3歳から5歳で苦手な友達がいても大丈夫。親の声かけと関わり方を学術的な根拠とあわせて解説

最終更新日:2026年4月21日私たちについて商品評価基準

この記事は、発達や学びについて、1人の意見だけでなく、複数の研究や公的情報、さらに多くの研究をまとめて見た情報をもとに整理しています。

苦手な友達がいても、育ちが止まるわけではありません

園から帰ってきた子どもが、「あの子きらい」「あの子と遊びたくない」と言うと、親は少し身構えます。仲良くする力が足りないのではないか。集団生活に向いていないのではないか。そんな不安がよぎりやすいからです。

ただ、3歳から5歳の子どもにとって、相性の合う相手と合いにくい相手が出てくるのは自然な流れです。むしろここで大切なのは、誰とでも無理なく仲良くすることではありません。困った相手がいたときに、自分の気持ちを言葉にして、離れる、伝える、助けを求めるという動きを少しずつ覚えていくことです。

この時期の育ちをひと言で表すなら、友達づきあいの練習よりも、気持ちの扱い方の練習です。相手を変える力ではなく、自分を守りながら関わる力です。ここが育つと、園生活だけでなく、その後の学校生活でも息が長く効いてきます。

親の助言は、仲良くさせる言葉より、戻れる言葉のほうが役に立ちます

親として最初に渡したいのは、「苦手な子がいても大丈夫です」という安心です。ここで「みんなと仲良くしようね」と急いでまとめると、子どもは嫌だった気持ちをしまい込みやすくなります。すると次に同じことが起きたとき、自分の中で整理できず、泣く、固まる、急に怒るの形で出やすくなります。

言葉の軸はシンプルです。「いやだったんだね」「何が困ったの」「そのとき、どんな顔になったかな」と、出来事を細かく聞くより先に気持ちを受け止めます。そのうえで、「いやって言っていいよ」「先生に言っていいよ」「少し離れていいよ」と、次の動きを短く渡します。

ここで役立つのが、戻れる言葉です。戻れる言葉とは、気持ちが揺れたときに、次の一歩を思い出せる短い言葉です。たとえば、「やめてって言おうね」「いまは別の遊びにしようか」「困ったら先生を呼ぼうね」です。長い説明より、この短い言葉のほうが園の場面では使いやすいでしょう。

米国疾病予防管理センターは、3歳から5歳の子どもについて、親が困ったときの問題解決の手順を一緒に進めることや、してほしくない行動を止めるだけでなく、代わりにどうすればよいかを示すことを勧めています。言い換えると、叱るだけで終わらせず、次に使える形を渡す関わり方です。

3歳には、気持ちの通訳がよく効きます

3歳ごろは、まだ言葉より先に体が反応しやすい時期です。取られた、押された、入れてもらえなかった、その出来事がそのまま涙や怒りになります。ですから、「なんでそんなことしたの」と理由を問うより、「びっくりしたね」「取られて嫌だったね」と、親が気持ちを通訳するほうが落ち着きやすいです。

この年齢では、「貸して」「あとで」「いま使ってるよ」のような短い言葉を家で何度も言ってみるだけでも十分です。上手に言えなくても問題ありません。言える形を知っていること自体が、次の助けになります。

4歳には、言葉の置き換えが効いてきます

4歳になると、順番や交代の感覚が少し見えてきます。一方で、言い方が強い子や、遊びを仕切りたい子とのぶつかり合いも起きやすくなります。このときは、「だめ」だけで終わらせず、「いまは使ってるよ」「終わったら貸すね」「入れてって言ってみようか」と、言い換えの形を渡すと動きやすくなります。

米国小児科学会の保護者向け情報では、3歳以降の子どもは友達と実際に遊ぶ中で、相手には自分と違う考えがあることや、つき合いやすい子もそうでない子もいることを学んでいくと説明されています。苦手な子がいること自体を失敗と受け止めなくてよい理由はここにあります。

5歳には、距離の取り方まで教えてよい時期です

5歳ごろになると、ただ泣くか我慢するかだけではなく、少し離れる、別の友達のところへ行く、先生に助けを求めるという選択が取りやすくなります。ですから、「がんばって仲良くする」だけでなく、「今日は近くで遊ばなくていい」「しんどい相手には距離を取っていい」という助言も十分に意味があります。

ここで大事なのは、逃げ癖をつけることではありません。危ない関わり方から自分を守る感覚を育てることです。この感覚がある子は、その後の集団の中でも無理をため込みにくくなります。

苦手な友達と関わることは、やり方しだいで教育になります

ここは誤解されやすいところです。苦手な子と交流させることが、いつでも良いわけではありません。教育になるのは、少し苦手だけれど、安全で、短くて、大人が支えられる場合です。言い換えると、無理な我慢ではなく、小さな練習になっているときです。

小さな練習とは、たとえば、遊び方が少し違う子と10分だけ同じ机で工作をすることです。順番でもめやすい相手と、大人が近くで見ながらボールを交代で使うことです。こうした場面では、相手に合わせる練習というより、自分の気持ちを整えながら関わる練習ができます。

一方で、毎回泣かされる、怖がって固まる、仲間はずれにされる、「言うことを聞かないなら友達じゃない」と脅されるような関係は別です。そこでは学びより負担が大きくなりやすく、無理に近づける必要はありません。距離を取り、園と連携して環境を整えるほうが先です。

学術的な根拠が示していることです

友達とのよい遊びの経験は、あとから効いてきます。3歳時点で友達と遊ぶ力が高かった子ほど、7歳時点で多動や情緒面の困りごと、友達関係の困りごとが少なかったという追跡研究があります。大事なのは、ただ集団に入れることではなく、安心できる形で前向きなやり取りを積み重ねることです。

また、3歳から5歳にかけては、気持ちを読む力が伸びるほど、友達とのもめごとで前向きな解決を選びやすくなることも報告されています。気持ちを読む力とは、自分と相手がいまどんな気持ちかを見立てる力です。この力が育つと、すぐに取る、押す、怒るではなく、交代する、言葉で伝える、別の遊びを選ぶといった動きが増えやすくなります。

その反対に、仲間はずれや傷つけられる経験が続くと、拒まれやすさや被害の受けやすさが強まりやすいことも早期の研究で示されています。感情を整える力が低いと、拒否や被害が増えやすくなるという結果もありました。つまり、苦手な相手との関わりは、練習になることもあれば、悪循環の入口になることもあります。

親の関わり方も無関係ではありません。子どもの気持ちを押さえつけて動かす関わり方は、子どもの友達とのやり取りと相性が悪いことが報告されています。反対に、気持ちを認めて、どう扱うかを一緒に考える関わり方は、感情の調整を助けます。家での声かけが、そのまま園での振る舞いの土台になりやすいということです。

教育になる交流と、避けたい交流は、見分けてよいものです

関わらせてもよい苦手があります

遊びの好みが違う。いつも同じおもちゃで競合する。相手が少し強引で、自分の子が押されがちになる。こうした関係は、見守りつきなら学びになる余地があります。順番を決める。言葉を足す。離れる合図を決める。こうした工夫で、小さな成功体験を作りやすいからです。

このとき親が目指したいのは、仲良しにすることではありません。5分でも10分でも荒れずに終われたら十分です。その短い成功が、次の園生活で使える形になります。

距離を取ったほうがよい苦手もあります

嫌だと言っても続く。ルールより支配が強い。からかいが多い。入れてあげない、友達やめると言って動かそうとする。終わったあとに表情が暗くなる。登園しぶりが出る。こうした場合は、子ども同士で解決させようとしすぎないほうが安全です。

全米乳幼児教育協会は、幼い子どもの間でも、無視する、仲間に入れない、友情を条件にして相手を動かすといった関わりが見られると示しています。こうした形は、ただの相性の悪さではなく、関係の中で傷つきが起きている可能性があります。ここでは教育の名目で耐えさせるより、保育者に具体的な場面を共有して、介入しやすい形にすることが大切です。

親がそのまま使いやすい言葉は、やさしく短いものです

おもちゃを取られたときです

「いやだったね。『いま使ってるよ』って言っていいよ」です。3歳なら、言えなかったとしてもかまいません。家で言ってみるだけで十分です。4歳や5歳なら、「終わったら貸すね」まで続けて練習すると使いやすくなります。

入れてもらえなかったときです

「悲しかったね。もう1回『入れて』って言ってみて、それでもだめなら先生のところへ行こうね」です。ここで大切なのは、断られても価値が下がるわけではないと伝えることです。入れてもらえない経験は痛いですが、その場で全部を解決しなくても大丈夫です。

強い言い方をされたときです

「こわかったね。『その言い方はいや』って言ってもいいし、言いにくかったら離れていいよ」です。相手に勝つ言葉を教えるのではなく、自分を守る言葉を渡す感覚です。

自分の子が相手を苦手にしすぎているように見えるときです

「あの子にも事情があるかもしれないね。でも、嫌なことを我慢しなくていいよ」です。この2つを一緒に置くと、相手への想像力と自分を守る感覚が両立しやすくなります。思いやりだけを教えると我慢に傾きやすく、自分だけを守る方向に振れると関係の学びが細くなります。その間を取る言い方です。

小学校受験や中学校受験を考える家庭ほど、友達関係の見方を少し変えると楽になります

受験を考え始めると、協調性や社会性という言葉が気になりやすくなります。すると、苦手な友達がいること自体を不安材料として受け取りやすくなります。ただ、園での友達関係を受験向けに整えようとしすぎると、かえって子どもは窮屈になります。

見ておきたいのは、みんなに好かれているかではありません。嫌なことがあったときに、話を聞けるか。順番を待てるか。困ったら言葉や大人の助けに戻れるか。この戻れる力のほうです。集団の場で必要になるのは、常に社交的であることより、崩れても立て直せることだからです。

家庭でできる支えも大きくはありません。園の帰り道に1つだけ聞く。「今日は楽しかったことがあった」「困ったことがあった」「困ったとき、どうした」の3つのうち、どれか1つで十分です。毎日全部を深掘りしなくても、言葉にする習慣が少しずつ土台になります。

小学校受験や中学校受験をいま考えていないご家庭でも、この土台は無駄になりません。言葉で伝える。少し待つ。助けを求める。相手を怖がりすぎず、自分を消しすぎない。この感覚は、その先の教室でも、放課後でも、長く役立つでしょう。

園との連携は、抽象的な相談より、場面で伝えるほうが伝わります

先生に相談するときは、「あの子が苦手みたいです」だけではなく、「ブロックの時間に取られると固まる」「入れてと言えず、外から見ていることがある」のように、場面で伝えると共有しやすくなります。保育者は具体的な場面が見えるほど、立ち位置や言葉かけを調整しやすくなります。

お願いしたい内容も大げさでなくて大丈夫です。近い場所で見守ってほしい。最初の一声だけ手伝ってほしい。無理に同じグループに入れなくてよい。こうした小さな共有が、子どもにとっては大きな安心になります。

急いで友達を増やすより、安心して戻れる経験を増やすことです

苦手な友達がいること自体は、珍しいことでも、育ちの遅れでもありません。3歳から5歳は、人との違いを知り、自分の気持ちの輪郭も見えてくる時期です。その途中で、合う相手と合いにくい相手が出てくるのは自然です。

親が渡したいのは、「仲良くしなさい」という圧ではなく、「困ったらこうしよう」という道筋です。少し苦手な相手との交流は、支えがあれば学びになります。けれど、傷つきが続く関係まで教育のために我慢させる必要はありません。

無理に広げるより、安心して戻れる形を増やすことです。その積み重ねのほうが、園生活にも、その先の学校生活にも、静かに効いていきます。

参考文献

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