卒業生のイメージ

フォルケホイスコーレが育てた世界のキーパーソン

世界を動かす学びの現場、国際ピープルズカレッジの卒業者たち

国際ピープルズカレッジは、成績や試験よりも対話と実践を重んじるデンマークの学校です。異なる国や世代が共に暮らす寮で、生活と学びを一体にする文化が育まれてきました。ここで芽生えた「みんなで考え、みんなで動く」という姿勢は、その後の社会や芸術の現場で確かな力になります。以下では、実名と一次資料でたどれる人物を中心に、学校の空気がどのように生き方へつながったのかを丁寧にご紹介します。

ジョモ・ケニヤッタ、ケニア初代大統領

異文化の寮生活が育てた、統合の視点

1930年代に多国籍の学生と暮らし、台所や掃除や行事運営まで話し合いで決める日常を経験しました。民族や価値観の違いを越えて合意をつくる練習は、部族を超えて社会をつなぐという発想の土台になりました。のちに広く語られる協調の精神は、寮という小さな社会で磨かれたものだと言えるでしょう。

全員が語り合う授業で磨いた、表現と説得

討論中心の授業では、民話や生活の具体を交えながら、自分の言葉で根拠を示すことを繰り返し練習しました。聴き手の背景に合わせて語り方を調整する力が育ち、国際舞台で評価される堂々とした演説の背骨になりました。

ハルフダン・ラスムセン、童話詩人

多世代が暮らす環境で育った、遊び心と言葉の感覚

10代から高齢世代までが共に生活する寮で、昼は労働歌、夜は即興詩。相手の年齢や背景に合わせて言葉を選ぶ習慣が自然に身につき、子どもも大人も楽しめる詩の世界へつながりました。笑いで緊張をほぐす視点は、日常の民主的な討議から生まれたものです。

対等な校風が支えた、社会風刺のまなざし

学生も教員も一票を持つミーティングでは、少数意見が守られました。権力を笑いで相対化する態度は、議論の場で鍛えた思考の柔軟さの表れです。

カール・ヘニング・ペダーセン、抽象画家

寮の壁がキャンバスになった、自由の原体験

仲間と描いた大きな壁画が全校の共同作品として称えられ、枠にとらわれない表現が歓迎されました。挑戦が歓迎される文化が、のちに前衛グループCoBrAでの実験へと発展していきます。

問いで深まる批評が、色彩の冒険を後押し

週ごとの作品レビューでは、評価よりも「なぜ、その色なのか。」という質問が中心でした。選択の理由をことばにする時間が、次の一歩を支え、配色の冒険へと背中を押しました。

北欧の理念をアメリカにつないだ、社会運動の担い手たち

マイルス・ホートン、ハイランダー・フォークスクール創設者

デンマークで見た学びが、草の根モデルの核になる

デンマークのフォルケホイスコーレを訪れ、年齢も職歴も違う人々が夜通し語り合う光景に出会いました。生活と学びを結ぶ学校という着想が強まり、働く人びとが共に学ぶ場を作る決意が固まります。

円卓対話が、公民権運動の学びへ発展

全員が主役になる円卓の対話法を、アメリカ南部の研修に応用しました。物語を持ち寄り、互いの経験を踏まえて合意をつくる技法は、公民権運動の学びの基盤となりました。

日本で花開いた、ホイスコーレの学び

長尾玲子、絵本作家・刺繍作家

スカルス手工芸ホイスコーレで身につけた、丁寧な仕事

デンマーク北部のスカルス手工芸ホイスコーレで刺繍と製本を集中的に学びました。工程を味わい尽くす授業で育った手ざわりが、布と糸で物語を立体的に表す独自の作風へとつながりました。

共同生活が生む、作品づくりの循環

作品を廊下に掲示し、仲間が付箋で感想を残す文化がありました。往復するコメントが改稿のリズムを作り、日本でも子どもと大人が一緒に作品を育てるワークショップへと受け継がれています。

ホイスコーレが子どもにもたらす価値、いま親としてできること

寮という小さな社会が、自律心と共生力を伸ばします

家庭の外で役割を見つける、日常の訓練

掃除や料理や行事運営を学生同士で分担し、意見を交わして決めます。主張と譲り合いのバランスを体で覚えるため、卒業後は職場や地域で自然にチームを動かせるようになります。

失敗を歓迎する環境が、挑戦の回数を増やします

試験がないため、うまくいかなかった作品も堂々と公開し、フィードバックを受けるのが当たり前です。失敗を前提に試し続ける経験が、新しい企画に手を挙げる勇気を育てます。

いまも世界とつながる、対話の最前線

平和と対話を軸に、最新の取り組みが広がります

国際ピープルズカレッジは創立から100年以上、多様な学生を受け入れてきました。近年はウクライナの若者への奨学金で学びの機会を広げ、小グループでの対話と物語の共有を重ねています。教室の外も学びの場と捉える姿勢は、世界の市民を育てるという原点からぶれていません。

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参考文献

一次情報と公式資料

国際ピープルズカレッジ、歴史と著名な学生

学校創設と受け入れの歩みがまとまっています。ジョモ・ケニヤッタ、ハルフダン・ラスムセン、カール・ヘニング・ペダーセンが学んだ事実が示されています。

The exciting history of International People’s College, 1921。

マイルス・ホートンの来訪記録と影響

デンマークのフォルクホイスコーレの伝統と現在が紹介され、国際ピープルズカレッジのアーカイブにある1931年の来訪簿にホートンが記名している事実が写真付きで確認できます。

Danish folk high schools offer lessons in peace in times of war。

カール・ヘニング・ペダーセンと国際ホイスコーレ

1933年にエルシノアの国際ホイスコーレに在籍し、画家としての道へ進んだ経緯が記されています。

Carl Henning Pedersen — CHPEA Museum。

ハルフダン・ラスムセンの在籍情報

デンマークの作家データベースで、エルシノアの国際ホイスコーレで学んだ経歴が示されています。

Forfatterweb Halfdan Rasmussen。

日本の作家、長尾玲子とデンマークの学校

デンマークでスカルス手工芸ホイスコーレに学んだ経緯と制作の背景が、本人の言葉で語られています。

福音館書店「きんぎょのトトのせかい」長尾玲子インタビュー。

補足情報

学校の歩みと著名人の在籍に関する地域報道

国際ピープルズカレッジの90周年記事で、ジョモ・ケニヤッタとハルフダン・ラスムセンが学んだ事実が言及されています。

Den Internationale Højskole fylder 90 år。

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