ち着いた住宅地でありながら、駒沢オリンピック公園や等々力渓谷などの自然にも足を伸ばしやすい場所にあります。広い校地と豊かな緑に囲まれた環境は、子どもがのびのびと体を動かし、季節の変化を肌で感じながら生活することを支えています。
学費と教育環境のバランスが取れていること。
国立小学校である世田谷小学校の学費は、公立小学校と同じ水準に抑えられています。一方で、大学附属としての充実した教育設備や研究的な取り組みに触れられるため、「費用を抑えながらも、教育の質にはこだわりたい」と考える家庭にとって現実的で魅力的な選択肢になっています。
通学区域は東京都内が中心で、通学時間の目安も極端に長くならないように配慮されています。私立小学校のように広い範囲から長距離で通学するのではなく、都市部のアクセスと生活のしやすさの両方を考えやすい点も、共働き家庭を含めた多くの保護者から支持されています。
幼小中がつながる一貫した学びのライン。
東京学芸大学附属には、幼稚園、小学校、中学校、高等学校といった複数の附属校があります。世田谷小学校はその一つとして、附属世田谷中学校などとの連携を意識した教育を行っています。子どもがどのように成長していくのか、小学校だけでなくその先を見通しながら考えている点が特徴です。
もちろん、全員がそのまま内部進学をするわけではありませんが、小学校生活の中で「自分で学びを組み立てる力」や「人と力を合わせる力」を育てておくことで、その後に中学受験を選んだ場合にも、土台として生きてくるように設計されています。この「どの進路にもつながる基礎をつくる」というスタンスは、進路に迷う家庭にとって大きな安心材料になっています。
世田谷小学校が目指す「思いゆたかに考えふかくともに生きる子」。
世田谷小学校の学校目標には、「思いゆたかに、考えふかく、ともに生きる子」という言葉があります。自分の感じ方や考え方を大切にしながら、他者と協力して暮らしていける子どもを育てようという意味です。単に成績が良い子どもではなく、社会の中でしなやかに生きていける力を重視していることが伝わってきます。
こうした姿を育てるために、世田谷小学校では、「学習は子ども同士が関わり合うことで深まる」という考え方を軸に授業づくりを行っています。一斉に先生の話を聞くだけでなく、友達と意見を出し合い、互いの考えを聞きながら自分の考えを更新していく場面が多く用意されています。
Home、Laboratory、Classという三つの場で学びが回り続けること。
世田谷小学校の大きな特徴として、「Home」「Laboratory」「Class」という三つの場を行き来しながら学ぶ構造があります。Homeは学級や学年といった、子どもが安心して帰ってこられる居場所です。友達との関係づくりや日々の生活のルールを共有する場として機能します。
Laboratoryは、学年の枠をこえたプロジェクトや探究活動を行う場です。例えば、地域の様子を調べて地図や冊子にまとめる学習では、異なる学年の子どもが同じテーマに取り組み、互いの視点を持ち寄りながら一つの成果物をつくっていきます。Classは、国語や算数、理科、社会といった教科をしっかり学ぶ場です。三つの場を行き来することで、教科の学びと生活の体験が結びついていきます。
教科の枠をこえた体験が子どもの視野を広げること。
例えば、身近な自然環境を題材にした学習では、理科として植物や生き物を観察し、国語としてその様子を言葉で記録し、図工として見たものを表現する活動につなげることがあります。一つのテーマをいくつもの角度から見直すことで、「知って終わり」ではなく、「考え続ける」力が育ちやすくなります。
このような学び方は、将来の受験に直接出題される内容とは限りませんが、「自分で問いを見つける力」「情報を整理して表現する力」「人の意見に耳を傾け、自分の考えを言い直す力」といった、どの進路でも必要になる基礎を育ててくれます。その意味で、世田谷小学校は、受験のための学校というより、人生の土台をつくる学校だと言えるでしょう。
教育研究校として、学びを更新し続ける姿勢があること。
世田谷小学校は、国の制度のもとで、特別な教育課程を編成する学校として指定を受けてきました。新しい学習の形を実際の授業で試し、その成果や課題を公開研究会などで発信しています。こうした取り組みは、子どもの学びをより良くするための試行錯誤そのものです。
保護者にとっては、「今の時代に合った学び方を、学校が責任を持って考え続けている」という安心感につながります。子どもが小学校に在籍している間にも、社会は大きく変化していきます。その変化に合わせて学校も学び方を調整していく姿勢が、人気の背景にあると言えます。
高い人気と倍率、それでも「受験だけの学校」ではないこと。
東京学芸大学附属世田谷小学校は、国立小学校の中でも毎年高い人気があります。募集人数が限られている一方で、通学可能な家庭は都内に幅広く存在するため、倍率はどうしても高くなりがちです。そのため、小学校受験を強く意識して準備を進める家庭から注目されるのは自然な流れです。
一方で、学校の発信している情報を丁寧に読んでいくと、「合格させること」を最優先する学校ではないことが分かります。子どもが自分らしく育つこと、家庭と学校が互いを尊重しながら協力していくことが重視されています。受験はあくまで学校と家庭との出会いの入り口だという考え方が伝わってきます。
抽選と調査が組み合わさった入試の流れ。
世田谷小学校の入学者選考では、国立小学校に多く見られるように、抽選と実際の調査が組み合わさった仕組みが取られています。最初に受験者を絞る抽選があり、その後に子どもの様子を見るための調査が行われます。募集人数は年度によって少し変動しますが、規模が大きい学校ではないため、結果として倍率は高くなります。
調査の日には、簡単な課題に取り組む場面や、集団で遊びや活動を行う時間が用意されることが多いです。ボールやブロック、カードなど身近な道具を使って、複数の子どもが協力して取り組む活動が行われることもあります。特別な技能を見ているというより、指示を落ち着いて聞けるか、友達とやり取りしながら考えようとしているかといった姿が見られやすい場です。
行動観察で問われるのは「ふだんの暮らし」そのもの。
世田谷小学校のように行動観察を重視する学校では、短時間の練習で身につけたテクニックよりも、日常生活の中で育ってきた振る舞いがそのまま表れます。自分の順番を待つ、困っている友達に声をかける、うまくいかなくても再挑戦しようとするなど、家庭や幼稚園、保育園で積み重ねてきた体験が土台になります。
そのため、過度に特別な訓練をする必要はありません。むしろ、日々の生活の中で「人の話を最後まで聞く練習」「自分の考えを一言で伝えてみる練習」「片付けや支度を自分でやってみる経験」を大切にしていくことが、そのまま入試の場面でも支えになります。この考え方は、たとえ世田谷小学校を受験しない場合でも、子どもの成長にとって意味のある視点です。
保護者との向き合い方にも学校の考え方が表れていること。
国立小学校の入試では、保護者向けの説明会や資料を通じて、学校からのメッセージがしっかりと発信されます。世田谷小学校も例外ではなく、子どもにどのように育ってほしいのか、家庭とどのように協力していきたいのかが丁寧に語られています。
こうした情報を読み込んでいくと、「合格するかどうか」だけを気にしていると学校との相性がずれてしまう可能性があることにも気づきます。世田谷小学校が大切にしている価値観に、家庭としてどこまで共感できるかを考えることが、受験を検討するときの大切な視点になっていきます。
世田谷小学校を目指す家庭が意識したい「日々の育ち」。
世田谷小学校に興味を持つと、「今から何をしておけばよいのか」が気になってきます。ここで鍵になるのは、特別な問題集を大量に解かせることではなく、家庭での時間そのものを、子どもの学びの土台に変えていく発想です。まだ受験を決めていない家庭にも、この考え方はそのまま役立ちます。
会話と読み聞かせで「自分の言葉」を育てること。
小さいうちからできることとして、絵本の読み聞かせや、日常の出来事について話す時間を意識的につくることがあります。本を読んだあとに「どの場面が一番好きだった」「登場人物はどんな気持ちだったと思う」といった問いかけをしてみると、子どもは自分なりの感じ方を少しずつ言葉にし始めます。
買い物の行き帰りや、保育園からの帰り道で、「今日一番うれしかったことは何」「難しかったことはあった」と尋ね、答えを受け止めながら、「そう感じたのはなぜだろう」ともう一歩だけ掘り下げて聞いてみるのも良い方法です。こうした場面の積み重ねが、行動観察や口頭でのやり取りの場面でも、自分の考えを落ち着いて伝える力につながっていきます。
生活リズムと体の感覚が集中力を支えること。
どれだけ学習意欲が高くても、睡眠不足や食事の乱れが続くと、集中する力は持続しません。早寝早起きを基本に、朝の支度を少しずつ自分でできるようにしていくことは、それだけで「自分の生活を整える力」を育てる大事なステップになります。
また、公園で走ったり、ボール遊びをしたり、体を使った遊びを日常の中に取り入れることも大切です。世田谷小学校の入試や学校生活では、体を動かす活動や集団での遊びが多く登場します。普段から体を動かすことに慣れている子どもは、新しい場面でも安心して自分を出しやすくなります。
英語や習い事、スキンケアを「将来の選択肢」を広げる視点で考えること。
英語、スポーツ、音楽、アート、プログラミングなどの習い事は、今の段階では「受験に必要だから」というより、「将来出会う世界を少し広げておくための経験」として捉えると気持ちが楽になります。英語なら歌や絵本を楽しむところから始め、スポーツなら体を動かす心地よさを大切にするなど、遊びと学びの境目が自然につながる形が理想です。
子どもの肌や体を気づかうスキンケアや食生活への配慮も、「自分の体を大切にする感覚」を育てるという意味で、長い目で見て学びの土台になります。自分のコンディションを整える感覚を小さいうちから身につけておくと、受験期や思春期に入ったときにも、自分のペースを取り戻しやすくなります。
特別な裏ワザより、小さな習慣を続けること。
世田谷小学校を意識すると、「どんな特別な対策が必要なのか」が気になるかもしれません。ただ、実際に子どもの力になるのは、派手なテクニックよりも、小さな習慣を途切れさせないことです。家の中で簡単な役割を任せてみる、公共の場でのマナーを一緒に確かめるなど、日常に少しだけ意識を加えるだけでも、子どもの視野は少しずつ広がっていきます。
こうした取り組みは、世田谷小学校を受験するかどうかにかかわらず、その後に出会うどの学校にも通用する力になります。「合格のための準備」と考えると重たく感じてしまいますが、「将来の選択肢を増やすための暮らし方」と捉えると、保護者自身も前向きに続けやすくなります。
まだ受験を決めていない家庭にとっての世田谷小学校。
世田谷小学校に強い憧れを持つ家庭だけでなく、「今は近くの公立小学校を想定しているが、将来の状況によっては受験も考えるかもしれない」という家庭にとっても、この学校の情報は大切な手がかりになります。理由は、学校が大切にしている価値観が、そのまま「子どもの育ち方をどう考えるか」という問いと結びついているからです。
世田谷小学校が掲げる「思いゆたかに、考えふかく、ともに生きる子」という姿は、公立小学校でも私立小学校でも求められる力です。家庭でできることとして、この三つの視点を頭の片隅におきながら、子どもとの日常に向き合っていくことは、進路を問わず意味があります。
学校の考え方を「わが家の軸」を考える材料にすること。
学校説明会の資料や公式サイトを読むと、「子どもにどんな力を身につけてほしいのか」「学びと生活をどうつなげていきたいのか」といったメッセージが見えてきます。これをそのまま正解として受け取るのではなく、「わが家はどこに共感し、どこに違いを感じるか」を話し合ってみると、家庭の方針が少しずつかたちになっていきます。
例えば、「自分の考えを言葉にできるようになってほしい」「友達と意見をぶつけ合う経験もさせたい」「自然の中で体を動かす機会を増やしたい」など、世田谷小学校の教育内容からヒントを得ながら、わが家なりの願いを言葉にしてみることができます。そのプロセス自体が、受験をするかどうかにかかわらず、子どもの将来を考える大切な時間になります。
人気校を知ることが、家庭の安心につながること。
世田谷小学校が人気であるという事実は、多くの家庭が「学びと暮らしをしっかり結びつけてくれる学校」を求めていることの表れでもあります。人気校について調べることは、そのまま「自分たちは子どものどんな姿を大事にしたいのか」を見つめ直すきっかけになります。
今は受験をする予定がなくても、世田谷小学校のような学校の考え方に触れておくことで、将来、もし受験を視野に入れることになっても、「あのときから少しずつ準備をしてきた」と思える下地ができます。情報に振り回されるのではなく、家族の会話を増やすきっかけとして世田谷小学校を眺めてみることが、子どもの未来にとって静かな一歩になると言えるでしょう。
世田谷小学校の人気が示す、「学びと暮らしをひとつにする」という視点。
東京学芸大学附属世田谷小学校が長く人気を集めている背景には、国立ならではの安定した教育環境や学費の負担の少なさだけでなく、「学びと暮らしを切り離さない」という考え方があります。Home、Laboratory、Classという三つの場を行き来しながら、自分の興味や役割を見つけていく学び方は、変化の激しい時代を生きていく子どもにとって大きな財産になります。
保護者にできることは、入試の情報だけを追いかけることではありません。言葉に触れる時間を増やし、生活リズムを整え、子どもの気持ちに耳を傾けながら、小さな挑戦と振り返りの場面を日常の中にちりばめていくことです。こうした積み重ねは、世田谷小学校を目指す場合はもちろん、どの学校に進むことになっても、その子らしい歩みを支えてくれます。
世田谷小学校について知ることを通して、「わが家はどんな学びの形を大事にしたいのか」を静かに考えてみる。その時間そのものが、子どもの未来を少し明るくしてくれるはずです。
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参考文献。
本文の内容は、以下の公的情報および専門的な解説記事をもとに再構成しています。
学校全体の概要や、教育研究校としての取り組み、公開研究会の情報などが掲載されており、世田谷小学校の全体像を知るうえでの基本資料となります。
学校の教育目標や、「思いゆたかに、考えふかく、ともに生きる子」という児童像、Home、Laboratory、Classによる学びの構造などが校長の言葉で説明されています。
東京学芸大学附属世田谷小学校が教育課程特例校として取り組んできた、Home、Laboratory、Classによる学習構造や、その背景となる考え方について詳しくまとめた資料です。
https://www.setagaya-es.u-gakugei.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2023/03/p031-036-56713.pdf
国立小学校としての位置づけや、学校の特色、入試の流れや行動観察の傾向などが、小学校受験指導機関の立場から整理されています。
https://www.shingakai.co.jp/measures/tokyo/tokyo-gakugei-univ-setagaya/



