麻生学園小学校の英語は、できる子だけの見せ場ではなく、日常から人前につなぐ学びです。
福岡県の麻生学園小学校の英語に目を向けると、先に仕上がった子だけが前に出る授業というより、ふだんの教室の中で声に出し、やり取りし、最後は人前でも伝えていく流れが見えてきます。ここが、この学校の英語の独自性です。
学校生活の記事では、2年生が数字を使って英語で会話する学習や、世界の国々のあいさつを学ぶ授業が紹介されています。入学体験会では、1年生の英語に園児が入り、英語でやり取りしながら活動しています。さらに、6年生になると全校の前で長い英文を暗記して話す英語スピーチ集会へつながっています。
この流れを見ると、麻生学園小学校の英語は、聞いて終わる教科ではありません。少しずつ口に出し、相手とやり取りし、最後は人前で表現するところまでを見すえて組まれていると考えられます。小学校受験を考える家庭にとっても、英語の正しさだけを急ぐより、聞いたことに反応すること、恥ずかしくても言ってみること、最後までやり切ることを大切にしたほうが、この学校の空気に近づきやすいでしょう。
この学校の英語は、発信型の英語。と言うと分かりやすくなります。
発信型の英語。これは、単語を知るだけで終わらず、自分の声で外に出していく英語です。麻生学園小学校の公開されている授業や学校生活をつなげて見ると、この色がかなりはっきりしています。
国の学習指導要領でも、外国語は、聞くこと、読むこと、話すこと、書くことの言語活動を通して、簡単な情報や考えなどを理解したり表現したり伝え合ったりする力を育てることが目標とされています。麻生学園小学校の英語は、この考え方を学校生活の中で具体的に見せているように見えます。
低学年の英語は、正解を当てる時間というより、反応する時間です。
学校生活の記事では、2年生が数字の発音を復習し、数の歌を歌い、How many を使って会話する様子が紹介されています。別の記事では、2年生が世界の国々の名前を発音し、それぞれの国のあいさつを動画で聞いて、次の英語の学習でたくさん練習しようと促されています。
ここで見えてくるのは、英語をいきなり難しい知識として扱っていないことです。まずは、耳で聞く。次に、まねして言う。そのあとで、相手とのやり取りにつなげる。この順番が自然です。小学校受験の準備でも、正しい発音だけを細かく直し続けるより、聞いた音に自分の口で返してみることのほうが、この学校には合いやすいでしょう。
家庭でできることも難しくありません。英語の歌を一緒に口ずさんでみる。知っている色や数を声に出してみる。言えたかどうかより、言おうとしたことを認める。その積み重ねが、教室での反応の速さや、やってみようとする気持ちにつながります。
週2時間の英語にALTが入ることからも、日常教科としての重みが見えます。
2025年5月の校長室だよりでは、週2時間の外国語の学習にALTが入ることが案内されています。ALTとは、外国語指導助手のことです。英語を使う場面で、子どもたちの発音や受け答えを支えたり、異なる文化の入口を広げたりする役割があります。
この案内で大切なのは、英語が特別授業として年に数回あるのではなく、毎週の学びとして位置づいていることです。しかも、ただ授業時間を置くだけでなく、学習環境を整えようとしているところに、学校の本気度が表れています。英語を先にたくさん覚えている子だけが有利、というより、毎週の中で少しずつ耳と口を育てていく学校だと受け止めたほうが近いです。
入学前から英語を体験で入れているところに、この学校のらしさがあります。
麻生学園小学校の入学体験会では、1年生の英語の学習に園児が参加する回が公開されています。2024年7月の記事では、園児が1年生の英語の中に入り、お店屋さんとお客さんに分かれて、果物やアイスを買い、パフェを作る活動が行われています。
ここが面白いところです。英語を机の上の教科として先に教えるのではなく、買う、受け取る、ありがとうを言うという動きの中に入れています。つまり、麻生学園小学校の英語は、言葉だけの学習ではなく、相手がいるやり取りとして置かれているのです。
受験を考える家庭では、英単語をどれだけ覚えさせるかが気になりやすいです。ただ、この学校の体験会を見ると、入学前に本当に大切なのは、完璧な英語ではなく、相手の言葉を受け取り、自分も返してみる姿勢だと分かります。緊張しても、声を出してみようね。通じたらうれしいね。そのくらいの温度で向き合うほうが、子どもも入りやすいでしょう。
1年生が園児を支える構図には、英語と生活の両方が出ています。
入学体験会の記事では、1年生が園児をエスコートしながら一緒に活動している様子も紹介されています。ここには、英語の学習だけでなく、年下に関わる力、相手を気づかう力、活動を一緒に進める力も入っています。
麻生学園小学校は、学力と生活を切り分けない学校です。英語の活動であっても、そこにふるまいや思いやりが重なっています。家庭でも、知っている英語を言えたかどうかだけを見るより、相手の番を待てたこと、優しく声をかけられたこと、最後まで参加できたことを言葉にして認めると、この学校の学び方に近づきやすくなります。
6年生の英語スピーチ集会は、この学校の英語の出口をよく表しています。
2026年3月の学校生活の記事では、6年生が自分の将来について驚くほど長い英文を暗記し、全校の前でスピーチした英語スピーチ集会が紹介されています。2025年3月の学校生活でも、6年生が将来の夢、その理由、そのために頑張ることを英語で発表したことが公開されています。
この2年続きの発信を見ると、英語スピーチ集会は単発のイベントではなく、学校の英語教育の節目として根づいていると考えられます。実際、2025年度の校長室だよりでも、3月4日に英語集会が年間予定の中に入っています。英語を学ぶだけで終わらず、最後は人前に立って出す。その出口があらかじめ学校の流れに置かれているわけです。
英語スピーチ集会で育つのは、英語力だけではありません。
人前で英語を話すには、単語や文を覚えるだけでは足りません。緊張したときにも立ち続けること。相手に届く声を出すこと。最後まで話し切ること。聞いている人の前で姿勢を保つこと。その全部が必要です。麻生学園小学校の英語スピーチ集会は、英語力の確認というより、積み上げた学びを自分の体で出す場だと言えます。
ここで視点を少し変えると、この学校が育てたいのは、英語が上手な子だけではないことも見えてきます。大切なのは、練習したことを人前で出してみる勇気です。うまく言えたかどうか以上に、最後までやり切ることが、次の学びにつながります。受験準備でも、この考え方はかなり役に立ちます。
麻生学園小学校の英語は、表現活動の一部として見ると、さらに理解しやすくなります。
校長メッセージでは、豊かな自然と触れ合う活動、感性を高める表現活動、異年齢集団での活動を重視すると示されています。つまり、この学校では表現は英語だけの話ではありません。感じたことを出すこと、人に伝わる形にしていくこと、その場に応じて自分を整えることが、学校全体の学びの中にあります。
英語スピーチ集会も、この流れの上にあります。低学年では、歌ったり、答えたり、やり取りしたりする。入学前の体験では、活動の中で英語を使ってみる。高学年では、全校の前で自分の考えを話す。英語だけが独立しているのではなく、表現する学校文化の中で育っていると見ると、かなり腑に落ちます。
公開授業や公開行事があることも、学びを外へ開く学校らしさにつながっています。
麻生学園小学校では、公開授業や入学体験会、オープンスクールなど、外から学校の学びを見られる機会が継続して設けられています。2023年の公開授業の記事でも、1年生の英語が実際に公開されていますし、2025年度の年間予定にも参観と公開授業が組み込まれています。
学びを外に見せる学校は、子どもにとって少し緊張のある学校でもあります。ただ、その緊張は悪いものではありません。見られる中でも普段通りに学ぶこと、人前でもやってみること、それが積み重なると、発表の場で崩れにくくなります。麻生学園小学校の英語は、こうした日常の延長線上にあると感じます。
受験準備で家庭が本当に整えたいのは、英語の量より、出していく姿勢です。
麻生学園小学校の英語に合わせて家庭で準備するとき、先へ先へと内容を増やしすぎる必要はありません。大切なのは、聞いたら反応すること、言える範囲で言ってみること、人前でも逃げずにやってみることです。
子どもへの声かけも、正しさの訂正ばかりにならないほうが続きやすいです。今の声、ちゃんと届いたね。全部合っていなくても、言ってみたのがすごいね。恥ずかしかったけれど最後まで立てたね。相手の言ったことを聞いて返せたね。そのような言葉は、英語の力と同時に、表現する勇気も育てます。
反対に、完璧に言えないと止める、間違いをすぐに細かく直す、人前で話す前から失敗を怖がらせる。そのような流れは、この学校の英語とは少し離れやすいです。麻生学園小学校の公開されている授業や行事からは、まず動いてみること、まず出してみることが大切にされているように見えます。
家庭でできる準備は、英会話教室だけではありません。
家庭での準備は、英語教材を増やすことだけではありません。短い英語の歌を一緒に楽しむ。買い物ごっこのようなやり取りをしてみる。家族の前で、好きなことを1つ話してみる。日本語でもよいので、人前で落ち着いて伝える経験を重ねる。そうしたことが、入学後の英語や発表の場にじわじわ効いてきます。
祖父母が関わるなら、聞き役になることも大きな支えです。上手かどうかより、最後まで聞いて拍手をする。話し終わったあとに、よく聞こえたよ、と声をかける。それだけでも、子どもは人前で話す経験を前向きに受け取りやすくなります。
この学校が合いやすいのは、英語を早く仕上げたい家庭より、英語を通して育つ力も大切にしたい家庭です。
麻生学園小学校は、英語に力を入れている学校として見ることができます。ただ、本当に合いやすいのは、英語だけを飛び道具のように使いたい家庭ではなく、聞く力、やり取りする力、表現する力、人前でもやってみる力を含めて育てたい家庭でしょう。
英語を早く先取りしておくことは、確かに安心材料になることがあります。けれど、この学校の公開されている学びを見ると、先取りそのものより、学校の中で積み重ねて出していく流れに乗れるかどうかのほうが大きいです。だからこそ、受験前に見るべきなのは、英単語の数だけではなく、子どもが声を出すことを楽しめるか、人前でも縮こまりすぎないか、最後まで取り組もうとできるかという点になります。
迷うときは、英語がある学校かどうかではなく、英語をどう使わせている学校かで見ると整理しやすくなります。
麻生学園小学校の英語は、低学年の教室のやり取りから、入学体験会の活動、6年生の英語スピーチ集会まで、1本の線でつながっています。学ぶ。やってみる。見てもらう。最後まで話す。その流れが学校の中にあります。
この学校を検討するなら、英語があること自体より、その英語がどう置かれているかを見ることが大切です。麻生学園小学校は、英語を特別な飾りにせず、日常の教科として積み上げながら、最後は表現の場へつなぐ学校です。その姿に安心できる家庭には、かなり相性のよい1校だと言えるでしょう。
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参考文献。
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学校法人麻生学園 麻生学園小学校「校長」。
学校の教育方針と、英語を含む表現活動の位置づけを確認する。「高い学力」と「豊かな情操」を育み、表現活動や異年齢集団での活動を充実させる方針が示されています。
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学校法人麻生学園 麻生学園小学校「いくつあるのかな? 2年生 英語」。
低学年の英語が、歌や会話を通して進んでいることを確認する。2年生が数字の発音を復習し、How many を使って会話する授業の様子が掲載されています。
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学校法人麻生学園 麻生学園小学校「世界の国のご挨拶! 2年生 英語」。
英語が日常の学校生活の中に自然に置かれていることを確認する。2年生が世界の国々の名前やあいさつを発音し、次の学習でたくさん練習しようとする授業が紹介されています。
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学校法人麻生学園 麻生学園小学校「フルーツパフェをつくろう! 1年生 英語 入学体験会」。
入学前から、英語を活動の中で体験させていることを確認する。園児が1年生の英語に参加し、お店屋さんとお客さんに分かれて英語でやり取りする体験の様子が掲載されています。
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学校法人麻生学園 麻生学園小学校「英語スピーチ集会!」。
英語を人前で表現する出口が学校文化として続いていることを確認する。2026年3月に、6年生が自分の将来について長い英文を暗記し、全校の前でスピーチしたことが紹介されています。
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学校法人麻生学園 麻生学園小学校「校長室だより NO5」。
英語が毎週の学習として置かれ、支える体制も更新されていることを確認する。週2時間の外国語の学習にALTが入ることが案内され、英語学習の環境を整える動きが示されています。
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文部科学省「小学校学習指導要領 外国語教育関係抜粋」。
国の外国語教育が、表現とコミュニケーションを重視していることを確認する。外国語は、聞くこと、読むこと、話すこと、書くことの言語活動を通して、理解し、表現し、伝え合う力を育てることを目標としています。
