東京学芸大学附属小金井小学校は、なぜここまで人気なのか。
秋の説明会の朝に、武蔵小金井駅から歩いていく親子の姿をよく見かけます。少し緊張した表情のお子さんと、資料を抱えた保護者の方。その行き先のひとつが、東京学芸大学附属小金井小学校です。国立の附属小学校の中でも、毎年多くの家庭が志望校に挙げる学校として知られています。
人気の背景には、学費の負担が比較的少ない国立であることだけでなく、大学と連携した授業づくりや、大自然の中での宿泊体験など、ここでしか得られない学びの環境があります。さらに、将来の中学校受験や、その先の学び方を考える保護者にとっても、選択肢を広げてくれる学校だと言えます。
国立附属ならではの安心感と挑戦の場としての小金井小。
東京学芸大学附属小金井小学校は、教員養成を専門とする東京学芸大学の附属小学校です。通学区は決められていますが、対象の自治体に住んでいれば、授業料は公立小学校と同じ水準で、研究校ならではの教育を受けられます。家計の負担を抑えつつ、質の高い学びの場を選びたい家庭にとって、魅力の大きい選択肢になっています。
学校は東京学芸大学小金井キャンパス内にあり、周囲には大学の施設や緑が広がります。大学生や大学の先生が身近にいる環境で、日常的に教育実習生が授業を支えています。子どものそばには複数の大人の目があり、授業中の問いかけや休み時間の関わり方など、細かな場面でも手厚いサポートを受けやすい体制になっています。
学費の負担が公立並みで、学びの密度は濃い学校。
国立の附属小学校は、私立小学校と比べると入学金や授業料が大きく抑えられます。もちろん給食費や教材費、行事にかかる実費は必要ですが、年間を通した出費は一般的な私立小学校より少ないことが多いです。その一方で、小金井小では高い専門性を持つ教員や大学の研究者と連携した授業が展開されます。経済的な負担と教育内容のバランスを考えたときに、納得感を持てる学校だと感じる保護者が多いと言えます。
また、令和の教育改革に対応したカリキュラムが整えられている点も特徴です。英語活動や情報教育など、新しい学びの要素も、国語や算数、生活科などの基礎的な学びと無理なくつながるように設計されています。子どもの負担を増やすのではなく、日常の授業の流れの中で自然に経験させていく組み立てになっているところが、安心感につながっています。
大学附属としての役割が、そのまま子どもの学びの質につながっている学校。
小金井小は、教員養成と教育研究の拠点という役割を担っています。毎年多くの教育実習生を受け入れ、授業や学校生活の場で指導を行っています。授業では複数の教師や実習生が教室に入り、子どもたちの発言をていねいに拾い、考えを深めるための問いかけを重ねていきます。先生側にとっては授業力を磨く場であり、子どもにとっては一人一人の考えを大事にしてもらえる場になっています。
学校全体で授業研究に取り組み、その成果を研究発表会などで公開している点も特徴です。年度ごとに「学びを創る」などの研究テーマを掲げ、子どもが自分の言葉で説明したり、友だちと意見を交わしたりする場面をどう増やしていくかを、全教員で試行錯誤しています。こうした研究の積み重ねが、日々の授業の質として子どもたちの学びに反映されていきます。
「明るく思いやりがあり、深く考える子」を育てる学びのデザイン。
学校案内では、小金井小の教育目標として「明るく思いやりのある子」「強くたくましい子」「深く考える子」という3つが掲げられています。この3つは成績だけでは測れない力であり、学力と生活の両方を大切にする学校であることを表しています。単にテストで点を取ることだけではなく、人との関わりや自分の頭で考える習慣を育てようとしていることが分かります。
学級の時間や行事の場面でも、この目標が生かされています。友だちの気持ちに気付く場面や、自分の意見を伝えつつ相手の考えも受け止める場面を、教師が意識的に作っていきます。自分の考えを押し通すのではなく、話し合いを通してよりよい答えを探していく経験を、小さな頃から重ねていける環境です。
研究テーマ「学びを創る」が意味するもの。
最近の研究テーマとして掲げられている「学びを創る」という言葉には、子どもが受け身で知識を受け取るのではなく、自分たちで学びを組み立てていくという考え方が込められています。例えば、理科で植物を観察するときにも、最初から答えを教えるのではなく、「なぜだろう」「どう変わるのだろう」という問いを子ども自身が持てるように仕掛けていきます。
こうした授業の積み重ねにより、子どもは新しい単元に出会ったときにも「とりあえず覚える」ではなく、「まず自分で考えてみる」「友だちと話しながら考えを広げる」といった姿勢を身につけていきます。この習慣は、中学校以降の学びや、社会に出てから新しい問題に向き合うときにも生きてくる力だと言えます。
一人一人の声を生かす授業が、後々の受験にもつながる。
小金井小の授業では、発表が得意な子だけが目立つ形にならないように工夫されています。ノートやワークシートに書いた考えをペアで共有したり、小グループで話したりする場面を多く取り入れ、どの子にも「自分の言葉で説明する」機会がめぐってくるようにしています。こうした小さな積み重ねが、後々の記述式の問題や面接で、自分の考えを落ち着いて伝える力につながっていきます。
特に中学校受験を視野に入れる家庭にとっては、知識を詰め込むだけでなく、思考力や表現力を育ててくれる日常の学びは大きな支えになります。今は受験をまだ決めていない家庭であっても、「自分で考え、他者と話し合う」経験は、進路の選択肢を広げる土台になると言えます。
山と海の宿泊生活が育てる、たくましさと人間関係の力。
小金井小ならではの大きな特徴として、長野県茅野市の一宇荘と千葉県鴨川市の至楽荘という2つの宿泊施設を活用した集団生活があります。3年生以上の全学年が、学年ごとに山や海の自然の中で数日間を過ごし、共同生活を体験します。山の斜面を歩いたり、海辺での活動に取り組んだりしながら、自然の厳しさと豊かさの両方を体で感じる機会になります。
この宿泊生活は、単なるイベントではなく、学校の教育目標と結びついた「基幹の教育活動」として位置付けられています。友だちと役割を分担しながら食事の準備や片付けを行い、夜にはその日一日の出来事を振り返る時間を持つなど、生活全体が学びの場になっています。自分のことだけでなく、周りの人の様子にも目を向ける力や、困ったときに助け合う姿勢を育てていくことを意図したプログラムです。
非日常の経験が、日常の教室での姿を変えていく。
宿泊生活での経験は、学校に戻った後の教室にも影響を与えます。普段はあまり話さない友だちと同じ班になって一緒に活動することで、新しい関係が生まれます。山道で疲れている友だちに声をかけたり、苦手な作業を助けてもらったりした経験は、教室での話し合いやグループ活動の場面で、相手を思いやる行動として表れます。自然の中での体験が、目に見えない形で人間関係の土台を厚くしていくイメージです。
家庭から離れて数日間過ごすことは、お子さんにとっても保護者にとっても大きな挑戦です。しかし、その分だけ成長の手ごたえも感じやすくなります。帰宅後の会話の中で、現地での出来事や気付きをていねいに聞いてあげることで、子ども自身が自分の変化に気付きやすくなります。
通学区域と入学調査の仕組みが、人気と難しさを生み出している。
附属小金井小学校には通学区域が設定されており、東京都の西側の市や一部の区など、決められたエリアに住んでいることが出願の条件になります。通学時間も、おおむね40分程度以内で通えることが求められています。都心の私立小学校に通わせるには距離や通学時間が不安という家庭にとって、多摩地域を中心とした現実的な通学圏で選べる国立小学校であることが、人気の理由のひとつです。
ただし、募集人数に対して志願者が多いため、入学は決してやさしくはありません。小金井小では、出願者全員が入学調査を受け、その後に抽選が行われる方式が取られてきました。子どもの様子を見る調査と、運の要素も含まれる抽選が組み合わさった仕組みであることが、保護者の間でよく知られています。
入学調査で見られるのは、日々の生活で育つ力。
入学調査では、机に向かうペーパーテストだけでなく、行動観察や簡単な作業、先生とのかかわり方など、子どもの日常の姿に近い場面が見られます。指示を聞く姿勢や、周りの子との関わり方、初めての場面でも自分なりに取り組もうとする様子などが、総合的に見られると考えておくとよいでしょう。難しい問題を先取りして解けるかどうかよりも、家庭や幼稚園、保育園での日々の生活の積み重ねが問われる場面が多いと言えます。
一方で、最終的には抽選の要素もあるため、どれだけ準備をしても全員が合格できるわけではありません。この点は、保護者にとって大きな不安材料にもなりますが、「縁があれば」という気持ちで、家庭のペースを大切にしながら準備を進めるご家庭も少なくありません。結果の良し悪しにかかわらず、丁寧に生活リズムや学びの習慣を整えていくことは、その後どの小学校に進んでも役に立つ時間になります。
小金井小での6年間が、将来の選択肢をどう広げてくれるのか。
附属小金井小学校の卒業生は、附属中学校を含むさまざまな進路を選んでいきます。学校案内には「校内連絡進学委員会」などの組織も記載されており、附属校同士の連携も意識されていますが、進路は一つに限定されているわけではありません。中学校受験を選ぶ家庭もあれば、公立中学校や他の私立中学校を選ぶ家庭もあり、それぞれの家庭の考えやお子さんの個性に合わせて道を選んでいく姿が見られます。
小金井小での6年間は、特別な受験対策をしてくれる場というより、「どの進路を選んでも通用する基礎を育てる場」としての意味合いが強いと言えます。自分の考えを言葉にする力、友だちと協力しながら物事を進める力、自然の中での経験から得た粘り強さや柔軟さ。こうした力は、進学先がどこであっても、その先の学びや人間関係の土台として生き続けます。
今は受験を決めていない家庭にとっても、意味のある準備になる学校。
まだ小学校受験や中学校受験をはっきりとは考えていない保護者にとっても、小金井小を調べることには意味があります。学校の教育目標や研究テーマを知ることで、「わが家はどんな力を伸ばしたいのか」「どんな環境が子どもに合いそうか」といった問いが自然と浮かんでくるからです。こうした問いを早めに持っておくことは、将来本格的に進路を考えるときに、慌てずに選択できることにつながります。
英語教育や読み聞かせ、生活リズム、健康やスキンケア、メンタル面のケアといった、一見ふつうの子育ての話題も、視点を変えると「将来の学びの土台づくり」として考え直すことができます。小金井小のような学校の教育を手がかりに、自宅での過ごし方や園選び、習い事の選び方を見直してみることも、後々の受験や進路を見据えた準備の一つになります。
迷いながら進む保護者に寄り添う、小金井小という選択肢。
東京学芸大学附属小金井小学校は、国立という安心感と、研究校ならではの挑戦的な学びが同居する場所です。学費の負担を抑えつつ、大学とつながった教育環境、山と海の宿泊生活、子どもの声を生かす授業など、ここでしか得られない経験がたくさん用意されています。その一方で、通学区域や抽選の仕組みなど、家庭ごとに慎重に考えるべき条件もあります。
どの家庭にも一番合う学校がひとつだけ決まっているわけではありません。小金井小について知ることは、「わが家は何を大事にしたいのか」を考えるきっかけにもなります。情報を集め、実際に足を運び、子どもと一緒に話し合いながら、少しずつ自分たちなりの答えに近づいていく。その過程そのものが、親子で学び方を考える時間になるのではないでしょうか。
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参考文献。
この記事の内容は、東京学芸大学附属小金井小学校に関する公的な情報をもとに、一般の保護者の方にも分かりやすい形に整理しています。詳細な最新情報は、必ず公式の資料や募集要項でご確認ください。
学校の教育目標、研究テーマの変遷、歴史、宿泊施設一宇荘と至楽荘を活用した教育活動、年間行事、児童数や教職員数などの概要がまとめられている資料です。小金井小の教育の全体像を把握するための基本的な情報源として活用できます。
学校からの最新のお知らせ、年間行事、教育研究に関する情報、入学に関する案内などが掲載されています。入学を検討する際や、研究発表会などの情報を確認する際に役立ちます。



