昼寝のやめどきは、夜の眠りで判断できます。夜がずれて朝が重くなる流れを小さくしていくと、子どもも大人も毎日が軽くなります。受験を考えるかどうかに関わらず、生活リズムは学びの土台になりやすいので、家庭の状況に合わせて続く形を探していきます。
昼寝が夜を押すときは、切り替えの合図です。
夕方になっても元気で、寝る時間がどんどん後ろにずれる。朝は起きにくく、支度が進まず、機嫌も揺れやすい。こういう日が続くなら、昼寝が今の生活に合わなくなってきた可能性があります。
昼寝は悪者ではありません。日中の回復に役立つ一方で、今の子どもの体力や園の生活、帰宅後の時間割と合わなくなると、夜の眠りを削ってしまうことがあります。ここで大事なのは、昼寝をやめるかどうかを気合で決めないことです。夜の寝つきと朝の目覚めという、毎日見えるサインから判断するほうが迷いが減ります。
夜の寝つきと朝の目覚めで、判断しやすくなります。
昼寝をした日に、布団に入ってから眠るまでの時間が長くなる。あるいは、寝つきは悪くないのに、朝の目覚めが重くなり、支度がいつもより大変になる。こうした変化が出ているときは、昼寝の量が今の子どもにとって多い可能性があります。
もう1つの見方として、夕方から夜の過ごし方を思い出してみます。夕食の座りが悪い。お風呂でテンションが上がりすぎる。歯みがきで揉めやすい。こうした揺れは、性格の問題ではなく、眠りのタイミングがずれて疲れが表に出ているだけのこともあります。
15分から30分の調整が、家庭にやさしいです。
いきなり昼寝をゼロにすると、夕方に崩れやすい子もいます。最初は、昼寝を15分から30分ほど短くして様子を見ると、負担が小さくなります。園で昼寝がある場合は、保育者の方に「夜の寝つきが遅くなっているので、短めにできる日があるか」など、事実ベースで相談しやすいです。
短くした日は、日中に体を動かす時間を意識して増やします。外遊びが難しい日なら、家でできる動きのある遊びでも構いません。夕方以降は刺激の強い遊びを控えて、気持ちが落ち着く方向へ持っていくと、夜が戻りやすいです。
昼寝をやめた日の夜は、早く寝るより先に環境を整えます。
昼寝を減らした直後は、眠気が波のように来ることがあります。本人も不機嫌になりやすいので、夕食や入浴の順番を早めに整えておきます。眠れなくても良いので、布団に入る時間だけは守ると、数日単位でリズムが整いやすいでしょう。
睡眠時間の目安を知ると、調整がぶれにくくなります。
3歳から5歳の睡眠は、夜だけでなく昼寝も含めた1日の合計で考えるほうが自然です。必要な睡眠は個人差がありますが、目安を知っておくと、削りすぎや伸ばしすぎの不安が小さくなります。
Children 3 to 5 years of age should sleep 10 to 13 hours per 24 hours (including naps).
American Academy of Sleep Medicine, Recommended Amount of Sleep for Pediatric Populations.
日本語にすると、3歳から5歳は、昼寝を含めて1日10時間から13時間ほど眠るのが目安と言えます。寝る時間を決めるときは、起きる時間を固定し、そこから逆算して考えるほうが現実的です。朝の出発が決まっている家庭ほど、このやり方が迷いにくいでしょう。
また、日本は就床時刻が遅く、睡眠が短くなりやすい傾向が指摘されています。社会全体の空気に引っ張られやすいので、家庭の中だけでも基準を作っておくと、整え直しが楽になります。
朝を固定すると、夜が戻ってきます。
夜を早めようとしても、うまくいかない日があります。寝かしつけが長引き、親の気持ちも焦る。こうなると、次の日の夕方も乱れやすいです。実は、夜を動かす一番の近道は、朝を固定することです。
「早寝・早起き」ではなく「早起き・早寝」から始めましょう。
e-ヘルスネット(厚生労働省)「こどもの睡眠」
朝の光を浴びることは、体内時計(朝と夜のリズムを作る仕組み)を整える助けになります。難しいことはしなくて大丈夫です。カーテンを開けて、顔が明るいほうを向く。ベランダや玄関先で数分だけ空を見上げる。こうした小さな行動の積み重ねで、夜の眠気が来る時間が戻りやすくなります。
週末の寝坊は、月曜日を重くしやすいです。
平日は頑張って早起きしたのに、週末だけ昼近くまで寝てしまう。よくある話ですが、ここで体内時計が一気にずれてしまうことがあります。月曜の朝が重い家庭は、週末も起きる時間だけは大きくずらさないほうが整いやすいです。
ただし、親の疲れも現実です。週末は、起きる時間を守りつつ、昼寝や横になる時間で回復するほうが、家族全体にとって無理が少ないでしょう。
夕方以降は、刺激を減らすほど寝つきが良くなります。
昼寝の調整や朝の固定ができても、夕方の過ごし方が荒れると、夜は戻りにくいです。ここで効くのは、完璧なルールではなく、毎日同じ順番です。順番は、子どもにとっての安心になります。
帰宅後の順番を決めると、感情の揺れが小さくなります。
帰宅したら、手洗いをして、かばんを置いて、着替える。次に、水分をとって、軽く休む。家庭によって順番は違って構いませんが、毎日同じ流れにすると、切り替えに使うエネルギーが減ります。
そのあとで、今日の楽しかったことを一緒に振り返ります。長く話さなくて大丈夫です。1つだけで十分です。できた行動を具体的にほめると、明日の意欲が育ちます。ここでのほめ言葉は、結果よりも行動に向けると続きます。自分で靴をそろえた。挨拶ができた。待てた。こういう小さな成功が、夜の落ち着きにもつながりやすいです。
画面の光と音は、眠りの入口を遠ざけることがあります。
夕方以降に動画を見せると、静かになって助かる日もあります。けれど、強い光や音は、眠りへの切り替えを難しくすることがあります。家庭の事情で使う場合でも、時間を短くする。寝る直前は避ける。音量を落とす。画面から距離を取る。こうした調整を入れるだけで、寝つきが変わる子もいます。
ここで視点を少し変えます。子どもの寝つきが悪い日は、子どもだけが原因とは限りません。大人の帰宅が遅い。夕食が遅くなる。家の中が慌ただしい。こうした家庭の事情が積み重なると、子どもはそれを敏感に拾います。やることを減らすのが難しいなら、順番だけでも固定する。声のトーンを落とす時間を作る。入浴のあとに照明を少し暗くする。こういう環境の工夫が、睡眠を守ってくれます。
受験を考える家庭ほど、睡眠を味方にできます。
小学校受験や中学校受験を考えると、どうしても学習量や習い事の設計に目が向きます。けれど、3歳から5歳の時期は、集中や気持ちの切り替えが育つ途中です。睡眠が整うと、日中の機嫌が安定しやすく、結果として取り組みが進みやすくなります。
この話は、早く寝かせる競争ではありません。家庭差があり、園の方針もあります。大切なのは、翌朝の支度が回るかどうかです。朝が回ると、家の空気が荒れにくいです。荒れにくいと、子どもは安心して頑張れます。睡眠は、がんばりを支える床のようなものです。
やり方が合っているかは、3日から7日で見えてきます。
昼寝を短くして、朝の時間を固定して、夕方の刺激を減らす。これを同時に完璧にやる必要はありません。どれか1つだけでも構いません。変化を見る目安は、3日から7日くらいです。寝つきが少し早くなる。朝の支度が少し楽になる。夕方の荒れが少し減る。こうした小さな変化が出たら、その方向は合っている可能性があります。
困りごとが続くときは、相談してよいです。
生活を整えても、睡眠の困りごとが長く続くことがあります。たとえば、強いいびきがある。息が止まるように見える。寝汗が多くて頻繁に目が覚める。日中の眠気が強すぎる。こうしたサインがある場合は、家庭だけで抱え込まず、医療機関や自治体の相談窓口に頼って良いです。
受験を考えるかどうかに関係なく、睡眠は健康の土台です。整える取り組みは、子どもを追い立てるためではなく、毎日を軽くするためにあります。できる範囲で少しずつ進めていけば十分です。
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参考文献。
e-ヘルスネット(厚生労働省)「こどもの睡眠」。 早起きから整える考え方や、子どもの睡眠課題の全体像が確認できます。
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-02-007.html
こども家庭庁 すこやか親子21「未就学児の睡眠指針」。 未就学児の睡眠の特徴や、生活の中で気をつけたい点を体系的に確認できます。
American Academy of Sleep Medicine, Recommended Amount of Sleep for Pediatric Populations。 年齢別の推奨睡眠時間の目安を、研究の合意として確認できます。
https://aasm.org/resources/pdf/pediatricsleepdurationconsensus.pdf
文部科学省「早寝早起き朝ごはん」国民運動の推進について。 生活習慣を整える啓発資料や関連調査の入口が確認できます。
