この記事は、1人の意見だけでなく、複数の研究や公的情報、さらに多くの研究をまとめて見た情報を参考に、家庭で考えやすい形に整理しています。
同志社国際学院初等部の強みは、英語を増やすことではなく、英語で考え、探究し、表現まで回す学びにあります
同志社国際学院初等部を考えるとき、目に入りやすいのは英語です。けれど、この学校の輪郭は、英語の時間数だけではつかめません。大きな特徴は、英語を教科として積み上げるだけで終わらせず、探究と表現の流れの中に置いていることです。英語で聞く。考える。友だちとやり取りする。自分の考えをまとめる。発表する。この一連の動きが、学校生活の中で自然につながっています。
だから学校選びの見方も変わります。英語がどのくらい早く身につくかだけを見ると、この学校の良さは浅くなります。むしろ大切なのは、知らないことに出会ったときに、子どもが立ち止まりすぎず、問いを持ち、言葉にしていけるかどうかです。同志社国際学院初等部は、その力を日英バイリンガル教育と探究の設計で育てようとしている学校だと言えます。
教育課程特例校だからこそ、英語が飾りではなく、学びの土台になります
同志社国際学院初等部は、文部科学省の教育課程特例校として、日英バイリンガル教育を実施しています。入試情報でも、その位置づけがはっきり示されています。さらに学校が公表している2025年度の資料では、国語科と家庭科を除く各教科などで英語を含む指導を行い、6年間の総授業時間数のおよそ50パーセントを英語を含む授業にすること、そして1年生と2年生でも外国語活動を行うことが示されています。
ここで見落としたくないのは、英語の量が多い、というだけの話ではないことです。学校側は、国際バカロレアに基づいた教科横断的な探究型の学びをより充実させるために、授業時数の調整を行っていることも公表しています。つまり、英語だけを前に出しているのではありません。探究の単元と英語による学びを、同じ設計の中で動かそうとしているのです。
この考え方に立つと、家庭での準備も少し変わります。単語暗記を増やすことは、まったく無意味ではありません。ただ、それだけで学校との相性は決まりません。同志社国際学院初等部で求められやすいのは、聞いたことをそのまま覚える力より、聞いて考え、言い直し、相手に届く形にする力です。英語を早く仕上げることより、言葉を使って考える習慣を育てるほうが、学校の学びに近づきやすいでしょう。
この学校の英語は、教科ではなく、学びを動かす道具です
学校のバイリンガル教育の説明では、子どもたちは言語としての英語を学ぶだけでなく、英語という道具を使って学習を進めていると案内されています。さらに、半分以上の授業が英語で実施され、世界中から来た教員と学ぶ環境があることも示されています。ここには、英語を話せるようにする学校、というより、英語を使って理解を深める学校、という発想があります。
低学年では、話すこと、聞くこと、読むこと、書くことに加えて、フォニックスも重視されています。フォニックスは、音とつづりのつながりを学ぶ方法です。英語に初めて触れる子どもにとって、ここはとても大切です。高学年になると、身につけた英語を使って、説明する、調べる、比べる、といった学びが増えていきます。英語の授業で英語を学ぶだけではなく、探究の時間そのものの中で英語が働いているわけです。
この設計の良さは、表現が学びの最後に置かれていない点にもあります。調べたあとに発表するだけではなく、考える途中から言葉を使います。友だちとやり取りしながら考えを広げる。説明してみて、自分でも理解が浅かったところに気づく。比べてみて、見方が変わる。英語が、学習結果を飾るためのものではなく、理解を深めるための通路になっています。
英語が初めてでも入れるのは、完成を求める学校ではなく、育っていく過程を見ている学校だからです
英語経験がない家庭にとって、もっとも気になるのは、授業についていけるかどうかだと思います。この点について、学校のQ&Aはかなり率直です。入学前に英語の素地がない子どもも多く入学しており、個人差はあるものの、1か月から2か月ほどで英語のある環境に慣れていくこと、そして1年生と2年生にはEnglish Language Support制度があることが案内されています。
さらにバイリンガル教育の説明ページでは、このサポートは平等ではなく、公平を大切にした仕組みだとされています。全員に同じことをするのではなく、その子が授業に入っていくために必要な支えを考える、という意味です。入学後は診断テストを使って、読み、フォニックス、よく使う語の理解などを見ながら、必要な子に支援を行います。1年生で英語学習経験がない子どもは、英語の読み書きや授業でよく使う言い回しを、1年から2年ほどかけて身につけていく見通しも示されています。
ここは、家庭にとって大きな安心材料です。入学前に完璧にしておかないと難しい学校、という見方は少し違います。もちろん、英語に触れておくことは役に立ちます。ただ、それ以上に大切なのは、知らない言葉に出会っても固まらないことです。意味がわからなくても、相手の表情や流れから考えてみることです。聞き取れなかったときに、もう1回聞こうとする気持ちを持てることです。学校は、完成品を集めるより、伸びていく子どもを支える設計を持っています。
家庭で先に整えたいのは、英語力より、言葉に向かう姿勢です
たとえば、家で何か説明をするときに、すぐ答えを教え切らず、「今の話、どういうことだと思いましたか」と返してみる。絵本を読んだあとに、「何が起きましたか」だけで終わらせず、「この子はどうしてそうしたと思いますか」と聞いてみる。うまく言えないときには、「言い直して大丈夫です」と受け止める。この小さな積み重ねが、英語そのものの前にある、ことばで考える土台になります。
探究の単元は、理科や社会をなくすのではなく、問いでつなぎ直す学びです
ここが、この学校の学びを理解するうえでとても重要です。知識を順番に覚えることより、問いを持って知識同士をつなぐことが重く見られます。学校の公式説明でも、UOIでは子どもが主体的に探究し、自分の考えを形にする創造力や表現力を身につけること、そして1つの教科にとらわれない多角的な見方で、正解が1つではない課題に向き合う応用力を養うことが示されています。
この学び方は、受験準備の視点から見ると、少し独特です。知識の先取りだけでは相性が見えにくいからです。向いているのは、身近な出来事に「なぜ」を持てる子です。気になったことを、そのまま流さない子です。自分の考えを話したあとに、友だちの意見で見え方が変わることを面白がれる子です。逆に、正解がすぐ出ないと不安になりやすい場合は、家での関わり方を少し工夫すると入りやすくなるでしょう。
この学校が伸ばしたいのは、答える力だけでなく、伝わる形に変える力です
探究の単元の説明では、学びを確かめる場として、紙芝居、人形劇、物語の創作、プレゼンテーションなど、さまざまな表現方法が示されています。ここから見えるのは、わかったことを頭の中に置いて終わらせない学校だということです。理解したことを、誰かに伝わる形へ変える。その過程が学びの大事な一部になっています。
さらに、1年間の学びを子どもが発表するSPT Conferenceも行われています。SPTは、児童と保護者と教員の3者で学びを共有する面談です。子どもが自分の学びを言葉にし、大人がそれを受け止め、次の目標を定めていきます。ここにも、この学校の考え方がよく出ています。評価されるために話すのではなく、自分の学びを自分で見つめ、次につなげるために話すのです。
6年生になると、PYP Exhibitionという発表の場があります。学校はこれを、6年間の探究の集大成として位置づけています。最近の学校公開の案内でも、子どもたちが自分でCentral Ideaを作り、興味関心のある分野を探究し、その成果を発表すると説明されています。Central Ideaは、単元の中心になる考えです。つまり、最後に求められるのは、教えられた内容をそのまま話すことではありません。自分で問いを持ち、自分で組み立て、自分のことばで外へ出すところまでが、学びの到達点になっています。
iPadは、早く使えることより、考えを整理し、表すための道具として入っています
ICTの扱いも、この学校らしさが出る部分です。Q&Aでは、1年生から探究学習や英語で行う授業でiPadを使うこと、2年生以上は1人1台のiPadを購入し、さまざまな学習で活用していること、さらにオンラインでの課題作成や宿題にも取り組んでいることが示されています。
ここで大切なのは、機器そのものが主役ではないことです。iPadに強い子が有利、という単純な話ではありません。学校は、考える、調べる、まとめる、表す、共有する、という学びの流れの中でICTを使っています。だから家庭でも、操作の速さを競うより、使ったあとに「何がわかりましたか」「どう伝えたいですか」と言葉へ戻すほうが、この学校の学びと合いやすいです。
実際、探究とICTの相性はかなりよいです。調べた情報をそのまま並べるだけでは、学びになりません。必要なものを選ぶ。比べる。自分の考えを入れる。相手に伝わる形に整える。その工程で、ICTは便利な道具になります。同志社国際学院初等部は、デジタル機器を特別な技術として持ち上げるより、思考と表現を支える日常の道具として入れている学校だと見たほうが実態に近いでしょう。
この学校に合いやすいのは、英語が得意な子より、問いとことばのあいだを行き来できる子です
同志社国際学院初等部の入学時に求める子ども像には、人の話に耳を傾け理解しようとすること、知的好奇心を持って仲間と学ぼうとすること、言語への興味が高く、バイリンガル教育への可能性を持つことが示されています。ここでも、完成した英語力より、学びに向かう姿勢が見られていることがわかります。
家庭で見ておきたいのは、難しい課題にどれだけ取り組んでいるかだけではありません。知らないことに出会ったときに、嫌がる前に少し考えられるか。人の話を途中で切らずに聞けるか。自分の思いを一方的に押し出すだけでなく、相手の言葉を受けて話せるか。その姿は、英語学習の前から育てていけますし、この学校の探究と表現の流れにもつながっていきます。
受験準備は、詰め込むより、日常の会話を少し深くするほうが効いてきます
この学校を考える家庭に向いている準備は、派手ではありません。毎日の生活の中で、子どもの言葉を少しだけ深めることです。たとえば、出かけたあとに「楽しかったですか」で終えず、「何が気になりましたか」と聞いてみる。作品を見たときに「上手です」で閉じず、「どこをいちばん見てほしいですか」と尋ねてみる。友だちの話をしたときに、「それで相手はどう思ったのでしょうか」と視点を広げてみる。こうした会話は、探究にも表現にも、そのままつながります。
大切なのは、家庭が先生役になりすぎないことです。問いを増やしすぎると、子どもは試されているように感じます。毎回うまく答えられなくても大丈夫です。少し考える。言い直す。わからないと認める。また考える。その流れを安心してできることが、同志社国際学院初等部のような学びにはよく合います。
同志社国際学院初等部の独自性は、英語の学校であることより、英語で育つ学びの循環を持っていることです
教育課程特例校としての日英バイリンガル教育があります。英語の経験がない子を支えるEnglish Language Supportがあります。理科や社会を問いでつなぎ直すUOIがあります。学びを表現に変える発表の文化があります。1年生からのiPad活用があります。これらは別々の特徴ではありません。全部がつながって、聞く、考える、探究する、伝える、振り返る、また深める、という学びの循環を作っています。
その意味で、同志社国際学院初等部は、英語を習わせたい家庭が見る学校であると同時に、子どもにどんな学び方を身につけてほしいかを考えたい家庭が見る学校でもあります。英語だけでは測れません。探究だけでも足りません。表現だけを取り出しても、この学校は見えてきません。3つが一緒に回っているところに、この学校の独自性があります。そこに心が動くなら、学校選びの軸としてかなり相性のよい1校になるでしょう。
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参考文献です
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同志社国際学院初等部 バイリンガル教育
半分以上の授業が英語で実施されています。
英語を学ぶだけでなく、英語を使って学ぶという学校の考え方、低学年と高学年の学び方の違い、ランゲージサポート、英語到達目標を確認できます。
https://www.dia.doshisha.ac.jp/education/bilingual-education/ -
同志社国際学院初等部 探究の単元
1年間に6つの教科横断的なテーマに沿って探究します。
UOIの意味、教科横断の考え方、創造力や表現力をどう育てるか、発表や評価の考え方まで確認できる公式ページです。
https://www.dia.doshisha.ac.jp/education/unit-of-inquiry/ -
同志社国際学院初等部 よくあるご質問
1年生から探究学習や、英語で行う授業でiPadを使用します。
英語経験がない場合の見通し、1年生と2年生のEnglish Language Support、理科や社会がUOIに組み込まれている点、iPad活用の開始時期を確認できます。
https://www.dia.doshisha.ac.jp/faq/ -
同志社国際学院初等部 2025年度教育課程特例校の取り組みについて
総授業時間数の約50%について、英語を含む指導とする。
教育課程特例校としての制度的な根拠と、UOIと英語による学びを充実させるための教育課程の考え方を確認できる公式資料です。
https://www.dia.doshisha.ac.jp/admin/wp-content/uploads/2025/03/817f63fdf5b69783eb31de1f6fee1f7c.pdf -
同志社国際学院初等部 6年生PYP EXHIBITION
6年間の探究の集大成であるエキシビション。
探究学習が最終的にどのような形で表現へつながるのかを、学校生活の実際の発信から確認できる公式ページです。
https://www.dia.doshisha.ac.jp/schoollife/days/6%E5%B9%B4%E7%94%9Fpyp-exhibition/ -
IB教育推進コンソーシアム IBの概要 教育理念と学習者像
「IBの学習者像」は、「IBの使命」を具体化したものです。
IBの学習者像が何を目指しているのかを、日本語で公的に確認できる資料です。学校の探究や表現の背景理解に役立ちます。
https://ibconsortium.mext.go.jp/about-ib/
