0〜2歳の生活リズムを、家族に合うタイムテーブルで育てていきます。
朝起きて、光を浴びて、ごはんを食べて、昼寝をして、夜に眠るまでの流れがゆるやかに決まってくると、小さな子どもは安心しやすくなります。大人でも、毎日起きる時間がばらばらだと一日中ぼんやりしてしまうことがありますが、赤ちゃんや1〜2歳ごろの子どもはその影響を受けやすいと言われます。ここでは、0〜2歳の子どものために、家族の生活に合わせて1日のタイムテーブルを組み立てる考え方を、ていねいに整理していきます。
「生活リズムデザイン。」体の中の時計を整える大まかな設計図の考え方です。
ここでいう生活リズムデザインという言葉は、子どもの1日を、起きる時間、食事、遊び、昼寝、入浴、就寝などの流れとしてざっくり描いてみることを指します。難しい計画表を作るというより、家族の生活リズムの中で「このあたりは毎日だいたい同じ時間にしてみよう」と決めるイメージです。体の中の時計である体内時計は、朝の光や食事の時間、昼間の活動量などの影響を受けて動いています。そのため、1日のタイムテーブルが大きくぶれないことが、子どもの眠りやごきげんの安定につながりやすいと言えます。
朝の光と同じ起床時刻が、1日を動かすスタートになります。
朝は、できる範囲で毎日似た時刻に起きることを目指します。カーテンを開けて自然光を入れたり、天気が悪い日は室内の照明を少し明るくしたりして、「朝になったよ」と体と心に伝えていきます。朝の光を浴びると、眠気を促すホルモンの働きが切り替わり、数時間後にまた眠気が来るタイミングも整いやすくなると考えられています。0〜2歳のうちは、起きる時間を30分前後の幅でそろえておくだけでも、その後の昼寝や夜の寝つきが安定しやすくなります。
起きてすぐに水分をとり、母乳やミルク、朝食をととのえていくと、体が「今日も1日が始まる」と感じやすくなります。まだ小さい赤ちゃんであれば授乳が中心になり、1歳を過ぎてくるとパンやごはんなどの朝ごはんが加わります。朝の食事は、体温やエネルギーをゆっくり上げていくスイッチの役割を担います。
午前中は、短い活動と外気浴でリズムの土台をつくります。
朝の身支度が落ち着いたら、午前中に少しだけ体を動かす時間を作ります。ベビー期であれば、床にマットを敷いて寝返りやずりばいを見守るだけでも立派な活動です。天気が良ければ、ベビーカーで近所をゆっくり散歩したり、ベランダで外の空気を感じたりするだけでも、光や風の刺激がよいリズムづくりにつながります。
一方で、午前の予定を詰め込みすぎると、昼前にぐったり疲れてしまうことがあります。0歳のうちは、午前中にも短い朝寝が入ることが多く、「起きている時間」と「休む時間」を小さな波としてくり返していきます。泣き方や表情、あくびの回数などを手がかりに、「そろそろ一度休もうか」と声をかけてあげると、子どもも安心しやすくなります。
0〜1歳ごろは、こまめな昼寝で体力を回復させます。
生後6か月ごろまでは、授乳やミルクをはさみながら短い睡眠を何度もとる子どもが多く、タイムテーブルも大人の感覚から見ると細かく刻まれて見えます。生後後半から1歳ごろにかけて、少しずつまとまって眠れるようになり、朝寝と昼寝、場合によっては夕方の短い眠りが組み合わさった1日になります。このころは、昼寝を含めて1日に12〜16時間ほど眠るとよいとされる目安もありますが、実際には子どもによってかなり幅があり、あくまで参考程度と考えてよいでしょう。
昼食や授乳のあとにとる昼寝は、午後のごきげんを支える大事な時間です。部屋の明るさを少し落とし、テレビや音楽の音量を控えめにして、「ここからは休む時間だよ」という空気を作ります。抱っこで寝入ってから布団におろす方法でも、はじめから布団で寝かしつける方法でも問題はありません。保護者にとって続けやすい方法を、その家庭のスタイルとして採用してかまいません。
夕方の眠りは短めにして、夜の寝つきを守ります。
夕方に眠気が強くなる子どもも多くいます。ぐずりが続くとつい長く寝かせてしまいがちですが、夜の寝つきが遅くなる原因になることがあります。夕方の眠りは「ひと息つく休憩」として短めに切り上げ、起きたあとはお風呂や夕食、寝かしつけに向けて静かな流れに入っていきます。どうしても夕方が長くなってしまう時期には、翌日の起床時間を少し調整したり、午前中の活動量を見直したりしながら、全体のバランスを探っていくイメージで考えると気持ちが楽になります。
1〜2歳ごろは、昼寝を1回にしながら夜の眠りを整えます。
1歳から2歳に近づくにつれて、朝寝がなくなり、昼寝が1回にまとまっていく子どもが多くなります。このころは、昼寝を含めた1日の睡眠時間として11〜14時間ほどが目安とされますが、あくまで目安であり、ひとりひとりの「ちょうどよい長さ」は異なります。大切なのは、日中の機嫌や遊びの集中力、夜の寝つきや夜中の目覚め方など、全体の様子を見ながら調整していくことです。
昼寝は、午後の早い時間にたっぷりとり、夕方には起きている状態にしておくと夜の眠りにつながりやすくなります。例えば、12時前後に昼食をとり、そのあとに1〜2時間程度眠り、15時ごろには起きて外遊びや室内遊びに移る、といった流れです。夕方になったら、激しい追いかけっこや大きな音の出るおもちゃを少し控え、積み木や絵本、ごっこ遊びなど、落ち着いた遊びに切り替えると、子どもの気持ちもゆるやかに夜モードへ移行していきます。
入浴から寝かしつけまでの「毎晩ほぼ同じ流れ。」が安心を支えます。
夜の時間帯は、できるだけ毎晩同じ順番で過ごすことが、子どもの安心感につながります。例えば、夕食をとる時間帯をだいたい決めておき、そのあと片付けや少しの遊び、入浴、パジャマに着替える時間、歯みがき、絵本、就寝という流れを作っていきます。順番が決まっていると、子どもは次に何が起こるかを予測できるようになり、「そろそろ寝る時間だな」と心の準備がしやすくなります。
寝かしつけのときには、毎回同じ短い言葉をそっとかけてあげると、子どもにとって合図になります。「今日もよく遊んだね。おやすみ。」「また朝に会おうね。」といった一言を、毎晩ほぼ同じ言い方で伝えてみます。言葉そのものよりも、声の調子や雰囲気が大切なので、保護者が無理のない範囲で続けられる表現を選ぶとよいでしょう。
家族の生活に合わせながら、大事にしたい線を決めておきます。
共働きであったり、上のきょうだいの予定があったりすると、理想的なタイムテーブルどおりに動くことはなかなか難しいものです。そのため、細かい時間まで厳密に決めるのではなく、「ここだけはできるだけ守りたい」という線を数個決めておくと、現実的で続けやすくなります。例えば、起床時刻を大きくずらさないこと、昼寝を夕方遅くまで引きずらないこと、夜の寝る前1時間は刺激の強いテレビやスマートフォンを控えることなどです。
一方で、週末や家族のイベントなど、どうしてもリズムが崩れる日もあります。そのような日があっても、次の日以降にまたいつもの流れへ戻していけば大丈夫です。タイムテーブルは「守れなかったら失敗」というチェックリストではなく、家族が過ごしやすくなるためのゆるやかな目安と考えると、気持ちを追い込みすぎずに済みます。
うまくいかない日も前提にして、少しずつ調整していきます。
子どもは成長とともに、眠れる時間帯や必要な睡眠時間が少しずつ変わっていきます。昨日までうまくいっていたタイムテーブルが急に合わなくなる時期もありますが、それは決して保護者のやり方が悪かったという意味ではありません。むしろ、新しい発達段階に入ったサインとして、「今の子どもに合うリズムをまた探していこう」と考え直すタイミングです。
何度試しても生活リズムが整わない、寝不足が続いているように見える、日中の機嫌や食事に影響が出ているなど、心配が大きい場合は、小児科や子どもの睡眠について相談できる専門窓口に一度相談してみることも一つの方法です。タイムテーブルは、家族が安心して暮らしていくための土台です。0〜2歳の今だからこそ、完璧を目指しすぎず、「わが家にとって無理のないリズム」を見つけていくプロセスそのものを、大切にしていきたい時間だと言えるでしょう。
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参考文献。
乳幼児の身体活動、座位行動、睡眠時間の目安についてまとめた世界保健機関のガイドラインです。0〜5歳までの子どもの、1日の過ごし方のバランスを考える参考になります。
World Health Organization. Guidelines on physical activity, sedentary behaviour and sleep for children under 5 years of age. https://www.who.int/publications/i/item/9789241550536
赤ちゃんから学童期までの睡眠の特徴や、生活リズムの整え方について解説したカナダ小児科学会の保護者向けページです。夜の目覚めへの対応や、昼寝の変化についての説明も含まれています。
Canadian Paediatric Society. Healthy sleep for your baby and child. https://cps.ca/en/documents/position/healthy-sleep-for-your-baby-and-child
厚生労働省が示す「健康づくりのための睡眠指針」の改訂案資料です。年齢に応じた睡眠や生活リズムの考え方、朝食や活動量と睡眠との関わりなどが整理されています。
厚生労働省.健康づくりのための睡眠指針の改訂について. https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001151834.pdf






