家の中を赤ちゃん目線で整える安全地図を描き直します。
赤ちゃんと暮らし始めると、これまで気にせず置いていた物や家具の配置が、急に危ないものに見えてくることがあります。 生まれてすぐの時期はほとんど動かないように感じても、寝返りやずりばい、つかまり立ちが始まるタイミングは予想より早く訪れます。 家の中の環境を、大人の都合ではなく赤ちゃんの視線で組み立て直しておくと、毎日の「ヒヤッ」とする場面をぐっと減らせます。
厚生労働省研究班と日本小児科学会がまとめた家庭内事故の資料でも、乳幼児は転倒や転落、窒息など、家の中で起こる事故の影響を受けやすいとされています。 完全に事故をゼロにすることはむずかしくても、起こりやすい場面をあらかじめ想像しておくことで、危険の多くは小さな工夫で減らせると言えます。
床に近い世界をイメージして危険を洗い出します。
赤ちゃんの行動範囲は、月齢によって大きく変わります。 生後数か月のうちは寝返り前提の世界ですが、いつのまにか寝かせた位置から回転して移動していたり、体をひねって手を伸ばしたりできるようになります。 ハイハイが始まると、床にあるものはすべて手に届く範囲になります。
そこで意識したいのが、床からおよそ数十センチの高さを、赤ちゃんの生活空間として眺め直す考え方です。 実際に大人が座ったり横になったりして視線を低くすると、コンセントタップや電源コード、家具の角、低い棚の上の小物など、気になってくる物が見えてきます。 「この場所で赤ちゃんが寝返りをして、手を伸ばしたら何に触れるか」を具体的に想像すると、どこを優先的に片づけるかが分かりやすくなります。
ベッドやソファ周りを転落しにくい配置に整えます。
転落の多くは、ちょっと目を離したすきに起こります。 ベッドやソファの上で寝かせているあいだは、クッションや布団、ぬいぐるみなど、足場になりそうな物を周りに積み上げないようにします。 乗り越えやすい物が近くにあると、赤ちゃんが思いがけない動き方をした時に、その物を足掛かりにして落ちてしまうおそれがあります。
可能であれば、赤ちゃんを寝かせる場所は、床に近い位置のベビーベッドや布団を基本にすると安心です。 大人用ベッドを使う場合は、壁側に赤ちゃんを寝かせ、落ちやすい側には転落防止ガードをつけたり、厚めのマットを敷いたりして、もし落ちても衝撃が少なくなる工夫をしておくと心強いです。 ソファでは、その場で寝かせたまま家事に戻らず、別の安全な場所に移してから席を外すような生活の流れを整えることも大切です。
紐やビニール袋など窒息につながる物を片づけます。
窒息は、目の前で起きてしまうと非常に動揺しやすい事故です。 ひも状の物が首や手足に巻きつく、ビニール袋やラップ、食品トレーのフィルムなどが口や鼻をふさいでしまう、といった状況は、家の中のあちこちで起こり得ます。 赤ちゃんは質感や音が面白いと感じる物に自然と手を伸ばすため、カサカサと音が出る袋やフィルムは特に注意が必要です。
買い物袋や小さめのビニール袋、ラッピング用のリボン、カーテンやブラインドのひも、電気コードなどは、床から離れた場所にまとめて保管します。 ごみ箱の中にも柔らかいビニールやラップが入っていることが多いので、赤ちゃんが簡単に開けられない構造の物を選ぶか、手が届かない高さに置くと安心です。 洗濯物を干すピンチハンガーのひもや、家電製品のコードなど、日常の一部として見慣れている物ほど、改めて目を向けて整理しておくと、リスクを減らしやすくなります。
おもちゃ選びと収納で誤飲のリスクを減らします。
おもちゃは、赤ちゃんの発達を支える大切な道具ですが、誤飲や窒息のきっかけになることもあります。 消費者庁がまとめた調査でも、小さな部品や部品が外れやすいおもちゃをきっかけにした気道閉塞の事故が報告されており、対象年齢と安全表示の確認が勧められています。
購入する前に、パッケージに記載された対象年齢や注意書きを確認し、その子の月齢に合った物かどうかを見ます。 口にすっぽり入りそうな大きさの部品が付いている場合は、まだ何でもなめて確かめる時期の赤ちゃんには向いていない可能性があります。 電池式のおもちゃや音が鳴る絵本などは、電池フタがネジで固定されているかどうかも合わせて確認すると安心です。
すでに上のきょうだいがいて小さなパーツの多いおもちゃを持っている場合は、「赤ちゃんが触ってよいおもちゃのゾーン」と「大きい子だけが遊ぶゾーン」を分ける考え方が役に立ちます。 手の届かない棚や専用のボックスを用意し、パズルのピースやブロックの小部品などはそこで保管するように決めておくと、片づけの習慣と安全対策を一緒に整えやすくなります。
生活の変化に合わせて安全対策を更新します。
家の中の安全対策は、一度整えたら終わりというより、赤ちゃんの成長に合わせて更新していく作業に近いものです。 寝返りができるようになったらベッド周り、ハイハイが始まったら床の配線や小物、つかまり立ちが安定してきたらテーブルの角や引き出し、といったように、気をつけたい場所は少しずつ変わっていきます。
忙しい毎日の中で完璧を目指し過ぎると、対策そのものが負担に感じられてしまうことがあります。 そこで、月に一度や季節の変わり目など、目安となるタイミングを決めて、「今の発達段階で気になる場所はどこか」を家族で振り返る時間をつくると、無理なく続けやすくなります。 危険をゼロにすることよりも、「うちの子の今の動きに、この家をどう合わせていくか」を一緒に考えていく姿勢が、長い目で見た安心感につながると言えるでしょう。
おすすめの安全グッズはこちらPR
関連記事
参考文献から家庭内の安全対策を深めます。
乳幼児期に多い溺水や窒息、転倒転落など、家庭内で起こりやすい事故の特徴や予防のポイントがまとめられている資料です。 生後数か月からのお世話の場面ごとに注意点が整理されているため、家の安全対策を見直す参考になります。
おもちゃの小さな部品や不適切な対象年齢のおもちゃが、乳幼児の気道閉塞や誤飲につながった事例を分析した報告です。 購入前に対象年齢や構造を確認する重要性や、家庭での保管の工夫について示されています。
ベッドからの転落や家庭内での転倒、誤飲などへの予防対策と、起きてしまった時の応急対応について解説した医療機関発行の資料です。 寝具の選び方や寝かせる位置の工夫など、日常生活にすぐ取り入れやすい助言が記載されています。


