慶應義塾横浜初等部は、価値観と実践を行き来する学校です。
小学校受験を意識し始めると、情報の多さに気持ちが追いつかなくなる日があります。何を優先すべきか、子どもに負担をかけない形はあるのか。そうした揺れを抱えたままでも、横浜初等部の特徴をつかむ入口はあります。
この学校の学びは、単にできることを増やすだけで終わりません。考え方の土台を育て、試してみて、言葉にして、また考え直す。家庭の会話や日々の習慣ともつながりやすい設計です。受験を決めた家庭にも、まだ迷っている家庭にも、判断の軸を置きやすいと言えます。
この学校の学びを一言でまとめるなら、往復設計です。
往復設計というのは、価値観と行動を何度も行き来させながら、子どもの中に筋道を残す考え方です。頭の中だけで完結させず、体験や場面に降ろし、次の行動に戻していきます。
地図とコンパスの関係に少し似ています。地図だけでは歩けず、コンパスだけでは迷いやすいです。横浜初等部では、考え方の方向を持ちつつ、実際の生活や活動の中で確かめる時間が用意されています。
福澤先生の時間は、知識より先に考え方の芯を育てます。
横浜初等部には、福澤先生の時間があります。ここで大切にされているのは、暗記の速さではありません。物事の背景を知り、どう考えるかを自分の言葉にしていく力です。
扱われるテーマは、慶應義塾の歴史や社会の見方だけではありません。情報をどう扱うか、公共の場でどうふるまうか、倫理感をどう育てるか。そうした生き方に直結する話題が、学校生活の流れの中に置かれています。
家庭で効くのは、正解を急がない質問です。どうしてそう思ったのか。別のやり方はあるのか。次はどうしてみるのか。短い問いを置くだけで、考えた道筋が残りやすくなります。受験準備でも、切り替えの安定につながりやすいです。
生き方科は、生活の手触りを学びへつなげます。
生き方科は、生活の中の行動や習慣を、学びのテーマとして扱う枠組みです。たとえば身の回りのことを自分で行う、周囲と協力する、場に応じた言葉づかいを選ぶ。こうした日々の動きが、学びの一部として整理されます。
受験期に家庭が苦しくなる原因の1つは、できるできないの評価が生活全体に広がってしまうことです。生き方科の発想を借りると、評価の場面を増やすのではなく、生活の動線を整え、できた経験を静かに積む方向へ戻しやすくなります。
Global Communicationは、英語を他者理解の入口にします。
横浜初等部では、GCがあります。GCはGlobal Communicationの略で、英語を使って伝え合う時間です。ここでの英語は、点数のための道具で終わりにしない姿勢が示されています。言葉の違う相手を尊重し、異文化に柔らかく向き合う構えを育てることが、学びの目的に含まれています。
英語の学びは、家庭でも焦りが出やすい分野です。発音が良いか、単語が増えたか。目に見える結果に寄りやすいからです。けれどGCの狙いに近づくには、体験を言葉にすることのほうが効きやすいです。何が伝わったのか。どこで詰まったのか。次はどう言い換えるのか。こうした振り返りが、英語を生きた言葉に近づけていきます。
英語の成果より、伝わった手応えを拾います。
たとえば、子どもが英語で言おうとして詰まったときに、すぐに答えを渡さないでください。日本語で言いたいことを短くまとめてもらい、英語に置き換える順番を一緒に探すだけで十分です。言い直す経験は、恥ではなく技術になります。
祖父母の立場でも、同じ支え方ができます。英語の正しさを採点するより、話してくれた内容に反応してあげるほうが、子どもは言葉を出しやすくなります。伝えたら返ってくる。そこで言葉は続きます。
放課後の時間は、好奇心が動く場所として設計されています。
横浜初等部の時間割や教育課程では、登校の時間に幅があることが示されています。毎日同じ速さで走り続けるより、家の事情や体調に合わせてリズムを作りやすい設計です。ここは、入学後の生活を想像するときに意外と大きな要素になります。
放課後には、自由参加のプログラムが用意されています。検定という形で力を確かめる機会もあり、GCや計算力、漢字などが挙げられています。音楽や美術、理科実験など、興味を広げる活動も紹介されています。勉強を増やすというより、好きな方向へ伸びていく窓を残すイメージです。
入学後を見据えるなら、放課後の回し方を受験期から話しておきます。
受験が近づくほど、家庭の予定は詰まりやすくなります。だからこそ、入学後に何を優先したいかを、早めに言葉にしておくと助かります。学びを頑張る日と、回復に寄せる日を分ける。興味の芽を伸ばす枠を残す。生活の余白を守る。こうした合意があると、後で無理が積み上がりにくいです。
この話は、受験の合否とは別の視点です。合格のために放課後を埋めるのではなく、子どもの成長に放課後をどう使うかを考える。視点を少しずらすだけで、準備の空気が柔らかくなることがあります。
国際交流は、英語の点数ではなく体験として動きます。
横浜初等部の生活紹介では、行事や校外活動に加えて国際交流のプログラムが紹介されています。英国交換留学プログラムでは、9泊10日をパートナーの家庭で過ごし、授業参加や文化体験を重ねる形が示されています。豪州の留学プログラムは13日間で、ホームステイを通して日常生活を体験し、GCで学んだ表現を実際の交流で使う流れが書かれています。
ここで大切なのは、海外に行くこと自体が目的ではない点です。規律ある共同生活を経験し、異なる背景の相手と一緒に過ごす。その経験が、日常の判断や言葉づかいに戻ってくる。往復設計の考え方が、学校生活の大きな活動にも通っています。
健康と食の支えが、学びの土台を静かに守ります。
学校生活を考えるとき、教育内容だけを見てしまいがちです。けれど実際には、体調の安定が学びの質を左右します。横浜初等部では完全給食を実施し、食物アレルギーについて管理体制を整え、保護者と管理栄養士と医師と教員が連携する方針が示されています。
保健衛生の面では、慶應義塾大学の保健管理センターから小児科医が毎日派遣され、学校にいる時間の怪我や病気に対応する体制が紹介されています。宿泊を伴う校外活動でも校医が同行するとされ、歯科相談やスポーツ医学相談などの定期的な相談機会も記載されています。家庭の不安が強まりやすい領域に、仕組みとしての支えが置かれている点は見逃しにくいです。
受験を考えるときは、努力の方向を子どもの性格に合わせます。
横浜初等部が目指すものとして、体験教育と自己挑戦教育と言葉の力の教育が柱として示されています。受験の準備をここに寄せると、問題を多く解くことだけが努力ではなくなります。
体験教育の方向なら、観察して気づきを言葉にする時間を増やすのが合います。自己挑戦教育の方向なら、得意を伸ばしながら苦手にも小さく触れて自信を広げるのが合います。言葉の力の教育の方向なら、読むこと書くことに加えて、聞くこと話すことを日常で増やすのが合います。
家庭にできる小さな一歩は、会話の質を変えることです。どう思ったのかを聞き、理由を短く言ってもらい、次の行動につなげる。長い説教ではなく、短い往復です。それだけで、学びの方向がぶれにくくなるでしょう。
募集や説明会は毎年更新されるので、確認の型を持っておくと安心です。
受験の不安は、情報の不足より、更新の速さから生まれることがあります。横浜初等部の募集概要や学校説明会の案内は、年度ごとに日程や条件が示されます。直近の例として、2026年度の学校説明会は動画配信と学校見学を行う予定で、申込開始日時や対象者、所要時間などが記載されています。説明会への参加の有無は合否に関係しない旨も明記されています。
費用面も、家族で話し合うには早めの把握が助けになります。募集概要には入学に必要な費用の例として、入学金や授業料などが示されています。年度によって扱いが変わる可能性があるため、数字を固定せず、最新のページで確認する姿勢が安全です。
最後は、家の言葉に戻して考えてみてください。
横浜初等部の特徴は、華やかな出来事の列挙ではなく、学びが生活へ戻ってくる仕組みにあります。福澤先生の時間で考え方の芯を作り、GCで他者とつながる言葉を試し、放課後や校外活動で好奇心を動かし、また日常の判断へ戻す。往復が続くほど、子どもの中に残るものが増えていきます。
受験をするかどうかは、家庭の事情や子どもの個性で変わります。どちらの選択でも、今日できることは小さいです。短い問いかけを置く。体験を言葉にする。生活の順番を子どもに渡す。静かな約束を積む。そうした積み重ねが、選択を支える底になります。
お子さまにぴったりのランドセルが簡単に見つかる!
ランドセル診断はこちらからご利用いただけます。
過去問や参考書はこちらPR
おすすめのお受験用品や教育PR
関連記事はこちら
参考文献。
-
慶應義塾横浜初等部 科目概要(各科目の狙いと学びの方向を確認できます)。 公式ページで確認する。福澤先生の時間や生き方科、GC(Global Communication)の位置づけを確認できます。
-
慶應義塾横浜初等部 時間割・教育課程(1日の流れと放課後の設計を確認できます)。 公式ページで確認する。登校の時間の幅や放課後の自由参加プログラム、検定の扱いを確認できます。
-
慶應義塾横浜初等部 年間行事・校外活動・国際交流(行事と国際交流の具体例を確認できます)。 公式ページで確認する。英国交換留学や豪州留学など、国際交流プログラムの概要を確認できます。
-
慶應義塾横浜初等部 給食・保健衛生(食と健康の支えを確認できます)。 公式ページで確認する。完全給食の方針や食物アレルギー対応、小児科医の派遣体制を確認できます。
-
慶應義塾横浜初等部 横浜初等部が目指すもの(教育の柱と背景を確認できます)。 公式ページで確認する。体験教育、自己挑戦教育、言葉の力の教育という3つの柱の説明を確認できます。
-
文部科学省 小学校学習指導要領解説 外国語活動・外国語(国の方針と用語の整理を確認できます)。 資料を確認する。小学校の外国語活動や外国語で重視される考え方を、公的資料として確認できます。


